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【スペック】全長×全幅×全高=4180×1840×1365mm/ホイールベース=2465mm/車重=1410kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(200ps/5100-6000rpm、28.5kgm/1800-5000rpm)/価格=479.0万円(テスト車=535.0万円/7Yスポーク17インチアルミホイール+245/45R17タイヤ=18.0万円/レザーパッケージ=35.0万円/オプションカラー=3.0万円)

アウディTTロードスター 2.0 TFSI(FF/2ペダル6MT)【試乗記】

懐かし系 2007.07.13 試乗記 アウディTTロードスター 2.0 TFSI(FF/2ペダル6MT)
……535.0万円

「アウディTTクーペ」がオープンボディを得て登場。モノグレードとなる2シータースポーツ、新型の実力を探る。

進化の結果

昨2006年秋に日本にやってきた2代目「アウディTTクーペ」は、モデルチェンジで大きくなったボディが賛否両論を巻き起こした。僕も初めて乗ったとき、初代が持っていた凝縮感が失われたことを、残念に思った。ところが今回発売されたTTロードスターは、素直にいいと思えた。サイズは全高が25mm低くなった以外、クーペと共通なのに。クーペでは間延び感のあったリアゲートがないことが、いい結果を生んだようだ。アクの強さがないぶん、旧型よりも多くの人に受け入れられそうだ。

それでいて、アウディらしいディテールへのこだわりにもあふれている。ソフトトップをクローズしたときのフォルムも、オープンに負けずにスタイリッシュ。2シーターのキャビンは、ルーフとリアシート以外はクーペと共通というわけではなく、たとえばサンバイザーは幅の狭いものを与えて、ウィンドウスクリーンのフレームにぴったり収めるという緻密な作りだ。

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ユーティリティとオープンの両立

日本仕様は電動ソフトトップが標準になる。折り畳みはZ型になったので、上にカバーをかける必要がなくなった。しかも開閉時間はオープンが12秒、クローズが14秒という早さ。信号待ちでもサッと開け閉めできる。流行のリトラクタブル式ハードトップにしなかったメリットはもうひとつ、屋根を開けてもトランクが狭くならないことがある。とくに奥行きはオープン2シーターとしてはかなりのレベルだ。

TTロードスターお得意? の電動昇降式ウィンドデフレクターは、クリアからメッシュになった。天気がよかったのでルーフを開け、このデフレクターとサイドウィンドウを上げて走り出す。ところが50〜60km/hぐらい出すと、シート左右からそれなりの空気が流れてくる。髪は軽く揺らされるだけなので運転に支障はないが、最近のオープンカーのなかでは、風を受け流すのではなく、受け入れる傾向が強い。

エンジンは2リッター直列4気筒ターボで、フォルクスワーゲンのDSGと基本的に同じ6速Sトロニックで前輪を駆動する。クーペにあった3.2リッターV6クワトロは、日本仕様にはない。でも個人的には、4気筒のほうがTTロードスターの持ち味に合っているように思えた。

現代のライトウェイトスポーツ

ボディはクーペより70kg重いけれど、200ps/28.5kgmをマークするエンジンの前には問題にはならない。クルマが動いてさえいれば、つねにターボの押し出すような加速が、Sトロニックのスムーズネスとともに堪能できる。それ以上に心地いいのは音。アクセルを多めに踏み込むと、太いエキゾーストサウンドが背後から響いてくる。1950〜60年代の英国製ライトウェイトスポーツを思わせる重低音。いい意味でノスタルジックな気分にさせてくれる。

アルミとスチール併用のASF(アウディ・スペースフレーム)ボディがもたらす軽さがまた、気持ちいい。ステアリングを切った瞬間にスッとクルマが向きを変えるのはクーペも同じだったが、青空の下でその動きを楽しんでいると、地上を走っているのではなく、空を舞っているような気分になれる。重いV6クワトロでは、この軽さは味わえないだろう。

ペースを上げればフロントが外へとふくらんでいくことで、前輪駆動であることがわかるし、姿勢変化の大きさも気になる。でもその一歩手前で流すTTロードスターの身のこなしは、とにかく素直だ。FFかFRかなんていう理屈さえ忘れてしまえる。空の青さ、風のさわやかさ、音の心地よさ、そして曲がりの素直さ。これらが渾然一体となった走りは、旧き佳きライトウェイトスポーツに限りなく近いものだった。

しなやかな乗り心地

しかも乗り心地だっていい。僕が乗ったのは、オプションのマグネティックライド(電磁式可変ダンパー)を装着していないモデルで、アルミボディらしい角のあるショックを伝えることもあるものの、オープンボディらしからぬボディの剛性感のおかげもあって、おおむねしなやかだった。

山を下りてきたところで、トップを上げる。さきほどまで開放感いっぱいだったキャビンが、密室に一変した。例の排気音は小さくはなるが、クーペに比べれば明瞭で、タイトな空間にそのサウンドが響く。ここでもTTロードスターは、懐かし系オープンカーだった。
TTロードスターは、同じスポーツモデルでも、「RS4」などとは対極にある。技術による前進をスローガンに掲げるブランドらしからぬ、情にあふれた乗り物だった。ひっちゃきに飛ばすのではなく、ちょっと速めのペースがいい。いい意味で肩の力が抜けた、しっとりしたオープンカーだった。

(文=森口将之/写真=高橋信宏)

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