

●CN-HDS960TDはこんなナビ
イタリア語で「道」を意味するストラーダの名を冠したパナソニックのカーナビは、ポピュラーなストラーダと、その上位に展開される同Fクラスの2シリーズ構成。
とりわけ上級のFクラスは、CD-ROM時代から高い評価を得てきた同ブランドのカーナビ技術に加え、今日の状況を見越すかのように早い段階から製品に投入してきたVGAモニターを搭載、高品位なナビに仕上げられている。
マニアックな側面を極力排した万人向けの性格が与えられているのも同ブランド・ナビの大きな特徴だ。
CN-HD960TDは、そのFクラスを代表する1DIN+1DIN構成のインダッシュモデル。7型VGAタッチパネルモニター、5.1chデコーダー、4chアンプ、DVD/CDおよびMDドライブ、40GBのHDD等を搭載、ナビのみならず多彩なAV機能をこなすオールラウンドプレーヤーに仕立ててある。
さらに本機は、他のFクラスモデルと同様、地デジチューナーをカーナビとしてはじめて標準装備。VIERAプロセッサーまで投入して、高画質を追求している。

●「操作性」を評価すると
ストラーダの操作系でまず目を引くのは、画面をナビとAV系に2分割したツートップメニュー。これはわかりやすく操作性も良好。画面に表示されるソフトキーは全般に大きめで扱いやすいが、そのぶん地図が隠されがち。
フレーム上のハードキーはタッチセンサー方式でサイズが大きいので扱いやすい反面、走行中には誤って触れ画面が切り替わってしまうことも何度かあった。
操作に対する反応は全体に軽快。しかしリルート後など表示が切り替わる際に、画面が一瞬消えたり自車マークが表示されなくなるのは要改善点。スクロール時の地図切れも少なからず発生する。電源投入時の立上がり自体は決して遅くないが、その都度「安全上の注意」が表示されるため、地図表示まで時間がかかる。

●「地図」を評価すると
100mスケールの市街地図として、かねてより評価の高いドライビングバーチャルシティマップは、2Dと3Dであまり大きな落差を感じさせず、このあたりの作り方はなかなか上手い作り。画面上の文字表示は多めながら、比較的よく認識できるのは、VGAの歴史が長い同ブランドならではの技だろう。
事故多発地点表示は、安全支援策の一環として評価できるポイントだ。道路は影付き表示のため、道路の様子はよくわかるが、場所によってはやや煩雑に感じられなくもない。いずれにしても使える100m地図である。
その反面、200mスケールにすると道数は少なく文字表示も激減。このギャップはちょっと大きすぎるといわざるをえない。ハイウェイサテライトマップは長距離走行時に便利に使える。

●測位 羽田
測位技術に懸けた努力、ここに実る
地デジチューナー標準装備モデルをいちはやくラインナップに加えるなど、ストラーダFクラスはその高い総合力が魅力的なカーナビだが、カーナビ性能のベースである測位に関しては、以前から力が入っている。
3DジャイロセンサーやGPS12chレシーバー等のデバイスに加え、SALASと名付けられた高精度補正システムや、大都市部の都市高速および主要幹線道において、道路データと検知した傾斜角データを照合してクルマの上下動を感知、高架上の高速走路とその下の一般道が重なり合っている場合でも、走行中の道路を正確に判別する上下道路傾斜判定機能を搭載。測位が困難な場所での位置精度の向上を図っている。
川崎の首都高速・羽田ランプに今回、設定したテストコースは、まさにストラーダの上下道傾斜判定機能が対象としている路線に含まれる場所。本機にとっては有利とも考えられるが、それだけに万が一ミスを犯すとストラーダの測位系全般の信用失態にもつながりかねない。もしストラーダが人間だったら、相当なプレッシャーを感じたことだろう。
結果は、傾斜判定ロジックの勝利。最初から最後まで1ヵ所としてミスを犯すことなく完璧に走りきった。走行開始直後の、高速に入ると見せかけて隣接する脇道に入るポイントでも正確に下道を選び取ったし、その後で高速の脇を東に並走する部分も、高速に惑わされることはなかった。
後半も終始正確。最後に高速に乗り込んだときには自信満々といった感じで高速への進入路に自車マークを表示してみせた。測位結果には文句のつけようがない。ただ、本機の自車位置表示は、この場所に限らず、やや落ち着きに欠けるところなきにしもあらず。路面にぴたりと吸い着いたような表示になれば、安心感、信頼感ともに格段に向上するに違いない。


