新東名3000Rでの豊かな時間

東京と京都を月にニ度三度、クルマで往復する生活を始めて一年がたつ。この間、新東名が部分開通し、今日はどっちのルートを通ろうか、どこのサービスエリアで食事を取ろうか、というふうに、道中の楽しみも単純に倍になった。そんなボクの“日常”をベースに、奈良・京都へのロングドライブ指南をアレンジしてほしい、というのが編集部からの指令である。奈良出身/京都在住の自動車ライターとして、ここで発奮しなければ、どこでする!?というわけで、ブラックボディーの凛々(りり)しい「ボルボV60 T4 R-DESIGN」を借り出し、テレビでもおなじみのやない由紀さんとともに都内を出発、一路関西を目指した。

「V60」は、好みの一台だ。特にスタイリングが気に入っている。引きしまったフォルムに、ダイナミックなラインの組み合わせが、R-DESIGNでさらに強調された。ほどよいサイズ感もうれしい。好きなカタチを選ぶこともまた、長距離ドライブの肝心な点だったりする。実をいうと、昼間の移動なら、従来の東名をボクは好んで走る。適度に曲がりくねった道と景色の移り変わりがドライブを飽きさせないからだ。特に静岡あたりで富士を眺めつつ“海を走る”シーンがたまらない。けれども、道中も取材となる今回にかぎっては、話題の新東名を避けて通るわけにはいかない。御殿場から東名を左にそれ、山の方にのぼって、真新しい道をひたすら走った。最もきついコーナーでも3000Rで、ほぼ真っすぐな道と言いたくなる新東名は、はっきり言ってとてもタイクツ。お家の一大事であるがごとく急いでいるのならまだしも、のんびりドライブ旅行にはどうか、と最初は思っていた。けれども、母のようなボルボの包容力にわが身をすっかり委ねてクルージングしているうちに、これはこれで豊かな時間を過ごしているのだと思いはじめる。エコなドライブにもなるだろうし。特別仕様車のV60 T4 R-DESIGN、“T4”というからには4気筒ターボなわけで、スペック的には「DRIVe」と同じ180ps。といっても、24.5kgmの最大トルクとデュアルクラッチシステムの6段「ギアトロニック」のおかげで、まったく不足のない高速パフォーマンスをみせてくれる。R-DESIGN専用のほどよく締め上げられたアシが利いていて、路面にぺったりと張りつくような感覚がとても頼もしい。