Route2 「S60 T4」で冬の日本海をめざす

軽さが際立つ身のこなし

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クルマによる長距離旅行では、ワゴンとセダンのどちらが快適だろうか?
そんなことを考えながら、先日「V70 T4 SE」で和歌山まで足を運んだのに続いて、今度は「S60 T4」で富山に向かう。そこには、冬の日本海と海の幸が待っている。

S60 T4に搭載されるエンジンは、最近のボルボ車の主流となった観もある1.6リッター直4ターボ。組み合わされるギアボックスは湿式デュアルクラッチの6段AT「ギアトロニック」である。
セダンボディーのS60は、車両重量1540kgと、先に試したワゴンのV70より100kgほど軽く、全長も短いので立ち居振る舞いはより身軽。ただし、取材で使う撮影機材などを積む収納スペースは、V70に比べれば限られている。

冬の日本海を見に行くからには、当然雪道の走行も想定される。足元はスタッドレスで防備、頼もしい“靴”はヨコハマタイヤの「アイスガード」だ。

まずは都内から関越自動車道を北上、藤岡ジャンクションで上信越・長野自動車道にスイッチし、長野市、上越市のわきをかすめて北陸自動車道へと出る。V70よりもボディーが軽いことによるメリットは、高速道路での追い越しなどでも明らかだ。V70では6速から5速にシフトダウンする状況でも、S60はそのままのギアで負荷を掛けて、スーッと速度を上げていく。
同乗者からみれば、ペダル操作によってキックダウンが生じたのか、それともターボが効いたのかはっきりとわからないような加速でも、ドライバーは、それを意識して使い分けることができる。こうした繊細なスロットルの感覚が得られるのも、ギアトロニックの大きな美点である。

さて、今夜の宿は富山に決めてあるものの、日本海に沈む夕陽を期待して能登半島の西側にまで足を運ぶ。
海岸線の砂浜を走れることで有名な「千里浜なぎさドライブウェイ」。その浜辺の砂は、大型観光バスも乗り入れ可能なほど固く締まっているが、しばらくぶりに来てみると、波による浸食が進んでいるのか随分と砂地は狭くなっている。

こうした湿った砂地では、アイスバーンやダートとは違った低ミュー路感覚が得られる。十分にスムーズな路面で軽くスラロームを試みると、きちんと接地感のあるスライドを許し、ドライのアスファルト路面では速度を極端に上げないとわかりにくい限界付近の挙動を、低速でシミュレートしてくれる。
そして、全長の割に長いホイールベースと短いオーバーハングを持つS60は、無駄な動きを残さず素直に旋回する。

いつまでもここで遊んでいたいところではあるが、雪雲のような分厚い雲軍団に阻まれ、きれいな夕焼けも望めそうにない……結局、しぶしぶ富山市内に戻ることにした。
代わりと言ってはなんだが、夜は特産のシロエビに舌鼓を打つ。生でいただくのもいいが、から揚げもまたさっぱりして、うまい。