

●AVIC-VH009はこんなナビ
カロッツェリアは、1990年に世界で初めてGPS方式の市販ナビを発売。その後もDVD、HDDのいずれもライバルに先んじて製品化、常に業界を牽引してきたカーナビ界のリーディングブランドである。一般には同ブランドのポピュラーモデル“楽ナビ”がよく知られているが、その技術と性能の源泉は最上位を占めるこのサイバーナビ・シリーズにある。
エンターテインメント性を基軸に据えながらも、その技術志向の強い作り、とりわけ“測位マシーン”と棹名される高度な測位性能は、現在のカーナビの水準を知るうえで欠かすことのできないものになっている。
今回テストしたAVIC-VH009は、各種デジタル音響制御機能や4chアンプを内蔵するインダッシュ7型VGAモニター部と、DVD/CDドライブ付きナビ本体を組み合わせた1DIN+1DIN構成のAV一体機。40GBのHDDは脱着可能なブレインユニットに内蔵、ホームユースのほか、ブロードバンド環境を利用してユーザー間で有益な情報を共有するスマートループ構想に参加することもできる。

●「操作性」を評価すると
サイバーナビは、数あるカーナビのなかでも多機能派の代表格。それだけにメニューは多彩だが、よく整理されていてわかりやすい。メインメニューの構成さえ理解できれば、初めての人でもまごつくことはないだろう。
ただ、メニューを呼び出したりAV系と切り替えるための画面下のハードキーはサイズが小さく、スムーズに使うには慣れが必要。タッチパネルの感度は平均的レベルといったところだが、画面の切り替わりはやや切れ味に欠ける印象。スクロール速度は格別速くはないものの、地図切れも起こさず全般にスムーズでストレスなく使うことができる。
ただ、電源投入から地図表示まで時間がかかりすぎるのは問題。せめて半減をとリクエストしておきたい。

●「地図」を評価すると
この地図の特徴は、なんといっても2D表示時の落着いた佇い。数あるカーナビ地図の中で最も紙地図に近い印象を与えるものに仕上がっており、ナビ初体験者も自然に受け容れられることだろう。
ただ文字表示やピクトや多めで、場所によっては少し情報を整理したほうが見やすく感じられることもある。道路もあまり鮮明に見える作りではない。こういった場合にはマップイコライザーが役に立つ。
3D表示のスカイシティマップやスカイビューはかなりエンターテインメント性を重視した仕様。さらにドライバーズビューやソリッドシティマップになると、遠方の状況が把握しづらいため慣れが必要だ。市街地図収録エリア数は多いが、地方に行くと各収録エリアの面積は比較的狭い。

●測位 羽田
期待が大きいだけにひとつのミスも目立ってしまう
ライバルに先駆けて3Dジャイロセンサーや高速マップマッチング技術等を投入するとともに、ソフト面でも膨大なノウハウを持つカロッツェリアの最高位モデルだけに、この地点のような測位はお手のもののはず。首都高速・羽田ランプ付近のこの場所は、従来モデルでも何回か走行しているが、そのたびに完璧に走り切っている。
その測位性能は、以前から本誌上で繰り返し御紹介してきたとおりだが、まったくもって高い水準にある。とりわけ近年のサイバーナビは、道に乗せることはもちろんのこと、実車が駐車場等に入ったときに正確に“道を外す”能力もきわめて高く、道路上にいようがいまいが、自車位置の表示精度に関しては抜群の信頼を寄せることができる。
道を外れた場合の位置情報が、次なる目的地に向かう際に的確な案内ルートを引くために不可欠な要素であることは言うまでもないだろう。
上方を首都高速とグラウンドレベルの一般道を識別しながら走る必要がある、ここ川崎でのVH009は、いつもどおりに安定しきった測位ぶり。優れたサスとタイヤを備えたクルマがいかなる路面でも捉えて走るように、地図をグリップして走っているかのような印象すらある。
しかし今回は、どうしたことか平凡な場所で、ごくわずかなミスを犯した。掲載画面からは外れているが、一般道を北上する場所で少し行き過ぎて街区内を走行し、ほどなく正しい位置に復帰した。
その後はいつもどおりの正確な即位を行なってみせたが、これは“らしからぬ”結果。マニアから“測位マシーン”の異名で呼ばれるサイバーナビでも「上手の手から水がこぼれる」ことがあるということなのだろう。上下道の識別に関しては、まったく文句のつけようがない出来だった。


