Driving Impression

静粛で、しかもパワフル

XJに搭載される4気筒は「エコブースト」と銘打ってのダウンサイジング化を推進するフォードとの共同開発。排気量は2リッターで直噴ターボ……と聞けば、同門の「レンジローバー イヴォーク」を思い浮かべるが、基本設計は共通で、それをFRドライブトレインに合わせて縦置きにしたものだ。

そのアイドリングは極めて静かで、走りだしからのキャビンに入る音や振動に、4気筒のザラザラとした印象はほとんど見受けられない。数少ないそれっぽさを感じさせる場面といえば、スタートボタンを押しての始動の瞬間、そしてアクセルを底踏みしてのキックダウンで威勢のいい加速を得る時くらいだろう。特に全域にわたっての振動の少なさは、そもそものエンジン本体の出来の良さに加えて搭載位置やマウント類にも工夫が施されてのことと推される。

なんか、具合悪くなさそうなんだけど……という第一印象がちょっと悔しい。4気筒という単語からつい安直に安っぽさを想像していた自分の浅はかさを見透かされたようで。

フルサイズサルーンに見合わぬ小排気量ということで、もっとも懸念される動力性能も必要十分の範疇(はんちゅう)を楽に超えていた。0-100km/h加速で7秒フラットという数字は、例えるならいっぱしのホットハッチ級だが、その位のパワフルさは十分に感じられる。むしろ感心するのはトルクの厚さで、2000〜3000rpmも回れば街中は無論、高速の合流でもスイスイとスピードを乗せていくサマはこれまでの常識では考えられない。

前世代のXJから手掛けてきたアルミモノコックボディーの開発当初には、その軽量化効果で2リッターエンジンの搭載が現実になるとは、さすがに想定していなかっただろう。しかしワイドレシオ化が可能な8段ATという新たなメカを得て、XJは見事にそれをモノにしていた。しかもそのギアリングは上側をオーバードライブ的に使うものとして設定されており、高速巡航ではなんの苦もなく12km/リッター以上の燃費をポンとたたき出す。当たり前ながら、目に見えるものや手に触るものがXJそのものだけに、そのギャップは強烈だ。