ボルボのデザイン部門責任者、ピーター・ホルベリー氏に聞く 「ボルボ S60」のデザインのポイント (文=青木禎之/写真=荒川正幸)

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ボルボ車のデザインを統括するピーター・ホルベリー氏が来日した。同社の4ドアセダン「S60」がほぼ10年ぶりのモデルチェンジを果たし、日本でも販売が始まるからだ。ボルボ随一のハンサムカー、そのデザインについて語ってもらった。

先代との違いは何ですか?

「全体的なバランスは同じです。でも新しい「S60」ではショルダーラインを後方に行くに従って上昇させ、躍動感を出すようにしました。よりエモーショナルなデザインに仕上がったと思います」

ボルボらしさはどこに感じられますか?

「フロントランプの造形、サイドウィンドウより明確に膨らんだボディサイド、ホイールアーチなどでしょうか」

新型はボディがやや大きくなり*、ホイールベースも延びました。デザインへの影響はありましたか?

「サイズはそれほど大きくなっていないんじゃないでしょうか?室内はルーミーになりましたが……。ホイールベースが長くなったことで、バランスはよくなりました」*=全長4630×全幅1845×全高1480mm。順に55×30×50mmの拡大。

フロントのオーバーハング(前輪より前の部分)をもっと削りたかったのでは?

「フロントの角を斜めに削ることで、オーバーハングを短く見せています」

2001年に登場した初代「S60」は衝撃的でした。内外とも流麗な“二枚目カー”として、「ボルボの変身」を象徴するモデルだったのではないでしょうか?

「うーん、それはちょっと違うんですね。ボルボ・デザインの変革は、1990年代初頭のコンセプトカー『ECC』から始まっていました。
『ECC』で示唆されたスタイルは、『S80』に受け継がれ、『V70』が出、そして『S60』、さらに『S40/V50』へと続いていったんです。新しいルックスを定着させるには、いくつものモデルを重ねる必要がありました。とはいえ、たしかに『S60』は大きなステップではありました」

フォードからジーリー・ホールディング(浙江吉利控股集団)へと親会社が変わりました。変化はありましたか?

「フォード時代以上に自由度が増しました。ボルボ・カーズはジーリー・オートモーティブとはまったく別の会社であり、チェアマンはボルボの『バリュー』をよく理解しています」

デザイン面でのボルボのバリューを一言でいうと?

「長い歴史があるスカンジナビアン・デザイン。それが特徴です」

ピーター・ホルベリー

ピーター・ホルベリー ボルボ・カー・コーポレーション  デザイン部門責任者 Vice President, Design

1974年に英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業後、クライスラーUK、フォード・ヨーロッパを経て、1979年にボルボ・カーズ入社。最初にボルボ480、440、460のインテリアデザインを手がけた。1991年から同社のチーフデザイナーを務めた後、フォードのプレミア・オートモーティブ・グループ(PAG)のデザインディレクター、北米フォードのエグゼクティブ・デザインディレクターを歴任し、2009年5月にボルボに復帰。以来、デザイン部門責任者を務める。英国ノーサンバーランド出身。1950年生まれ。

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