
●破綻したあとの復帰性が今後の課題
測位マシーンの異名を持つサイバーナビの腕の見せどころといった場所だが、過去何年間もここ千葉そごうの駐車場では完全トレースを果たしていない。ライバル機も1台として完璧に走りおおせたモデルがない難所中の難所ゆえに、簡単にはいきそうもないが、測位の代表旗手であるサイバーナビがいつ、この地を制するかは我々スタッフの最大の関心事のひとつになっている。
なおカロッツェリアのナビは、駐車枠まで描き込まれた詳細な駐車場マップ(全国120ヵ所)を持っているが、千葉そごうはその中に含まれていない。
ここでのサイバーナビは前半、さすがといえる測位性能を発揮した。まずは最初の関門である螺旋の上昇路。ハンドル角一定で円筒の内側にネジを切るように昇っていくこの部分で、VH009の自車マークは先端部を軸に尻をぐるぐると回す安定しきった測位ぶり。昨年までのモデルでもまったく破綻する兆候は見せなかったが、今年はひときわ正確度が向上したような印象を受けた。
螺旋を昇りきった後、変形の駐車フロアに移った後も、正確そのもの。どれだけ回転しても目を回さないフィギアスケート選手のようなナビである。
一定時間、駐車した後の下りでは、しかし、上昇時のようにはいかなかった。当初は正確。このまま完全走破を遂げるかと思った矢先、下り旋回で南西方向にずれたのを契機にずれが拡大。実車位置とは完全に離れてしまった。
その後の自車マークは、実際の位置より南の街区を彷徨。クルマが出口でGPSを受信できる状態になっても、しばらくの間、正しい位置を示すことができなかった。駐車場内後半の破綻はともかく、出口での復帰性能にもういちだんの性能向上を望みたいところだ。
●後半から崩れ、昨年の王座を手放す
ストラーダは、GPS電波を受信できない屋内立体駐車場などで、より正確な測位を実現するとともに、出口での位置精度を高めるため、3Dジャイロを活用した独自の高精度自車位置表示システムSALASを搭載していることは既に御紹介したとおりだが、千葉そごうの駐車場はまさにその効果を試す絶好の場所。
先の首都高速・羽田ランプ付近といい、この千葉そごうといい、パナソニックが力を入れて測位性能の向上を図っている場所と、今回のテストコースが一致しているが、これは測位条件の厳しい場所を探し求めていったら偶然に一致したというだけのことで他意はない。
SALASの効果か、コース前半部のHDS960はカロッツェリアにも劣らない測位性能を発揮。螺旋の上昇路ではカロッツェリアよりもいくぶん、自車マークの動きが安定していないようにも見えたが、常に正確な位置を表示。停車位置まではまったく危なげのない走りを披露した。
駐車スペースにクルマを収めた時の位置と車両の向きも正確。GPSを一切受けられず、しかもその状態で連続急旋回を行なうという、きわめて過酷な状況にもかかわらず、これだけの精度を確保するあたりは、カロッツェリアとともに優れた測位系を備えていることの証だろう。
しかし、下りでは破綻が待っていた。ここはGPS電波が途切れ途切れに受けられそうな微妙な条件。本機はその下り旋回に入ったあたりでまずオーバーステア気味になった後、今度はアンダーでも出したかのように急に大回りになって南方にずれ、街区内で迷子状態に陥ってしまった。出口でGPSを受けられるようになった後の復帰は、カロッツェリアほど遅くはなかったが、さりとて素早くもなかった。
●復帰性能の高さは七難隠す?
