スバルのクルマのつくりかた ~走りのこだわり

1/5

今回、スバル・レガシィのマイナーチェンジにあたって印象的だったの
は、開発のまとめ役を務めた熊谷泰典プロジェクトゼネラルマネージャー(以下PGM)が「スバルらしさ」「レガシィらしさ」という言葉を何度も使ったことだ。確かにスバルは世界的に見ても個性的な技術を培ってきた自動車メーカーである。けれども、「スバルらしさとは何か?」と問われると、なかなか答えるのが難しい。ここでは、その「スバルらしさ」を掘り下げ
てみたい。

ご存じのようにレガシィは、20年以上にわたってスバルの屋台骨を支えてきた看板モデルである。今回のビッグマイナーチェンジにおけるレガシィの進化のベクトルを知れば「スバルらしさ」が理解できるのではないか。そう考えて、熊谷PGMをはじめとする何人かのエンジニアに話
を聞いた。

まず、1989年にデビューした初代レガシィの車体設計を担当して以来、歴代レガシィに携わってきた熊谷PGMに「レガシィらしさとは何か?」と尋ねてみる。すると、「一貫して変わらないのは、走ることの楽しさを教
えてくれるクルマだということですね」と即答した。

「ステアリングホイールを切れば切っただけ曲がる。ペダルを踏めば、望むだけの加速と制動力が得られる。もっと運転していたいと思わせる味が
レガシィらしさだと考えています」

では、そうした“乗り味”を提供するために、スバルの技術はどのような
役割を果たすのだろうか。
「水平対向エンジンと縦置きトランスミッションというレイアウトが軸ですね。左右を完全に対称にできるうえに、水平対向エンジンは重心を低くできる。もうひとつ、重量物であるトランスミッションを前輪と後輪の間にミッドシップできることもポイントです。生まれながらにして、効率的で回頭性に優れたレイアウトなのです。今回のマイナーチェンジでは、シンメトリカルなこのレイアウトの特徴を生かして、四輪にトルクを配分するア
クティブトルクスプリットの制御をより緻密にしています」

ただし熊谷PGMは、水平対向エンジンと縦置きトランスミッションを
組み合わせた四駆の弱点も率直に認める。
「トンネルが大きくなってフロアが平らにできないのは間違いありません。それに、カムシャフトが左右にある水平対向エンジンは、重くもなるし部品も増えます。オイルは重力で下に落ちますから、オイルの潤滑ひとつとっても工夫がいる。ただし、左右のピストンが振動を打ち消しあうことで生まれるスムーズさは何者にも換えがたい。つまり、手間暇がかかるけれど
気持ちよく走れる、ぜいたくなレイアウトなのです」

どうやら「レガシィらしさ」ひいては「スバルらしさ」とは、理想の走りを実現するためにこだわる、という点にありそうだ。続いて、今回のマイナー
チェンジにあたって個別の技術を担当したエンジニアに話を聞いた。