パワースポットを力強く走る

三ヶ日で再び東名と合流し、そこからは伊勢湾岸道〜東名阪〜名阪国道とつなげて奈良に入ってゆく。これくらいまでくると、まるで長年のパートナーのようなクルマとの一体感が生まれる。優秀なグランツーリズモとのドライブでは、いつだってこんな感じだ。名阪国道は、新東名と真逆にアップダウンと急なコーナーの多い、言ってみれば峠の(元)高速道路。急勾配でノロノロ運転を強いられる大型車をイッキに抜きさるときなど、ここでもまた、R-DESIGNのアシとターボエンジンの力強さがモノをいう。名阪国道をのぼりきった高峰SAあたりで、空がぱっと開ける。眼下に広がるのが奈良盆地、わが故郷。そこからは一転、急な下り道となって、まるで下界に降りてゆく気分になる。天理東インターを降り、真っ先に向かったのは、古都奈良が誇る最強のパワースポット、石上(いそのかみ)神宮だ。それほど有名ではないけれども、実は伊勢神宮と同じくらいに古い。日本書紀にも記されているくらいだ。いつもあまり人出はなく閑散としているが、逆にそれが凛とした緊張感をかもし出していて、自然と身も心もひき締まる。道中の安全を祈願して、お宮を後にした。“いそがみさん”を起点に、南下すれば“山の辺の道”で、大小さまざまな御陵や古墳、社寺がならんでいる。そのまま三輪山大神神社まで参ったならば、太古の力をすべて吸収できるという寸法。飛鳥、藤原の時代をしのぶ風景は、すべての日本人にとって、故郷のようにみえることだろう。西に向かうと、斑鳩の里にいたる。法隆寺、法輪寺、法起寺といった塔のある寺を巡れば、古代の人もまた現代人に劣らず、タワーの建立に並々ならぬパワーを託していたのだなと、感慨も深い。

「奈良にうまいものナシ」と、長いこと言われてきた。けれども、ここにきてミシュラン星付きの店が誕生するなど、にわかに脚光を浴びはじめている。奈良の食イメージをくつがえす二つの名店を紹介して、奈良編の〆としよう。大和郡山市の「ル・ベンケイ」と、奈良市の「ラ・テラス」だ。いずれも、店構えがとてもラグジュアリーな本格フレンチレストランで、「ホントにここが奈良!?」と驚くこと間違いなし。もちろん、由紀さんも大喜び。ル・ベンケイは、カフェやカジュアルなランチ利用も可能(テイクアウトのパンもうまい)でドライブの合間でも気軽に楽しめるし、ラ・テラスは奈良公園の緑のなかという非日常空間が旅の思い出を大いに盛りあげることだろう。奈良といえば鹿と神社仏閣、だけじゃない。新しい見どころだって、あるのだ。