完成度の高いスポーツワゴン

パワートレインは、低燃費が自慢の「DRIVe」と共通の1.6リッター直噴ターボエンジンと6段パワーシフト(デュアルクラッチ・トランスミッション)を搭載している。3リッターターボの「T6」ほどパワフルではないが、R-DESIGN専用のハイポテンシャルなシャシーと組み合わせても不足は感じない。直噴ターボは低回転域から大トルクを発生するのが特徴の一つだが、V60 T4 R-DESIGNはそれがひときわ顕著。発進時にアクセルペダルを深く踏みこむと、フロントタイヤがホイールスピンするほど力がある。とはいえ、パワーシフトのクラッチ操作は実にスムーズでホイールスピンを誘発させることはない。純粋にエンジンのトルクが“ぶっとい”のだ。

さらにアクセルを踏み続けていくと、全開時にはオーバーブーストにより最大トルクが27.5kgmにアップする機能も伴ってグイグイと加速。1.6リッター、180psというスペックから想像するよりもずっとパワフルで、ワインディングロードを走っていると燃費自慢のパワーユニットだということなどすっかり忘れてしまうほどだ。高いスタビリティーを確保しながら、旋回能力を増してくれる「コーナー・トラクション・コントロール」の効果なども堪能しつつ、この日も夢中で箱根のワインディングロードを楽しんでしまった。ボルボは、安全性に強いこだわりを見せていることからもわかるように、“良心的なクルマ造り”をしてきた。乗り味についても、安心感や操縦安定性を重視し、それを脅かすようなまねは決してしない。しかしここにきて、技術の進歩のおかげもあってか、そんなボルボらしさと高いスポーツ性を融合させることが可能になったということなのだろう。ボルボは着実に事を進めてきたともいえる。それだけに、V60 T4 R-DESIGNはスポーツワゴンとしてパーフェクトと思える完成度を感じさせるのだ。(文=石井昌道/写真=高橋信宏)