まずは乗ってみてほしい - 次世代レクサスの先駆けとなる「GS」が目指したものは何か。開発のポイントを聞いた。

「第一印象が大事。印象に残るカタチ。スタイル、強さ、個性」。レクサス次期GSの開発を手がけたチーフエンジニア、金森善彦さんがキーワードを並べていく。「今のGSは速いし、特にハイブリッドはスムーズ。乗ると“いいクルマ”であることは分かるけれど、エモーショナルさが足りなかった」。次期GSでは、「スピンドルグリル」と呼ばれるアグレッシブなフロントマスクを採用した理由だ。

「レクサスブランドとして、全モデルを通じた一貫性が必要です。いままでも、フィロソフィとしての『L-finesse』や、『ヘッドランプがグリルより上にある』といったテーマはあったけれど、パッと見てすぐわかる共通性に欠けていた。次期のGSは、新しいレクサスのイメージをけん引するクルマになります」。次期GSで特筆すべきは、ボディサイズがほとんど変わらなかったことだ。4850mmの全長、2850mmのホイールベースは先代と変わらない……と聞くと、プラットフォーム流用のスキンチェンジか、と考える人がいるかもしれないが、とんでもない。プラットフォームは新設計で、特に後半部は白紙から起こした力作だ。「日本のマーケットを考えると、むやみに大きくはできません。ガレージや取り回しのこともありますし」と金森チーフエンジニア。

室内には、大人4人が十分快適に過ごせるスペースが確保される。フロントシートは、骨組みから新開発された贅沢なもので、クッションにオシリを落とすだけで、スッと姿勢が決まる。よくできている。「シートは大切です。人とクルマをつなぐものですから。どんなに足まわりがよくても、シートが中途半端だとそれを生かせない」。ドライバーズシートに座ると、目の前を水平基調のダッシュボードが左右に横切る。まず目を引くのが、巨大な12.3インチのセンターディスプレイだ。シフトノブの横に配置されたリモートタッチとペアを組む。コンピューターのマウスに当たるそれは、ディスプレイの中のポインターを操作する際、ディスプレイの中に壁があるかの手応えを示し、一方、クリックポイントに近づくと、吸い込まれるようにポインターがクリックポイントに近づいていく。操作そのものが楽しい、秀逸なデバイスだ。

次期GSのパワーソースは、大きく分けて、V6ガソリンエンジンとハイブリッド。これまでラインナップされていたV8は、モデルチェンジを機にドロップされるもようだ。「北米マーケットでもV8のボリュームは限られていました。これまでのレクサスGSの場合、価格もパワーもあまり違わないV8モデルとハイブリッドがあり、どちらがトップモデルなのか分かりにくかった」。-ハイブリッドシステムでV8並みの動力性能を得る、と。「そうです。そのうえ次期のハイブリッドモデルは、モード燃費はもちろん、実用燃費も相当いいものになるはずです。すでに日本では、5割近くがハイブリッドモデルですし、CO2税制が厳しいヨーロッパでも、次第にハイブリッドへとシフトしていくんじゃないでしょうか」。

ガラリと顔つきを変えた次期GS。走りの面でも原点に戻り、名前の由来「グランドツーリング・セダン」を目指したという。「Fun to Driveの極限化」を目指し、「GSの新境地を切り開く!」を合い言葉に、切れのいい走り、鋭いハンドリングを追求した。「走り! 自分が運転して楽しい。もっと乗っていたい。それがクルマの本質」と話す金森チーフエンジニアの口調に熱がこもる。しかしGSクラスのクルマとなると、さらに求められるものがある。「長時間乗っていて疲れないクルマ。スポーティといえども、乗り心地もおろそかにしません」。-具体的には?「足がスムーズに動くよう腐心しました。フロントサスペンションには専用アルミアームをおごって、約2kg軽量化。リアのマルチリンクは、まったくの新設計です。前後とも、ショックアブソーバーのオイルを低粘度化して、滑らかなロールを実現しました」。

-キャスター角を増して、直進性を高めましたね?「日本でも、高速道路を使って、長距離を走る多くのお客様がいます。気を使わずに、どーんと走れる。スタビリティは大事なんです」。V6、ハイブリッドともに、「ラグジュアリー」と「スポーツ」のふたつのバージョンが設定される。後者には、後輪の向きを変えるLDH(Lexus Dynamic Handling System)が搭載され、究極の軽快感と安心感の両立を狙う。基本的に、80km/hまでは前後逆位相にステアリングが切れる、積極的な4WSだ。「私も家族がいますが、一家で出かけるとき、運転を楽しめるクルマでないと。ドライバーズシートで運転しているお父さんもドライビング自体を楽しむことができてハッピー。そのようなクルマをつくりたかったんです」と金森さん。公道でハンドルを握る日が待ちきれないようだ。