第5戦SUGOは、ホンダNSXが表彰台を独占!【SUPER GT 07】

2007.07.30 自動車ニュース
GT500クラスの表彰式。優勝はNO.8 ARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組:写真中央)、 2位にNO.18 TAKATA 童夢 NSX(道上龍/小暮卓史組:同左)、3位がNO.32 EPSON NSX( ロイック・デュバル/ファビオ・カルボーン組)と、NSX勢が表彰台を独占した。
第5戦SUGOは、ホンダNSXが表彰台を独占!【SUPER GT 07】

【SUPER GT 07】第5戦SUGOは、ホンダNSXが表彰台を独占!

僅差で迫り来る同胞のNSX。追う方、追われる方、どちらも譲れない緊迫した戦いを制したのは、No.8 ARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組)。レース序盤でリードを奪うも、ピット戦略で先んじた2台の後塵を拝すという辛酸をなめ、それでもなお勝負に挑み続けた結果、自らの手で大きな勝ち星を掴み取ることに成功した。

2007年7月最後の週末、宮城県・スポーツランドSUGOで開催されたSUPER GT第5戦の決勝レースは、スタート直前に雨模様となり、波乱の幕開けとなった。壮絶なバトルの末、戦いに終止符を打ったNo.8 NSXは今季2勝目を達成。2位にNo.18 TAKATA 童夢 NSX(道上龍/小暮卓史組)が続き、3位もNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル/ファビオ・カルボーン組)と、NSX勢が表彰台を独占した。

一方、GT300クラスはNo.19ウェッズスポーツ(飯田章/関口雄飛組)のセリカが大接戦をものにして今季初優勝。2位のNo.47宝山 DUNLOP Z(脇阪薫一/密山祥吾組)、3位のNo.33 HANKOOK NSC PORSCHE(木下みつひろ/坂本祐也組)も揃って今季初表彰台に上がった。

■No.18 NSX、4戦連続のポールポジション獲得

今シーズン、他を圧倒する速さを見せ続けているNo.18 NSX。アップダウンが多く、タイトなコースレイアウトを持つSUGOに場所を変えても、状況は何ら変わることはなかった。

土曜日の予選1回目。2番手に0.837秒の大差をつけたNo.18。アタックを担当する小暮卓史は「SUGOは何も考えずにリズムが取れるコース」と自信たっぷり。前日の練習走行では突如駆動系のトラブルが発生し、やや雲行きが怪しくなるかと思われたが、その不安を打ち消すように自らの手でトップタイムをマーク。午後からグリッド順位を決めるスーパーラップのクリアラップに、多くの期待が集まった。

午前に比べ、気温、路面温度ともにぐっと下がり、涼しくなったコンディションの下、スーパーラップがスタート。クルマのセッティング次第で、いつも以上に丁寧にタイヤを温めてアタックをするドライバーも多く、それはNo.18とて同じ状況だった。

ひと足先に、No.8 ARTA NSXが好タイムをマークし、暫定トップに浮上。さらにはNo.32 NSXがこれに続き、まさにNSXの独壇場。そして、No.18 NSXも期待に応え、No.8を0.425秒抑えて文句なしのポールポジション獲得を達成した。

なお、GT300クラスはNo.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(高橋一穂/加藤寛規組)が、2番手No.43 ARTA Garaiya(高木真一/新田守男組)を0.126秒の僅差で抑えて今季2度目のポールポジションを獲得。3番手にはNo.13 エンドレスアドバン洗剤革命Z(影山正美/藤井誠暢組)が続いた。

GT500クラスのスタートシーン。トップで走り出したNo.18 NSX(写真手前)だが、ワイパーの動作不良により、後続につかまってしまう。
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■雨のセーフティカースタート

日を追うごとに下り坂の天候となったSUGO。決勝日の朝は夏の日差しは影を潜め、どんよりとしたうす曇の空が広がった。

決勝を控え、車両が順次コース上のダミーグリッドにつき始めた頃、とうとう雨が降り出してくる。瞬く間にウェットコンディションとなったコースではメカニックたちが忙しくタイヤ交換作業を行うが、これをあざわらうかのように雨は止み、空は再びうす曇に戻ってしまった。

レースはセーフティカーが暫し車両を先導する「セーフティカースタート」へと変更。こうして81周のレースが幕を開けた。

水しぶきを上げながらスローペースで走行する中、一度は上がった雨がまたも落ち始める。そんな中、6周を終えてセーフティカーが退去。事実上のレースが始まり、トップのNo.18 NSXと続くNo.8 NSXが早速攻防戦を展開した。

これまで再三ポールポジションを手にしながら、マシントラブルが多発し、今季まだ一度も完走を果たしていないNo.18。今回はウェットの中、ワイパーが作動しないという致命的なトラブルに見舞われ、No.8へ首位の座を奪われてしまった。クリアな視界を確保できず走りに集中できないNo.18に対し、後方からは、予選3番手のNo.32 NSXを料理したNo.1 SC430がひたひたと接近。No.18がGT300車両に行く手を阻まれ失速した瞬間、間髪入れずNo.1が逆転。No.8がひと足先にルーティンのピットインで暫定的に後退していたため、No.1が代わってトップに立った。

優勝したNO.8 ARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組:写真手前)と、2位のNO.18 TAKATA 童夢 NSX(道上龍/小暮卓史組)は、ファイナルラップまでバトルを繰り広 げた。
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■三つ巴の壮絶バトルは、予期せぬ結末に

No.1 SC430とNo.18 NSXは依然として緊迫した攻防戦を展開。そしてレース折り返しを少し過ぎた頃、2台は同じタイミングでピットインを行い、ピットロードでの新たなバトルを演出した。

