Interview 新型アウトランダーはこうして生まれた

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単に燃費がいいだけではない

「e-Assistには三つの機能があります。一つは40〜100km/hの間で先行車両に追従するクルーズコントロールシステム。先行車両が加速すればついていき、減速、停止すればこちらも減速、停止します」
上南氏がそう説明すると、車両実験部でテストを担当した前田宗幸氏が、「開発初期の段階では先行車両に追従する加減速がぎくしゃくしたけれど、何度もセッティングを変えることでスムーズに追従するようになりました」と振り返った。

上南氏によれば、このクルーズコントロールの機能を利用したのが、二つめの衝突被害軽減ブレーキシステムだという。
「先行車や障害物との距離や相対速度をチェックして、衝突の危険性があると判断すると自動ブレーキがかかります」
このふたつはミリ波レーダーを用いるシステム。三つめの車線逸脱警報システムは、カメラを用いる。
「カメラが前方の車線をとらえ、そこから外れそうになると音と表示でドライバーに警告します」
上南氏によれば、上記の予防安全装置のシステム自体はかなり前から完成していたとのことだ。
「実用化にあたって苦心したのは、価格を引き下げることです。安全技術は、どんなに素晴らしい性能でも普及しなければ意味がありません。コスト引き下げには苦労しましたが、幸いにもレーダーなどの部品の価格低下もあって、実質9万5000円という価格が実現しました」

三本柱の最後が環境性能、つまり燃費の向上だ。2リッターのSUVとしてクラストップレベルの15.2km/リッターというJC08モード燃費は、まとめ役の前マネージャーが「総力戦」と表現したように、さまざまな省燃費技術の集積だ。面白いのは、パワートレイン設計部でエンジン設計を担当する久保明仁エキスパートの「ただ燃費がいいだけではない」というひとことだった。
「新しいMIVECエンジンは単体でも高効率ですが、アイドリングストップ機能と組み合わせることでさらに燃費が向上します。このエンジンはバルブリフト量が可変なので、エンジン再始動時に吸入する空気の量を少なくすることができます。すると再始動時の振動が少ない、上質なアイドリングストップ装置が生まれたのです」

単に燃費がいいだけでなく、上質さも追求しているのだ。そういえばレーダークルーズコントロールシステムも、先行車両に追従するときの加減速のフィーリングにこだわっていた。前マネージャーがおっしゃる「上質」「安全」「環境」の三本柱はそれぞれが独立しているのではなく、有機的につながっているのだ。

前田 宗幸
車両実験部(CD車試担当)

久保 明仁
パワートレイン設計部 エキスパート(エンジン設計担当)