

●AVN8806HDはこんなナビ
現在の市販カーナビの主流は、カーナビとAV機能を融合一体化させた2DINサイズのAVナビ。コンパクトかつ多機能が大いに受けている。
1997年、AVNの名でこうしたAV機能とナビの一体化コンセプトを初めて世に問うたのがイクリプス。以来、2DIN一体のAVNは徐々に浸透。このタイプのモデルをラインナップしないカーナビメーカーは1社もない状況になっている。
テスト機のAVN8806HDは、7型VGAタッチパネルモニターの下方に特徴的なアクティブウイングを採用し、ハードキーを集中配置して操作性を向上。本体内には40GBのHDDやナビの主要回路を1チップに集約したアルティマエンジン、4枚チェンジャー方式のDVD/CDメカ、5.1chサラウンドデコーダー、AUTOタイムアライメント/AUTOクロスオーバー、4chアンプ等を内蔵し、ナビからAVまでユーザーの幅広い要求に応える各種機能を搭載。
車両前方の両サイドの様子を2分割画面で表示する、市販カーナビ初のフロントアイカメラもオプションで用意されている。

●「操作性」を評価すると
ハードキーをひとまとめにした独自のアクティブウイングは、手の動きも最小限で済み操作性良好。画面上に必要に応じて現れるソフトキーも反応鋭く、軽快に使うことができる。ただ当のアクティブウイングがあるため、画面下端に表示されるソフトキーがいささか押しづらく、装着位置が高めのクルマではこの傾向が助長される可能性がある。
メニューは構成がいまひとつ。通常の検索や案内では問題なく使うことができるものの、設定項目はいささか未整理の印象をまぬがれない。ナビ系とオーディオ系のメニューの造りにも一体感が欲しいところ。起動は最速の部類。スクロールは速くレスポンスも良好。
いささか古めかしいところも見受けられるが、全般に扱いやすいナビである。

●「地図」を評価すると
道路の視認性が高く、つながり具合がよく理解できる地図。カロッツェリアのように紙地図に近い作りは、カーナビ初心者でも違和感なく使えるが、カーナビ用と割り切れば本機のような道路主体の作りも悪くない。どちらのタイプが適しているかは、人それぞれだろう。
一般の道や細街路が見やすい本機の地図は、比較的細い道をよく利用する人にとっては便利に使えるはずだ。国道、都道府県道、幹線道など道の種別による色分けに関しては、走行中の目安にはなるが、複数の道が交差する場所ではやや紛らわしく感じられ、VICSの矢印が見づらい場合もある。
高速路線マップは概略を把握するのに好適。地図と素早く切り替えられれば、さらに便利に使えるだろう。

●測位 川崎
今年も見られたオーバー傾向
カーナビは、自車の位置と方位を示すロケーターと、地点検索から目的地までの誘導を行なうナビゲーターの、大きく分けて2種の機能から成り立っており、いずれにウエイトを置くかその基軸の据え方は各社各様だが、イクリプスのカーナビは明らかに後者のナビゲーター指向。ロケーター機能を重視していないわけでは無論ないのだが、両者を比較すると目的地に導くという側面に重きが置かれている。
カタログ等の資料を見ても、検索やルート案内などに関しては丁寧に説明しているのに対し、測位系についてはほとんど触れていないことからも、そのスタンスをうかがい知ることができる。
このような性格を持つイクリプス・ナビゆえというわけでもないだろうが、ここ羽田ランプでのテストはいまひとつという結果に終わった。自車マークの動きは、鈍重でもなく、さりとて軽々しくもなく、的確に方向を変えて道をトレース。バランスのよいところを見せたが、高速沿いに北側の側道を走る途中でミスコース、ごくわずかな距離ながら高速南側の道に飛び移って走行。その後ほどなく正しい位置に復帰したものの、その直後に実車より自車マークが先走りするオーバー状態に陥り、クルマが追いつくまでマークが足踏みするという現象が発生した。
その後はまったく異常なく、高速への進入も正確にこなしたが、上記の2点においてやや問題を残す形となった。このオーバー傾向は、以前から同ブランドのナビに時折見られたもので、今回の走行でもそうであったように正確な位置に復帰するのが比較的早いため、事実上はまず問題はないものと思われるが、他の機能、とりわけルート探索や案内性能が優れているモデルだけに、やや惜しまれるところではある。


