スバルのクルマのつくりかた ~走りのこだわり

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今回のマイナーチェンジの目玉は、新たに加わった2リッターの水平対向直噴ターボエンジン「DIT」と、そこに組み合わされる新開発の高トルク対応型CVT「リニアトロニック」だ。2.5リッターの水平対向ターボエンジンからダウンサイジングした格好だが、この開発は一筋縄ではいかなかった。エンジン実験のとりまとめを担当したパワーユニット研究実験第
一部の二神貴弘課長は振り返る。

「300psを出しつつ、燃費と排ガスはトップレベルを狙うというのが開発目標でした。ただし、回転が上がって過給がかかる手前の領域では、どうしても排気量が500cc小さいネガが出てしまいます。そこをどうするかに頭を悩ませました」

二神氏によれば、一発ホームランという解決策はなかったという。目標に向かって、ヒットや送りバントをこつこつ積み重ねていったのだ。
「低回転域からしっかりトルクがあって、軽快に走らなければレガシィじゃない。タービンの羽根のチューニングにいたるまで、ツインスクロー
ルターボを徹底的に磨き上げました」

そしてリニアなドライバビリティーの実現に大きな役割を果たしたのが、大トルクに対応する新しいCVTだ。パワーユニット研究実験第三部でCVTの実験をとりまとめた西田祐之課長は、CVTの採用について語った。

「トランスミッションはいろいろありますが、燃費に関しては明らかにCVTに分がある。段差のない加減速という、ほかにはない新しさも表現できま
す。それがCVT採用の理由です」

では、スバルのCVTにはどんな強みがあるのか。
「ベルトではなくチェーンを使うことでコンパクトにできること、そしてチェーン式CVTに関する膨大なノウハウがあることが、われわれのストロングポ
イントでしょうね」

この強みを生かして、二神氏と西田氏は「二人三脚で」開発を進めたという。西田氏が、当時を回想する。「だから排気量を下げて弱くなりそうだった部分、たとえばアイドル発進の力強さなどをどこで取り戻すか、二神
とは“そっちがもっとがんばれ”と、かなり厳しいやりとりもありました
(笑)。エンジンとCVTの両者が力を合わせることによって、加速タイム
の目標値や官能評価の合格点をクリアできました」

ふたりの話をうかがっていて印象的なのは、理想の走りのイメージをしっかりと共有していることと、独自の技術に誇りと自信を持っている点だ。
そしてこれは、足まわりを担当したエンジニアも同じだった。