●測位 千葉そごう
破綻したあとの復帰性が今後の課題
測位マシーンの異名を持つサイバーナビの腕の見せどころといった場所だが、過去何年間もここ千葉そごうの駐車場では完全トレースを果たしていない。ライバル機も1台として完璧に走りおおせたモデルがない難所中の難所ゆえに、簡単にはいきそうもないが、測位の代表旗手であるサイバーナビがいつ、この地を制するかは我々スタッフの最大の関心事のひとつになっている。
なおカロッツェリアのナビは、駐車枠まで描き込まれた詳細な駐車場マップ(全国120ヵ所)を持っているが、千葉そごうはその中に含まれていない。
ここでのサイバーナビは前半、さすがといえる測位性能を発揮した。まずは最初の関門である螺旋の上昇路。ハンドル角一定で円筒の内側にネジを切るように昇っていくこの部分で、VH009の自車マークは先端部を軸に尻をぐるぐると回す安定しきった測位ぶり。昨年までのモデルでもまったく破綻する兆候は見せなかったが、今年はひときわ正確度が向上したような印象を受けた。螺旋を昇りきった後、変形の駐車フロアに移った後も、正確そのもの。どれだけ回転しても目を回さないフィギアスケート選手のようなナビである。
一定時間、駐車した後の下りでは、しかし、上昇時のようにはいかなかった。当初は正確。このまま完全走破を遂げるかと思った矢先、下り旋回で南西方向にずれたのを契機にずれが拡大。実車位置とは完全に離れてしまった。
その後の自車マークは、実際の位置より南の街区を彷徨。クルマが出口でGPSを受信できる状態になっても、しばらくの間、正しい位置を示すことができなかった。駐車場内後半の破綻はともかく、出口での復帰性能にもういちだんの性能向上を望みたいところだ。

●「検索」を評価すると
検索方法のバリエーションは、現在の最新ナビとしては平均レベル。名称(50音)検索時の条件指定は可能だが、検索結果の並べ替えや絞り込みはできない仕様。AND検索が可能な数少ないモデルでもある。
また、検索結果画面で地図を表示させながら場所の確認ができる機能も採用、その便利さは実際に使ってみるとよく理解できるはずだ。周辺検索に関しては、先に紹介した親切な機能を備えている反面、全体的には平均レベルの出来ばえといった印象。ルート沿いの店などを探すことはできるが、ルートの左右いずれにあるかまでは表示してくれない。
データのヒット率、ピンポイント率は、今回使ってみた限りではいま一息という印象を受けた。

●「ルート探索」を評価すると
ルート探索スピードは格別、速くもなければ遅くもないレベル。ただその後に現れる結果画面は、渋滞および順調時の所要時間、乗降IC、距離などが整然と表示され、的確な情報が得られる。
最大6本の複数ルート表示もワンタッチ。その状態で地図の縮尺変更やスクロールができる便利な仕様。6ルートリストも見やすく、このあたりは実によく考えられている。ルート探索の条件が変えられるルートイコライザーは、より好みに近いルート探索をさせるうえで有効だ。
ただ、経由地を設定したいときに区間ごとに探索条件が変えられないのは、やや残念な部分。ルートの選び方は、標準的な推奨では国道や県道を主体にした人向け。距離優先でもあまりマニアックな道選びはしない。

●「ルート案内」を評価すると
ルート案内の中心的役割を果たす交差点拡大図は、曲がるべき方向は比較的わかりやすいが、周辺の道まで描き込まれているため視覚的にはやや乱雑な印象。ただランドマーク表示と音声による読み上げで、上手くカバーしている。
ドライバーズビューによる案内は、前方状況が把握しにくい傾向がある。画面上部のルートインフォメーションの矢印に触れると、次の案内地点の地図表示と音声案内が行なわれるが、これはきわめて便利な機能であり、オートフリーズームとともに運転者に大きな安心感をもたらしてくれる。
曲がるべきポイントの手前30mで最後のひと押しの方向ガイドを行なう音声案内も優れた機能。音声案内はしかし、今年からナレーターが代わり、あまり特徴のない声になってしまった。

●「細街路探索」を評価すると
サイバーナビは、新青梅街道から延々と細街路を走り続けるルートを描いた。自車位置から東に少し走って山手通りに入り、北進後ほどなく左折して大久保通りを西進すると、この細街路ルートの東側の膨らみの部分に比較的簡単に行くことができるのに、である。もっともこの経路は夕方の渋滞を回避したためとも考えられるのだが、それにしても細街路ばかり走りすぎではないだろうか。
大久保通りから北側の一方通行路は道幅も細く、走行には気を使う道。南側の大久保通り側からこの目的地に向かうなら、クラリオンやケンウッドが選んだ道のほうが楽に走ることができる。新青梅街道から細街路に入ったために、やや苦しい道選びになってしまったようだ。
