ドイツのCNG車市場に、未来はあるか?

2007.06.18 自動車ニュース
CNG(天然ガス)燃料の取り扱いがあることを示す、ガスステーションの看板。
ドイツのCNG車市場に、未来はあるか?

ドイツのCNG車市場に、未来はあるか?

ガソリンに比べてCO2の排出量が25%程度下がるといわれるCNG(Compressed Natural Gas:天然ガス)車は、地球温暖化対策で注目されている。
日本はもとより、ドイツでも補助金制度などが用意されているのだが……。CNG車をめぐる現在の状況を検証する。

■パッとしない

ドイツの自動車メーカーは1990年代からCNG車を売り始めた。しかし、当初は対応するガスステーションもなく、結局はガス会社で実験的に使われる社用車や公共バスなどの狭い分野に留まった。ようやく登録台数が伸び始めたのは、2000年頃から。これは日本でも当てはまる状況といえる。

日本では、CNG車は今でも主に商用だ。CNG化にかかる費用、すなわちガソリン車との差額に対して補助金が用意されるため、販売価格は非常に高く(ガソリン車のほぼ倍に)設定される。個人ユーザーにあまりアピールできるものではない。

2006年に日本市場から撤退したオペル。欧州ではミニバンの「ザフィーラ」にCNG仕様がラインナップされる。
ドイツのCNG車市場に、未来はあるか?

■人気車種に「CNGモデル」

こうした状況にドイツで変化が生じたのは2004年ごろ。いくつかの個人向け人気車種にCNGバーションが発売されたため、小さな“CNGブーム”が起きたのだ。
たとえば人気のミニバンでは、「フォルクスワーゲン・トゥーラン(日本名:ゴルフ・トゥーラン)ECOFUEL」や、「オペル・ザフィーラ 1.6 CNG ECOTEC」だ。ダイムラー・クライスラーは、「メルセデス・ベンツE200 NGT」を販売している。
輸入車勢では、フィアット、シトロエン、ルノ、プジョー、ボルボが同様のモデルをラインナップ。統計データはないが、車種の人気から考えると、前述のトゥーランとザフィーラがこの個人ユーザーCNG市場をリードしていると思われる。

■CNG車のメリット

CNG車の技術的コンセプトは「エンジンをCNG向けに最適化すること」である。緊急時に使うガソリン燃料の容量は、ギリギリの10リッター台に抑えられる。とはいえ、CNG車はガソリン燃料も使うことができるわけだ。
そのガソリン車との価格差は、2500ユーロ(約41万円)から4000ユーロ(約65万円)程度。実際の生産コストの違いを反映した、常識的な設定といえよう。

なお、ドイツでの補助は、この車輌差額に対してではなく、燃料費に対して行われる。燃料税がガソリンより遥かに安いのだ。さらに、CNG車を登録した人には「地元のガス会社からCNGを500kg無料でもらえる」などという特典があったりする。

ドイツのCNG車登録台数(乗用車部門)は、2005年が8053台で、2006年は1万1555台と、伸び率約43%を記録した。まだ乗用車全体の0.5%以下でしかないのだが……。


ドイツのCNG車市場に、未来はあるか?

■給油所の不足が問題

今後の見通しは、決して明るくない。そもそも、CNGのガスステーション数が充分ではないのだ。ドイツ全国の一般スタンド約1万5000か所に対して、CNGスタンドはわずか約750か所しかない。
過去、2004年に約150か所が開業したものの、今年の予定は50か所のみ。この状況では、旅行前にスタンドのある道順をチェックするのは当然、常に立ち往生の危険を意識しながら走らなければならない。

さらに、2007年4月までのCNG車登録台数をチェックすると、減少傾向にあるのだ。今のペースが続けば2007年の登録台数は2005年レベルまで下がり、CNGのブレークを期待できそうにない。前述のCNGスタンド不足がひとつの大きな問題なのは明らか。もうひとつの問題点は燃料減税によるもの。これは車種と条件に左右される数字だが、年間ウン万kmを走らないと、CNG車の購入費用差額の元が取れない。

日本に比べて「クルマのエコ化」が進んでいそうなドイツでも、このありさま。両国とも、現在の補助制度だけではCNG定着までの道のりは遠いように思える。

(文と写真=廣川あゆみ)

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