Interview 新型フォレスターはこうして生まれた

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新型フォレスターのパワートレインのお話をうかがって驚いた。
2リッターの直噴ターボ「DIT」のアウトプットは、280ps/5700rpmと35.7kgm/2000-5600rpm。「レガシィ」に搭載される同じ型式のエンジンは300ps/5600rpmと40.8kgm/2000-4800rpmだから、単純にSUV用にデチューンして搭載したと思われたのだ。

ところがエンジン設計部の白坂暢也主査によれば、実際はそうではないらしい。

「フォレスターはレガシィとはプラットフォームが異なりますし、最低地上高を確保するためにボディー底面の排気系の取り回しを工夫していますが、その点を除けば二つのエンジンのハードは同じです。ただ、『DIT』として初めてグローバル展開をするフォレスターには、国内では考えられない3000m級の高地においても最適なエンジンレスポンスが求められます。そこで、フォレスターに適したターボを開発し、それを先行するレガシィのエンジンに織り込みました」

つまりフォレスター用に最適化して開発したターボエンジンを、レガシィに先に搭載したということになる。ただし、直噴ターボ「DIT」用のCVTはレガシィとは異なる。トランスミッション設計部の武藤政英担当によれば、「プーリーの前にリダクションギアを入れて、より低いギア比になっています」とのことだ。

ここで二人は、実に興味深いエピソードを披露してくれた。
社内的には、「営業面を考えて、エンジンスペックのカタログ値はレガシィと同じにすべき」という声もあったという。白坂主査によれば、「スペックを同じにするセッティングも可能でしたが、そうすると実際に走らせた時のドライバビリティーがフォレスターらしくなくなった」のだという。
武藤担当は、「ここでカタログ値よりドライバビリティーを優先するのがスバルの伝統でしょうか」と笑った。

こうした走りへのこだわりは、自然吸気モデルにもまったく同じように注がれていると二人の開発者は胸を張る。白坂主査によれば、「自然吸気モデルのタイヤひと転がり目の滑らかさ、走りのバランスのよさ」をぜひ体感してほしいとのことだ。

性能面にばかり目が向いてしまうけれど、それだけでは新型フォレスターを理解することはできない。ここで一度、デザインに話を移したい。
新型フォレスターの外観は従来型より大人っぽく見えるが、その理由は何だろうか? デザイン部の愛場和樹主事が、実にわかりやすく解説してくれた。

「従来型は面の質がパキッとしていたと思います。一方、新型は大らかな面になっているんですね」
愛場担当によれば、ボディーサイドのキャラクターラインと、前後フェンダーのアーチ部分を見るとわかりやすいという。
「ドアの部分に走っている2本のキャラクターラインが、ボディー面に抑揚をつけています。フェンダーのアーチ部分においても、一度絞りを入れてから広がるという、これまでにない面の構成にトライしてみました。どちらも、ボディーに厚みを感じられることを大切にしながら考えぬかれたデザインです」

すっきりとしていて、かつ仕立てのよさを感じさせる新型フォレスターの佇(たたず)まいは、こうして表現されているのだ。

白坂 暢也
スバル技術本部 エンジン設計部 主査

武藤 政英
スバル技術本部 トランスミッション設計部

愛場 和樹
スバル商品企画本部 デザイン部 主事