雨はすでに止んでいたが、路面は場所によってまだウェットコンディション。だが、レインタイヤを装着するレベルではない。2台はともにスリックタイヤへとチェンジ、まだ雨の残るピット前でマシンをスライドさせながらNo.1、No.18のオーダーのままコースへと復帰した。

タイヤに熱を入れるため、慎重な走りに徹する2台。このときばかりは手の届きそうな場所に相手がいようとも、まずは自身の足元を確立するのが先だ。だがこれはすでにタイヤも温まり、戦闘態勢が出来上がっているNo.8を交えて3台の攻防戦になることも意味していた。

最終コーナー入口で周回遅れの車両に引っかかったNo.1。これで縦一列だった3台の隊列が、コーナー立ち上がりで横一列に変貌! タイトなSUGOのメインストレートでアウト側からNo.1−No.18−No.8とピッタリ寄り添い、互いに一歩も引かない様は、まさに一触即発状態。GTレースの醍醐味を凝縮したような見せ場に、スタンドも大いに沸いた。

1コーナー進入を前に鼻先ひとつリードしたのは、No.1。イン側かつかつのラインで耐え忍んだNo.8がこれに続き、No.18は3番手にドロップ。この後も僅差でトップ3の攻防戦を繰り広げたが、この先に予想外の展開が待ち受けるとは、誰も知る由がなかった。
No.1にドライブスルーペナルティーが提示されたのだ。

No.1はピットインの際、入り口のホワイトラインをカットしており、これがペナルティの対象となった。このとき、ピットロードへ向かったマシンは計4台。接近戦を展開していたため行き場を失ったNo.1は、右側にいたGT300のマシンとの接触を避けてスペースを空けたが、目前の車両によってホワイトラインが見えず、痛恨のラインカットを犯してしまった。No.1は、ペナルティによって5位へと後退。これでNo.8に再びトップの座が戻ってきた。

GT300クラスのトップ争いは終盤ギリギリまで繰り広げられた、NO.19 ウェッズスポーツセリカ(飯田章/関口雄飛組)がNO.47 宝山 DUNLOP Z(脇阪 薫一/密山祥吾組)を追い立てる。
GT300クラスのトップ争いは終盤ギリギリまで繰り広げられた、NO.19 ウェッズスポーツセリカ(飯田章/関口雄飛組)がNO.47 宝山 DUNLOP Z(脇阪 薫一/密山祥吾組)を追い立てる。
GT300クラスの表彰式。写真左から、2位のNO.47 宝山 DUNLOP Z(脇阪 薫一/密山祥吾組)、優勝したNO.19 ウェッズスポーツセリカ(飯田章/関口雄飛組)、3位のNO.33 HANKOOK NSC PORSCHE(木下みつひろ/坂本祐也組)。飯田はGT300クラス初優勝だ。
GT300クラスの表彰式。写真左から、2位のNO.47 宝山 DUNLOP Z(脇阪 薫一/密山祥吾組)、優勝したNO.19 ウェッズスポーツセリカ(飯田章/関口雄飛組)、3位のNO.33 HANKOOK NSC PORSCHE(木下みつひろ/坂本祐也組)。飯田はGT300クラス初優勝だ。

■NSXが表彰台を独占

No.8 NSXとNo.18 NSXは1秒を切る緊迫の中で周回を重ねた。レースウィーク中、トラブルもなく尻上がりに調子を上げていたNo.8に対し、No.18はポールポジションの獲得数こそダントツであっても、今季は未完走だ。チームは優勝よりも完走を重視。自らの走りに徹することになり、前を行くNo.8がそのままトップでチェッカーフラッグを受けた。

ようやく完走を果たし、2位獲得を果たしたNo.18。だが勝てるチャンスがあっただけに、ドライバーふたりは「嬉しくも悔しい」の複雑な表情を浮かべていた。そして手堅い走りに徹したNo.32のもとへと3位が転がり込み、NSX勢が表彰台を独占。また、ペナルティで後退したNo.1は5位でレースを終えた。

一方のGT300クラス。不安定なコースコンディションを味方に、一時は4輪駆動のNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ(山野哲也/青木孝行組)がトップに立ち、レースを盛り上げる。だが、ドライバー交代のあとしばらくしてハブトラブルが発生。表彰台への夢が潰えた。

上位陣がコースアウトや他車との接触でペースをキープできない中、確実なレース運びを見せて中盤以降トップに立ったのはNo.47 Z。だが次第にNo.19 セリカが差を詰め、執拗にトップを追い立てた。こちらもGT500に引けを取らない緊迫した攻防戦を披露。勢いに乗るNo.19 セリカが激戦を制し、チームに今季初優勝をプレゼントした。また、No.33 ポルシェはファイナルラップの最終コーナーで2台抜き! 価値ある3位を獲得した。

■第6戦はシーズン最長の「1000kmレース」

シリーズ折り返しを終えたSUPER GT。次の舞台は真夏の鈴鹿、しかもシリーズ最長の1000kmレースとなる。トップ争いのチームはレギュラードライバーだけで戦い抜くことも少なくないが、第3ドライバーの登録が可能で、チームによっては3人のドライバーで出走可能。マシンは速さよりも耐久性にシフトしたセッティングとなり、チーム同士のタイム差はいつもより少なくなりやすい。

様々な不確定要素を織り交ぜた戦いになるであろう鈴鹿1000km。No.8が早くも2勝目を上げ、シリーズタイトル争いで大きくリードした今、ライバル達の反撃も気になるところだ。

(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)

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