スバルのクルマのつくりかた ~安全へのこだわり

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「「もしEyeSightが付いていれば……。安全技術に携わる者として、もち
ろんそれは考えますね」

この春に起きたいくつかの悲惨な交通事故に話題がおよぶと、スバル技術本部でEyeSightの開発を担当する加藤寛基氏はこう言って唇をかんだ。そして、「例えば関越自動車道で起きた高速ツアーバスの事故なら、まず最初に車線逸脱警報やふらつき警報がドライバーに注意をうながし
たはずです」と続けた。
スバル独自の予防安全技術であるこのEyeSightは、今回のレガシィ・シリーズのビッグマイナーチェンジにあたってさらなる進化を遂げたという。今回の性能向上を正しく理解するために、EyeSightの歴史とメカニズム
を簡単におさらいしておきたい。

EyeSightに欠かせないステレオカメラの開発は1989年に始まった。基本的な原理は、ふたつのカメラが前方を監視、そこで得た画像情報をコンピューターが解析するというものだ。前方の対象物までの距離は、三角測量の原理で計測する。ステレオカメラ方式の特徴について、加藤氏は「ふたつの目で見た情報から判断するという、人間に近い仕組みです」
と語る。
スバルには、ミリ波レーダー方式やレーザーレーダー方式による予防安全装置を開発、市販化したという実績がある。加藤氏によれば、それぞれの長所短所を踏まえて総合的に見ると、現時点ではステレオカメラ方式がス
バルとしてベストな選択なのだという。

2008年、4代目のレガシィに、小型化と低コスト化に成功したEyeSightが
搭載される。EyeSightは、以下の6つの機能を備えて登場した。

1,プリクラッシュブレーキ
前方のクルマや障害物に衝突する可能性がある時に、警報音と警告表示で注意を喚起。それでも回避操作がないと判断したときには、自動でブ
レーキをかけ、衝突被害の軽減を図る。
2,AT誤発進抑制制御
駐車場からの後退発進時に、シフトレバーを「R」レンジのつもりで「D」レンジに入れていたり、駐車しようとしている時にブレーキペダルを踏むつもりでアクセルペダルを踏んでしまうといった操作ミスを検知した
ときに、アクセルを絞り、加速を緩やかにする。年間約7000件に上るこうしたミスによる事故を防ぐために、前方に障害物があるにもかかわらず
アクセルペダルを必要以上に踏んだ場合には、エンジン出力を抑える。
3,全車速追従機能付クルーズコントロール
高速道路や自動車専用道路において、0〜100km/hの速度域で、運転者が設定した車速を上限に車間距離を保ちながら、アクセルやブレーキ
を操作することなく先行車両に追従する。
4,車線逸脱警報ステレオカメラが白線などを認識し、車線を逸脱しそうになると、警告
音と警告表示でドライバーに注意をうながす。
5,ふらつき警報
車線内での蛇行パターンから覚醒低下などに起因する車両のふらつき
を検出した場合、警報音と警告表示でドライバーに注意をうながす。
6,先行車発進お知らせ渋滞や信号待ち時に先行車の発進後、自車が停止し続けた場合、ブザー
と表示で知らせる。