第11戦ハミルトン3勝目、しかしマクラーレン無得点【F1 07】

2007.08.05 自動車ニュース
ポディウムに立つウィナー、ルイス・ハミルトン(中央)。2位キミ・ライコネン(左)、3位ニック・ハイドフェルドを従えての勝利は、すっきりしない後味を残した。(写真=Ferrari)
第11戦ハミルトン3勝目、しかしマクラーレン無得点【F1 07】

【F1 07】第11戦ハンガリーGP、ハミルトン3勝目、しかしマクラーレン無得点

F1世界選手権第11戦ハンガリーGP決勝が、2007年8月5日、ブタペスト近郊のハンガロリンク・サーキット(4.381km)を70周して行われた。

フェルナンド・アロンソが、チームメイトのルイス・ハミルトンを予選で“邪魔”したことで、ポールポジションから6番グリッドに降格するペナルティを受けた。
かわりに最前列からスタートしたハミルトンが、70周の長丁場をミスなく制し、今シーズン3勝目を飾った。
ただし、ペナルティの一環として、マクラーレンにはコンストラクターズポイントが与えられず。チームはこのことに関してはアピールする構えだ。

スタートシーン。トップのハミルトンに次いだのは3番グリッドのライコネン。路面状況が悪い偶数グリッドに並んだBMWザウバーのニック・ハイドフェルドはライコネンに先を越された。(写真=Ferrari)
第11戦ハミルトン3勝目、しかしマクラーレン無得点【F1 07】

最後までハミルトンにプレッシャーをかけ続けたフェラーリのキミ・ライコネンが2位でフィニッシュ。BMWザウバーのニック・ハイドフェルドが3位に入り、今年2度目のポディウムにのぼった。

グリッド降格が足かせとなったアロンソは、レース終盤で3位を目指したが、結局4位どまり。
以下、BMWのロバート・クビサが5位、トヨタのラルフ・シューマッハーが今年チーム最高位の6位、ウィリアムズ・トヨタのニコ・ロズベルグ7位、ルノーのヘイキ・コバライネンが8位でゴールし、それぞれポイントを手に入れた。

1年前のここハンガリーで優勝したホンダ勢は、ルーベンス・バリケロが最下位の18位完走。昨年のウィナー、ジェンソン・バトンはエンジントラブルでリタイアした。

スーパーアグリ・ホンダは、佐藤琢磨が15位完走。アンソニー・デイヴィッドソンはレース途中で戦列を去った。

なおこのレースから、昨年スーパーアグリでGPデビューした山本左近がスパイカーで復帰。予選22位、決勝では4周でクラッシュしリタイアした。

ライコネンからのプレッシャーに負けず走りきったハミルトン。しかしチームが一丸となって獲得した勝利とは、いいがたい。(写真=Mercedes Benz)
ライコネンからのプレッシャーに負けず走りきったハミルトン。しかしチームが一丸となって獲得した勝利とは、いいがたい。(写真=Mercedes Benz)
常にハミルトンの背後につけていたライコネンだが、抜きにくいコースに加え、この日のフェラーリはポテンシャル不足。ミドフィールドに沈んだフェリッペ・マッサが無得点に終わったことで、ランキングでは3位に浮上したが……。(写真=Ferrari)
常にハミルトンの背後につけていたライコネンだが、抜きにくいコースに加え、この日のフェラーリはポテンシャル不足。ミドフィールドに沈んだフェリッペ・マッサが無得点に終わったことで、ランキングでは3位に浮上したが……。(写真=Ferrari)

■マクラーレン内の軋み

トップ10グリッドを決める予選Q3。抜きどころが事実上皆無のハンガロリンクで、誰もがひとつでもいいポジションを狙いたいなか、マクラーレンのピットでは奇妙な出来事が起きていた。

バーンオフ(燃料消費)を終えて、いよいよ本気のタイムアタックに入る各車。予選残り2分15秒でピットに駆け込んだアロンソは、タイヤを交換したものの、コースへ戻ろうとしない。
そのまわりではコンパウンドの違うタイヤを抱えるクルー。タイヤ選択で悩んでいるのか?なぜピットをすぐに出ないのか?

