F1アメリカGP、2008年は開催せず

2007.07.17 自動車ニュース
写真は、2007年6月17日、今季アメリカGPのスタートシーン。
F1アメリカGP、今季を最後に消滅か!?

F1アメリカGP、2008年は開催せず

F1のアメリカGPが、今シーズンを最後に消滅するという。いったいどういうことなのか? 現地アメリカの反応などを交えつつリポートする。

■開催から8年で幕

F1を牛耳るビッグボス、バーニー・エクレストン氏は、F1アメリカGPが2008年は開かれない可能性が極めて高いことを、2007年7月12日に明らかにした。これは、同日が契約更新の最終日だったIMS(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ社)側と交渉が決裂したことによる発言だ。

F1アメリカGPは過去、ワトキンスグレン、ロングビーチ(ワトキンスグレンと同年開催時は、アメリカ西GP)、ラスベガス、デトロイト、フェニックスなど経て、2000年からインディアナポリスで開催されるようになっていた。
IMSのトニー・ジョージ社長はインディF1開催が明らかになった当時、筆者のインタビューにこたえ、「インディカーだけのビジネスでは、この施設がもったいない。NASCAR(ブリックヤード400)が成功し、次は当然、世界一のモータースポーツであるF1開催。私の長年の夢がかなって本当に嬉しい」とのべた。

IMSはその後、インフィールドのゴルフ場を大幅改修し、F1専用のロードコースを敷いた。またコントロールタワーや大規模なプレスルームなど、全てを「F1基準」にあわせるべく、大きな投資を行った。2000年の開催初年度は、予想していたほど観客が集まらず苦戦したIMSだが、その後集客数は伸びていった。だがご承知のように2005年、ミシュラン勢による決勝出走断念により、多額のチケット払い戻しを行うなど、トラブルもかかえた。

今回、IMSがF1側と2008年以降の契約更新しなかった理由は不明。だが、エクレストン氏はロイターのインタビューで「2008年、IMSはモトGPの開催を決めたようだ」と語っているように、IMSがF1以外とのビジネスに興味を示しているのは明らかだ。

■カーレースは「NASCAR」に限る!

今回の「アメリカGP消滅」のニュースに、多くのアメリカ人はほとんど関心を示さない。

アメリカでのF1人気は極めて低く、TV中継も全米ネットの地上波ではなく、レース専門放送局『Speed channel』で流れる程度。シューマッハ、アロンソ、ハミルトンはもとより、アメリカ人F1ドライバーのスコット・スピードでさえもアメリカ庶民のなかではほとんど無名の存在だ。アメリカでF1をTV観戦するのは、ヨーロピアンレースに傾倒するごくごく一部のマニアだけ。実際にインディアナポリスにF1観戦に来る人の多くも「なんか、世界一のレースらしい」という一時的な興味本位か、フェラーリを自分で所有しているヨーロッパ志向の富裕層が主流だ。

現在のアメリカ人にとっての自動車レースのイメージは、圧倒的に「NASCAR」が占めている。全米ネットの地上波TV、ケーブルTVの視聴率データを見ても、全米スポーツ中継番組の中で、NASCARはNBA(バスケット)次いで2位。NHL(アメフト)、MLB(野球)、NHL(ホッケー)より、NASCARが上位になる。

アメリカ庶民にとってF1は、「お高くとまっていて、自分とはかけ離れた存在」と見る向きが多い。それより、ご当地ドライバーが派手なカラーリングでバトルするNASCARの方がウケるのだ。またインディカーは、F1とNASCARの中間的なイメージと捉えているアメリカ庶民が多く、通常のIRLやチャンプカーシリーズの存在は知らなくても、伝統のインディ500だけは認知度が高い。

一部には、F1アメリカGPはラスベガスで復活、との噂も耐えないが……詳細は不明だ。

(文=桃田健史(IPN))

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