INTERVIEW - 強烈な個性を放つコンセプトモデル「レクサスLF-Gh」。そのデザインに込めた思いを聞いた。-

—「LF-Ghコンセプト」において、レクサスのデザインフィロソフィーである「L-finesse」は、どのように進化し、表現されているのでしょうか。

サイモン・ハンフリーズ : L-finesseのフィロソフィそのものについては、従来と何も変わるところはありません。ただ、ヨーロッパのプレミアムブランドに比べればまだ若いレクサスは、新しいことに進んで挑戦していかなくてはならないと考えています。またわれわれは、従来にもまして、レクサスならではの独自の魅力づくりに大胆に挑戦し、主張していきたいと考えています。「LF-Ghコンセプト」では、“よりシンプルかつクリーンでありながら、より大胆な骨格”を作ろうと試みました。

「L-finesse」の方向性について語ってくれた、トヨタ自動車デザイン本部グローバルデザイン統括
部 部長のサイモン・ハンフリーズ氏。

「レクサスLF-Ghコンセプト」を前に、デザインのディテールを説明するハンフリーズ氏と、トヨタ自動車デザイン本部レクサスデザイン部 主幹の稲冨克彦氏(写真右)。

—「スピンドルグリル」にはどのようなメッセージが込められているのでしょうか。

サイモン・ハンフリーズ :個性というだけでなく、機能性も緻密に計算されています。フロントグリルをエアインテークとして見ると、位置が低い方が効率が高まります。そうした事情からアッパー部分は低く置き、一方でロア部分はより大きくしていくと、最終的にはふたつのグリルがひとつになる、という流れから生まれたものです。

稲冨克彦: スピンドルグリルは正面から見ると鼓のような形に見えます。しかしそれは、立体的な造形がほどこされており、角度を変えれば、直線的に見える瞬間もあり、見る角度によって変化するレクサスならではの造形の深みを味わって頂けると思います。またロア部が横へ大きく開いているのは、ブレーキ冷却のためのダクトを両脇に配置しているためです。高い動力性能を発揮するためには、高いブレーキ性能の確保も重要で、これを意匠として積極的に取り入れています。

—フロントとは対照的に、サイドはシンプルな造形が印象的
です。

サイモン・ハンフリーズ : ドアセクションそのものを非常に大きな単位として見せています。キャラクターラインは非常に高いところにありますが、よく見ていただくと、リアタイヤの上で若干下げています。その理由は、リアタイヤの存在感を強調するためです。キャラクターラインの位置を上げると、タイヤが小さく見えてしまうのです。

稲冨克彦: キャラクターラインを下げることで、リアフェンダーが低く配置でき、後ろから見たときに、タイヤに向かってグッと押し込まれたような感じが出て、安定感が増します。一方で、サイドでも低い位置で張り出したサイドシルが空力や操縦安定性を高めながらも、後方で表情を変えて“切り返し”の処理をすることで、サイドビューに躍動感、軽快感を付与しています。

シンプルで力強いサイドビュー。ボディにインテグレートされたドアミラーやドアノブはコンセプ
トモデルならではの造形だが、空力だけでなく安全性も考慮されたものだという。

レクサスの特徴であるロングキャビンプロポーションが採用された「レクサスLF-Ghコンセプト」のリアビュー。

—レクサスのデザインのひとつの特徴である「ロングキャビンプロポーション」はこのモデルにも受け継がれましたね。

サイモン・ハンフリーズ : はい。後席には十分なヘッドクリアランスが確保されています。そのぶんルーフ後端の位置が若干高くなりますが、そこからトランクリッドへの接線を緻密に計算して、とても優れたリアの空力特性を実現しています。

稲冨克彦: ルーフとトランクリッドがベストな位置関係にあることで、風が非常にスムーズに抜けていくことと同時に、ラゲッジスペースの確保にも貢献しています。

—同時にフロントオーバーハングが短いので、非常に軽快な印象を受けます。

稲冨克彦: 真正面から見ると、とてもボリューム感があるように見えると思います。しかし、ショートオーバーハングに仕立てて、回頭性を高めています。また、コーナー部分には強い後退角が付けられています。これは、よりフロントグリルを立体的に見せることにつながっているだけでなく、斜め後方から見ると非常にフロントタイヤが強調され、躍動感の演出にもつながっています。走りの魅力を彷彿(ほうふつ)とさせるグランドツーリングセダンのたたずまいとしての理想形を目指しました。

インテリアは今回公開されなかったが、「エクステリアと同様、レクサスの本質的な価値を表現
しています」とは稲冨氏の弁。