イクリプスのナビは、この何年か、千葉そごうの駐車場では、あまり良好な成績を残していない。全般に道路とのマッチングが強めなせいか、自車マークが駐車場を飛び出したり縁のあたりで旋回することが多かったと記憶している。ルート探索や案内性能に優れたナビだから、惜しいことだと記した憶えもある。
そうした過去を思い返しながら、今年はどうかと期待を抱いてテストに臨んだが、傾向としては過去と似たようなものになってしまった。
駐車場への進入はスムーズ。ここはまったく問題なし。そして少しの間は実車位置と自車マークがうまく同調。これならかなりの成績が収められそうに思われたが、旋回上昇の途中から自車マークが遅れはじめ、ついには南の道にマッチングして再び戻っているという現象も発生。
最上階の停車場では、方位が少しずれているものの、位置的にはまずまずのところまで修正してみせた。それにしてもGPS電波をまともに受信できない状況下で、混乱の後でどうやって修正を行なったのか、この点に関しては不明というほかない。
再出発後は一時的に安定、正しい位置取りを守っているように見えたが、マップマッチングが強すぎるせいなのか、途中から南の道に移動して旋回した後、車両が線路沿いの道を西進するのに合わせて、ビルを横切って西に出たが、その後GPSを受信したのを契機に自車位置を修正。マークを街区の一部に引っ掛けながらも、現実の車両の位置に近い場所に自車マークを置いてみせた。
結果的には、復帰性能の高さで七難を隠した格好だが、これなら実用上はほぼ問題なし。現実的な作りのイクリプス・ナビらしい結果といえるだろう。
●カジュアル・ナビには過酷すぎた?
かつてのナビは、一部モデルを除いて、道路へのマッチングが強すぎるために、“道離れ”の能力に問題ありといわざるをえないものが少なくなかったが、最近のナビはそのようなことはない。クルマが道路から駐車場などに入れば、自車マークもすんなりと道を離れてくれる。
ケンウッドのHDV-770は、今回のテスト機の中では最もカジュアル志向が強い製品だが、そうしたナビであっても、実用性に大きく関わるこういった部分の性能が着実に向上しているのが最新ナビの強味である。
HDV-770も、何らためらうことなく駐車場前の道に別れを告げ、駐車場に向かった。続く螺旋の上昇部分で、しかし早くも測位に乱れが発生。一定の舵角で旋回する車両の動きについていけず、自車マークと自車位置が次第に乖離。ついに自車マークは進むべき方向を見失ったかのように勝手走行を始め、停車位置では駐車場の北東方向にあるJR千葉駅の路線に突っ込んだ形で停まってしまった。
しばしの停車後の下りでは、自車マークは線路上で回転を開始。車速と方位がまったく噛み合っていない状態が続いた。その後、車両がさらにコースを走行すると今度は南進。駐車場の南側で回転を始めてしまった。
テストカーは続いて線路沿いの道を出口に向かって西進するのだが、自車マークはその位置を正確に捉えることができず北方に移動。クルマが出口に到達して証拠写真を撮った時点で、自車マークはモノレール千葉駅の東側に位置していた。
カジュアル派ナビにとって、状況があまりにも厳しすぎるという側面は確かにあるものの、この結果はやはりいただけない。もう一段のレベルアップを望みたいところだ。GPSを受け始めてからの正しい位置への復帰はそれほど遅くはなかった。
●旋回時の方位喪失で破綻をきたす結果に
一部の尖った性能よりも、誰もが使いやすいバランスの取れた性能を志向するクラリオンのナビにとって、千葉そごう駐車場のような場所は荷が重いかもしれない。事実、アゼスト時代からここではあまり芳しい成績は残していない。しかし今回、首都高速・羽田ランプではなかなかの好結果。その勢いに乗って、良好な測位性能を発揮してくれることを願いつつテストを開始した。
道路から駐車場への進入はまったく問題なし。道離れはスムーズで、場内走行時の動きも悪くなかった。しかし少し旋回上昇したところで異変が発生。自車マークが突如、すぐ隣にある線路上まで飛んでしまい、少し経ってから自車位置近くに戻ってきた。その後は建物を大きく飛び出すことはなかったが、こうした予期せぬ動きによって正確な位置表示はできず終い。最上階での駐車時には、自車マークが建物の側壁部に頭を突っ込んだ格好で停まってしまった。
下りを開始した直後の自車マークは、建物との位置関係はずれているものの、動きと方位変化はおおむね良好。しかし、動き始めの座標がずれているため正確な位置が表示できないうえ、途中で南側の道路に近づいた際にマップマッチングの吸引力に絡め取られたのか、建物の南側で旋回。その後、実車が旋回路から外れて線路沿いの道を西進し始めると、本機の自車マークは北西に進行して線路を横断。実車が出口に辿り着いたときには、それより北にずれた場所に自車マークがあった。
GPS電波を受けられるようになってからの正しい位置への復帰は、遅くもなく早くもなくといった印象。旋回時の方位の追求性がもう少し良好ならば、かなり異なる結果になったのではないかと思われる。










