安心感と癒やしが魅力

自転車を積んで遊びに行く、そのためのクルマとして理想的な条件は何か?「自転車がちゃんと積めること」。それはもちろんだが、経験上、もうひとつ大事なのは、クルマの“人柄”ならぬ、キャラクターだと思う。自転車遊びで疲れたあと、クルマでさらに疲れるのはいやである。帰り道は体もココロも癒やされるクルマがいい、と考えると、ボルボは実に自転車と相性がいい。XC60の3リッターターボは304ps。ライバルのなかでもひときわハイパワーなことが売りだが、普段使いのなかで高性能をひけらかすような荒っぽさはみじんもない。横置きストレート6は、いかにも直6らしいスジのいい滑らかさが第一の魅力だ。高回転では木管楽器系のけっこうスイートな快音まで聴かせてくれる。磐梯吾妻スカイラインを上ってゆくとき、6段ATをマニュアルモードで使った。フロアセレクターを前後にクリックしてシフトする、そのタッチがイイなあと思った。レバーが突き当たるところに緩衝材が存在していて(見えないが)、カチンとかガチンといった金属質の手応えを伝えない。そういう積み重ねが、人肌のぬくもりを持つボルボ・クオリティーを生んでいる。

自動車メディア業界のカメラマンにもボルボユーザーは多いが、彼らがボルボを選ぶのもわかるような気がする。“仕事終わり”や“スポーツ終わり”にボルボのもつやさしさや安心感がジワーッと効くのである。シティセーフティやヒューマンセーフティのお世話になるようなシチュエーションは幸いなかったが、帰り道の首都高でバケツをひっくり返したような雷雨に遭った。けれども、ボルボの4WDのSUVだと思うと、安心感がある。これでダメなら、なに乗っててもダメだろうという安心感。一朝一夕には身につかないボルボならではの信頼性だ。磐梯山を巡る2日間でちょうど1000km走った。トータルの燃費は9.2km/リッター。オーバー300psの快適なSUVとしてはワルくないと思う。(文=下野康史/写真=郡大二郎)