アメリカを代表するブランド

キャデラックがアメリカを代表する高級車ブランドであることは、いまさら言うまでもない。一目でそれとわかる個性的なデザインと圧倒的な存在感。キャデラックほど「威風堂々」という言葉が似合うクルマはないだろう。それだけに、近寄りがたい、あるいは、手の届かないブランドと感じるかもしれないが、ドアを開け、その懐に飛び込むと、実にフレンドリーで身近な存在であることに気付くはずだ。その上、走らせればドライビングプレジャーにあふれている。

そんなキャデラックの真実を確かめてみたければ、スタイリッシュなミディアムクラスワゴン「CTSスポーツワゴン」に乗ってみることをお勧めする。全長4870mmのボディにはキャデラックらしさが凝縮されている。

エッジの利いたフォルムに堂々たるフロントグリルと縦型のヘッドランプ、そして、フロントフェンダーに輝くサイドエアエクストラクターなど、キャデラックらしさを全身に散りばめたCTSスポーツワゴン。ボディが張りのある面で構成されるためか、数字以上にサイズが強調されるが、実際は機械式駐車場にもすんなり入るから、運転をためらう理由はない。

おもてなしの名手

さっそく上質なレザーシートに身を委ねると、そのしっかりとした座り心地にキャデラックの変革を見たような気がした。そして次の瞬間、緻密(ちみつ)でモダンなコックピットに目を奪われる。エレガントな造形もさることながら、ダッシュボード上面やドアトリムにあしらわれた上質な素材と美しいステッチが私をくぎ付けにしたのだ。聞けば、ハンドカットした特別な素材をクラフトマンたちが縫い上げたといい、サイズこそミディアムクラスのCTSスポーツワゴンだが、仕立ての良さは文句なくラグジュアリークラスである。

スポーツワゴンだけあって、テールゲートを備えた荷室はスペースに余裕があり、セダンに比べて荷物が簡単に出し入れできるのがうれしい。テールゲートは電動開閉式であることに加えて、開く位置がメモリーできるなど、とても気が利いている。

アメリカの良さのひとつとして、ホスピタリティの高さを挙げる人は多い。CTSスポーツワゴンのキャビンにはその伝統が惜しみなく表現されている。この内容で、「CTSスポーツワゴン3.0プレミアム」の価格が600万円を切るというのは驚きである。

“スポーツ”はだてじゃない

もちろん、CTSスポーツワゴンの魅力はデザインや装備だけではない。その走りもこのクルマの価値を高めるものだ。ノーズに搭載されるのは、3リッターのV6直噴エンジンで、吸排気ともに連続可変バルブタイミング(VVT)を採用。最高出力273ps、最大トルク30.8kgmの実力を持つ。これに6段ATを組み合わせて後輪を駆動するのだが、「これでホントに3リッター?」と疑ってしまうほど低速から力強く、街中から高速まで、あらゆる場面でストレスフリーの加速を見せる。VVTのおかげで高回転の吹け上がりも爽快(そうかい)で、スポーツワゴンにふさわしいフィーリングを楽しむことができる。そうなると燃費が気掛かりだが、10・15モード(社内測定値)は8.4km/リッターをマークし、しかも、レギュラーガソリン仕様というのがうれしいところだ。

一方、乗り心地はスポーツワゴンといえども過度に締め上げられているわけではなく、ソフトさを残しながらフラットさが感じられる快適な仕上がりだった。後輪駆動らしく、素直で軽快なハンドリングがクルマとの一体感を高めるからか、実際よりも小さいサイズのクルマをドライブしているように思えてくる。

キャデラックの名にふさわしい上質さとくつろぎを提供しながら、過去のイメージとは異なるダイナミックさを手に入れたCTSスポーツワゴン。「百聞は一見にしかず」とはよく言うが、これまでキャデラックと無縁だった人にこそ、ぜひ試してほしい一台である。

Cadillac CTS SPORT WAGON
Cadillac CTS SPORT WAGON
Cadillac CTS SPORT WAGON
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