残り1分50秒、ハミルトンがアロンソの後ろにマシンを止めたが、アロンソはまだ動かない。残り1分37秒でようやくアロンソが飛び出し、急いでタイヤを換えたハミルトンは、セッション終了1分25秒前でようやくコースへと走り出した。

アロンソは、最後のフライングラップでハミルトンのタイムを更新し、今年2度目のポールポジションを獲得。いっぽうハミルトンはタイムオーバーでアタックできずにグリッド2番手に終わった。

マクラーレンのボス、ロン・デニスは、ヘッドフォンを叩きつけ、状況への怒りをあらわにした。

しかし、その怒りの矛先は、ピットでチームメイトの“邪魔”をした(ようにみえる)アロンソに向けられたものではなかった―――チームの秘蔵っ子として、またいまではチャンピオンシップをリードするスーパールーキーとして注目を集めるハミルトンに対する、デニスの憤りだった。

Q3開始直後、ハミルトンはアロンソを先に行かせるというチームの命令を無視。セッション終盤には、デニスを含めたチームとハミルトンの間で、無線をとおし激しい言い争いが行われたという。

一見すると、アロンソのチームメイトに対する“意地悪”だけに思えたこの騒動。実はマクラーレンの歯車の軋みのあらわれであった。

その結果が、アロンソの6番グリッドへの降格と、チームへのコンストラクターズポイントを与えないというペナルティだった。

総じれば、10点を獲得できたことに加え、アロンソとの点差が2点から7点にひろがったのだから、ハミルトンにとっては幸運な週末ともいえなくもない。

しかし、徐々に高まるチーム内の―――若く、速く、競争力ある、そして頂点を熱望するふたりのドライバー間の―――緊張感は、今後の勝負の行方に影を落としかねない状況だ。

トヨタ、今年最高位の6位でフィニッシュ。ラルフ・シューマッハー(写真)5番グリッド、ヤルノ・トゥルーリ8番グリッドと予選でも好調。決勝でさらに上を目指すことはできなかったが、ラルフの6位3点獲得でこの夏弾みをつけたい。(写真=Toyota)
トヨタ、今年最高位の6位でフィニッシュ。ラルフ・シューマッハー(写真)5番グリッド、ヤルノ・トゥルーリ8番グリッドと予選でも好調。決勝でさらに上を目指すことはできなかったが、ラルフの6位3点獲得でこの夏弾みをつけたい。(写真=Toyota)
昨年の感動的&奇跡的な勝利も、いまでは立派な歴史。ホンダは入賞どころか、エンジントラブルによるリタイア(ジェンソン・バトン)と、最下位(ルーベンス・バリケロ/写真)という誇れぬ結果を残し、ハンガリーをあとにした。(写真=Honda)
昨年の感動的&奇跡的な勝利も、いまでは立派な歴史。ホンダは入賞どころか、エンジントラブルによるリタイア(ジェンソン・バトン)と、最下位(ルーベンス・バリケロ/写真)という誇れぬ結果を残し、ハンガリーをあとにした。(写真=Honda)

■平穏なレースデイ

レースデイをみれば、前日の予選の混乱と比べれば平穏な1日だった。

ポールポジションからスタートしたハミルトンの後ろにライコネン。2台は終始離れずに周回を重ねるが、ここはハンガロリンク、オーバーテイクは至難の業だ。
しかもこの日のフェラーリに、フランス、イギリスでみせたずば抜けたスピードはなかった。

マクラーレンがペナルティによりノーポイントで終わるのなら、可能な限りポイントをとりコンストラクターズチャンピオンシップで盛り返したいフェラーリ。
だが、ライコネンは2位でゴールしたものの、チームメイトのフェリッペ・マッサは、予選14位と沈み、レースでも中段から抜け出すことができず、13位でフィニッシュした。

コンストラクターズランキングでは、1位マクラーレン(138点)に対し、フェラーリは119点どまりとなった。

いっぽうドライバーズチャンピオンシップは、ハミルトン80点、アロンソ73点、ライコネン60点、マッサ59点というオーダー。
残るは6戦。栄冠をわが手に、という熱は、夏の暑さとともにいよいよヒートアップしていく。

夏休みを挟んでの次戦は、8月26日、トルコGPだ。

(文=bg)

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