ボルボのアクティブセーフティの専門家、ヨーナス・エックマーク氏が語る ボルボが考える安全なクルマとは (文=青木禎之/写真=荒川正幸)

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「ボルボS60」はその流麗なスタイルもさることながら、自動車のみならず歩行者をも検知する新しい安全技術、ヒューマン・セーフティも興味深い。来日した安全技術の専門家ヨーナス・エックマーク氏に話をうかがった。

35km/hまでならブレーキを踏んで衝突を防いでくれるヒューマン・セーフティは、衝撃吸収ボディやスタビリティ・コントロールのような従来の安全技術から一歩進んだものと考えていいのでしょうか?

「その通りです。クルマがセンサーを通して、運転者を助けてくれるようになりました。今後はさらに知的になり、クルマ間でコミュニケーションを行って、安全性を高めるようになるでしょう」

具体的に説明してください。

「ヒューマン・セーフティのシステム全体の性能を向上させつつ、他車や歩行者の行動を予測して、状況に応じた対応ができるようにします。そのためには、システムが道の状態や天気を把握する必要があるでしょう。ほかのクルマと交信したり、社会的な交通システムから情報を得ることも重要です」

自動運転化が進むと、ドライブする楽しみが減ることになりませんか?

「そうは思いません。自動運転は、限られた状況下なら、数年以内に実現するかもしれません。ただしそれは『クルマが運転のよろこびを奪う』のではなく、『プレッシャーから解放される運転も選べるようになる』と考えるべきでしょう」

現在は、ボディの大小や軽重のみならず、安全装備の面でもさまざまなレベルのクルマが混在しています。

「そうですね。難しいところです。ただ、10年前には実際に自動運転が可能になるとは考えられなかった。20年前には、スタビリティ・コントロールが『ものになる』と思った人は少なかったでしょう。でも、いまでは非常に役立つデバイスで、一般化しています」

安全装備を充実すると、クルマが高価になりがちです。セールス部門との確執はありませんか?

「もちろんあります!でも、妥協はしません。われわれは『ビジョン2020』と称して、2020年までにボルボのニューモデルにかかわる事故をゼロにする目標を掲げています。そのためには、新しい安全技術を搭載する必要がありますし、装備する台数が増えればコストも下がっていきます」

ボルボは安全面でのトップランナーなので、割高になりがちでは?

「それでも大事な分野なので投資を惜しみません。安全は、ボルボのコアバリューのひとつですから」

ヨーナス・エックマーク

ヨーナス・エックマーク ボルボ・カー・コーポレーション セーフティ・エレクトロニクス&ファンクション部門マネジャー Safety Electronics & Function Manager

アクティブセーフティのスペシャリスト。1991年にスウェーデン・イエテボリのチャルマース工科大学卒業後、サーブに入社。アクティブサスペンションやトラクションコントロールなどのシャシー設計に携わった後、ボルボに移籍した。トロールハッタン出身。1964年生まれ。

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