蟹瀬誠一、レガシィに乗る

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蟹瀬さんがステアリングホイールを握るレガシィツーリングワゴン2.0GT DITは、ターンパイクの急勾配の登り坂を元気に加速していく。蟹瀬さんは、SI-DRIVEのスイッチをいろいろと試した後で、「やっぱり僕はS♯が好きですね」と結論づけた。蟹瀬さんがそう言ってSI-DRIVEをS♯にセットすると、熊谷PGMは「S♯にすると、無段階変速のCVTを8段のマニュアル感覚で操作することができるんですよ」とアドバイスした。

蟹瀬「おっ、マニュアル操作もなかなか楽しいですね」
熊谷「この先、下り坂になっているのでシフトダウンしてみてください」
蟹瀬「なるほど、エンジンブレーキが効いた! こういうカーブが続く場所だと、エンジン回転をコントロールする楽しみがありますね」

日ごろ、ワインディングロードの多い軽井沢で運転されているだけあって、蟹瀬さんのハンドルさばきは滑らかだ。ターンパイクの中速コーナーの連続を、レガシィツーリングワゴン2.0GT DITは軽快にクリアしていく。

熊谷「山道で走られた感想はいかがでしょう?」
蟹瀬「ひとことで言うと、足まわりに信頼感がありますね。ハンドルを通して、安心感、しっかり感が伝わってきます。このフィーリングは、どうやったら生まれるのでしょう?」
熊谷「サスペンションを硬くするだけでなく、しなやかなセッティングにすることで接地感がドライバーに伝わるように工夫しています」

蟹瀬「水平対向エンジンは重心も低いんでしたよね?」
熊谷「ええ、水平対向エンジンを軸にした左右対称の四輪駆動レイアウトがスバルのコア技術なんです。これが走りのよさに直結します。走りとは関係ないのですが、エンジンを低く搭載することでボンネット内のスペースに余裕が生まれ、万が一、歩行者と衝突した際の歩行者保護でも有利になります」

蟹瀬「それもあって、今年の衝突安全テスト(JNCAP)でもトップの成績になったわけですね」
熊谷「ええ、ぶつからない予防安全技術、ぶつかってしまった時の衝突安全技術、どちらも自信があります」

蟹瀬「それにしても、水平対向エンジンはもうスバルとポルシェにしかないですね」
熊谷「重心が低いうえに、左右のピストンで振動を打ち消しあうのでスムーズなんですが、どうしても構造が複雑になってしまいます。ぜいたくなエンジンなんです」

蟹瀬「でも、水平対向エンジンやEyeSight、衝突安全性能など、特別な技術がないと日本のモノ作りは生き残っていけないと思います。携帯電話や液晶テレビを見てもわかるとおり、いま日本のモノ作りはピンチです。そういう意味でも、技術力で勝負するというスバルの個性を伸ばしていただきたいですね」

新型スバル・レガシィを経験することで、ジャーナリスト蟹瀬誠一さんは日本のモノ作りの将来にまで思いをはせた。そして、取材と撮影を終えてからも、蟹瀬さんは箱根山中で2台のレガシィを交互に乗り比べた。どうやら、新しいレガシィはクルマ好きとしての蟹瀬さんも満足させたようだ。