Driving Impression

「XF」と過ごす柔らかい時間

XFの室内にいると、計算され尽くした疲れなさを供するドイツ車とはまったく違った類いのくつろぎが味わえる。 言葉にすればラウンジ感とでも言うのだろうか。ずしんと空気が据わった空間作りは英国の得意とするところだが、XFのそれにはススっぽさや説教くささがない。形状や材質や照明やと、そこには思慮深くリノベーションされたロンドンのデザインホテルのような涼しさがある。しまいにはメッシュグリルからのぞく、上級車種に設定されたB&Wの黄色いスピーカーコーンすら、計算された差し色の演出に思えてくるほどだ。

一方でまるっきり変わらない、ジャガー以外の何物でもないと思わせるのがそのライドフィール。軽さの中に確かな手応えを持ったステアリングの滑らかな摺動(しゅうどう)感、クルージング時のタイヤの湿っぽい張り付き感、コーナリングでの踏ん張りやいなし、そのしゃなりとした振る舞いは鉄の塊に乗せられていることをしばし忘れさせてくれる。

ジャガーは常々その独特なナマッぽい走りが、屋号とかぶせて「ネコ足」と例えられてきたが、車重が増そうが、タイヤが大径になろうが、その感触にはまったく濁りがない。散々アップデートを重ねながらも目指すところはひとつ、のれんの味を守り続けること。現行のラインナップの中で、乗っての味わいという点において、最もジャガーのヘリテイジとオリジナリティーを堪能できるのはXFだと個人的には思う。

いちいち気持ちの良いフィードバックにうっとりさせられながら、iPhoneを通して好きな音楽を鳴らしつつ、流れる景色をただただ追っていく。スポーツサルーンでありながら、XFと過ごす時間はことのほか柔らかい。あまりに心地よすぎて自分を見失いそうにもなるが、懐古に陥ることのない平穏な空間が日常との接点を適度に保ってくれる。

かつて英国の富裕層は幾日もかけ、日常を葬り去ってコンチネンタルドライブに没頭したことだろう。そうはいかないわれわれにとって、いまのジャガーは毎日を彩るにふさわしいあんばいの旅情感を供してくれる。移動という目的をも旅へと変えてくれるようになった、自動車の豊かな進化に感謝するのは、こういうクルマに乗った時だ。

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