●測位 千葉そごう
復帰性能の高さは七難隠す?
イクリプスのナビは、この何年か、千葉そごうの駐車場では、あまり良好な成績を残していない。全般に道路とのマッチングが強めなせいか、自車マークが駐車場を飛び出したり縁のあたりで旋回することが多かったと記憶している。ルート探索や案内性能に優れたナビだから、惜しいことだと記した憶えもある。
そうした過去を思い返しながら、今年はどうかと期待を抱いてテストに臨んだが、傾向としては過去と似たようなものになってしまった。駐車場への進入はスムーズ。ここはまったく問題なし。そして少しの間は実車位置と自車マークがうまく同調。これならかなりの成績が収められそうに思われたが、旋回上昇の途中から自車マークが遅れはじめ、ついには南の道にマッチングして再び戻っているという現象も発生。最上階の停車場では、方位が少しずれているものの、位置的にはまずまずのところまで修正してみせた。
それにしてもGPS電波をまともに受信できない状況下で、混乱の後でどうやって修正を行なったのか、この点に関しては不明というほかない。
再出発後は一時的に安定、正しい位置取りを守っているように見えたが、マップマッチングが強すぎるせいなのか、途中から南の道に移動して旋回した後、車両が線路沿いの道を西進するのに合わせて、ビルを横切って西に出たが、その後GPSを受信したのを契機に自車位置を修正。マークを街区の一部に引っ掛けながらも、現実の車両の位置に近い場所に自車マークを置いてみせた。
結果的には、復帰性能の高さで七難を隠した格好だが、これなら実用上はほぼ問題なし。現実的な作りのイクリプス・ナビらしい結果といえるだろう。

●「検索」を評価すると
検索方法のバリエーションに関して今や、どのナビもほぼ同等の横並び状態になっているが、本機は検索時の不要な手間や操作をできるだけ減らす工夫が盛込まれている。
エリア指定を自車位置の都道府県から行なえるエリア絞り込み検索やグルーピングリスト表示などはその代表で、煩わしさはこれによってかなり解消。ただ検索の結果画面で地図を併せて表示する機能は未搭載。この機能があれば、さらに便利に使えるだろう。
50音検索は、検索結果がグルーピングリストとして表示された後に距離と名称によるソートが可能。AND検索や部分一致には未対応。ルート沿いの施設の検索は、道の左右いずれかにあるかまで判別できる便利な仕様。ナビゲーション性能重視の姿勢がこのあたりにも見てとれる。

●「ルート探索」を評価すると
実際に使ってみて驚かされるのは、探索スピードの速さ。従来から定評があったが、渋滞データを加味した探索でもそのスピードはまったく鈍っていない。5ルート表示画面では地図の縮尺変更やスクロールが可能なため比較がやりやすい。
乗降ICの同時指定、道路指定、経由地ごとの探索条件指定が可能なカスタマイズ性に優れた仕様は、大いに評価できるポイントだ。
さらに、通りたくない場所を指定する迂回地点の設定は、その大きさまで変えられる念の入ったもの。本機の推奨ルートにあたる渋滞考慮ルートは、高速、国道、都道府県道などを利用する標準的な経路を引くが、距離優先にすると一転して最短距離に近いルートを示す。運転の上手い人には有益だろう。

●「ルート案内」を評価すると
ルート案内の上手さは従来から定評のあるところだが、今回も改めてそれを実感した。まずは一般道の交差点案内。これが抜群の完成度。特に拡大図のイラストの描き方が絶妙で、どのように曲がればいいかが的確にわかる。音声案内に交差点名称が盛り込まれる点も親切でわかりやすい。
レーン表示の多用も、画面上はやや煩雑になるものの実用的で、都市部を走行する場合にはきわめて有効。難交差点案内や側道案内はきわめて有益だ。こうした先々の状況を的確に教えてくれるナビは安心感が違う。
従来からのリアル交差点拡大図も鮮明でわかりやすい案内画面だが、新搭載の“カットインムービーガイド”は大胆な表示による積極的な案内方法として注目される。

●「細街路探索」を評価すると
今回、設定した目的地に対して、最も理にかなったルートを引いてみせたのがイクリプス。コの字を向かい合わせた格好のこのルートは、一般道を可能なかぎり利用したうえで、細街路はできるだけ短く設定し、走りにくい恐れのある部分を極力、排除するという点で優れている。人間の感覚に最も近い道選びといえるだろう。
しかも細街路表示ルートの部分は、極細と表現しても過言ではないこの地域一帯の道のなかでは、かなり幅広い道。本機は、しっかりした道路データを持っているのだろう。
このルートなら、運転にあまり自信がない人でも比較的、容易に目的地まで辿り着けるはず。信頼できる細街路探索性能である。