●測位 千葉そごう
後半から崩れ、昨年の王座を手放す
ストラーダは、GPS電波を受信できない屋内立体駐車場などで、より正確な測位を実現するとともに、出口での位置精度を高めるため、3Dジャイロを活用した独自の高精度自車位置表示システムSALASを搭載していることは既に御紹介したとおりだが、千葉そごうの駐車場はまさにその効果を試す絶好の場所。先の首都高速・羽田ランプ付近といい、この千葉そごうといい、パナソニックが力を入れて測位性能の向上を図っている場所と、今回のテストコースが一致しているが、これは測位条件の厳しい場所を探し求めていったら偶然に一致したというだけのことで他意はない。
SALASの効果か、コース前半部のHDS960はカロッツェリアにも劣らない測位性能を発揮。螺旋の上昇路ではカロッツェリアよりもいくぶん、自車マークの動きが安定していないようにも見えたが、常に正確な位置を表示。停車位置まではまったく危なげのない走りを披露した。駐車スペースにクルマを収めた時の位置と車両の向きも正確。GPSを一切受けられず、しかもその状態で連続急旋回を行なうという、きわめて過酷な状況にもかかわらず、これだけの精度を確保するあたりは、カロッツェリアとともに優れた測位系を備えていることの証だろう。
しかし、下りでは破綻が待っていた。ここはGPS電波が途切れ途切れに受けられそうな微妙な条件。本機はその下り旋回に入ったあたりでまずオーバーステア気味になった後、今度はアンダーでも出したかのように急に大回りになって南方にずれ、街区内で迷子状態に陥ってしまった。出口でGPSを受けられるようになった後の復帰は、カロッツェリアほど遅くはなかったが、さりとて素早くもなかった。

●「検索」を評価すると
検索の種類とその操作方法は、特別なものではないが、使いやすさと検索結果の信頼度は高レベル。なかでも感心させられるのが、施設名称等の一部語句だけを入力したときにも検索機能が働く、本当の意味での部分一致検索が可能な点。今回のテストした機種のなかで唯一、この検索ができた。
名称検索結果の並べ替えや条件を加えての絞り込みも、きわめてスムーズに行なえる。検索結果が地図画面と併せて表示され、場所の確認が容易にできる点も評価できるポイントだ。周辺検索においても検索結果の並べ替えや絞り込みが可能だが、ルート沿いの検索は不可。ヒット率、ピンポイント率は平均レベルながら、データの鮮度はかなり高いようだ。

●「ルート探索」を評価すると
複数ルートの探索結果画面は、表示がわかりにくいものが少なくないが、本機はその点も優秀。縮尺変更やスクロールはできないものの、大体の様子や雰囲気はつかむことができる。
ただ5ルートを探索させると、意外に時間がかかってしまう。乗降ICの変更ができないなどカスタマイズ性はもうひとつ。経由地を置いたときの区間ごとの探索条件は。高速、一般道、道路指定ができ、これは便利に使える。
道選びは、標準的な推奨ルートでは高速道路をよく使う傾向はあるものの、幅広い道を主体に選ぶ無難な傾向。高速優先では遠回りでも高速を選ぶ。一般道優先、距離優先にすると、細めの道も使うものの、あまり積極的に利用するタイプではない。

●「ルート案内」を評価すると
あの手この手とさまざまな機能を繰り出してくるパナソニックの案内は、ユーザーを選ばない万人向けの仕様。各種の交差点案内は、赤い絨毯の上を無理に歩かされているような印象がなきにしもあらずだが、それだけに安心感が得られる。特に不案内な土地では、これぐらい半ば強引な案内をしてくれたほうがいい場合も少なくないはずだ。
一般道の案内表示画面は交差点名称等の情報量が多く、最初のうちはやや煩雑に見えがちだが、慣れてくるとかえって重宝する。
高速走行時は、広域を雰囲気のある画面で見せるハイウェイサテライトマップが便利。音声案内は、聞き取りやすい声質で、交差点名を案内に盛り込んでくれるため、視線を動かすことなく方向が確認できる。完成度の高い案内性能を実現している。

●「細街路探索」を評価すると
ストラーダも、新青梅街道から早々と細街路を選んで、北進するルートを選んだ。新青梅街道を左折するポイントはサイバーナビと同じ。その後の経路は、サイバーナビが東側に向かったのに対し、本機は西への分岐を選択。そのまま北上し、大久保通りを横断して目的地の真南に接近することに成功しているが、その後少し北上してからのクランク状経路が問題。ここは道路はあるものの自動車での走行は無理な小路。
クラリオンは大久保通りを同じ交差点で曲がり、うまく経路を選んでいるが、よく見るとクラリオンの地図にはクランク状の細い道は描かれていない。この違いが明暗を分けたようだ。サイバーナビとともに、なぜ細街路ばかりの道を選んだのか、理由はよくわからない。
