フォルクスワーゲン、超低価格車開発へ

2007.06.11 自動車ニュース
「ダチア・ローガン」(左)と、そのワゴン版「ローガンMCV」。
フォルクスワーゲン、超低価格車開発へ

フォルクスワーゲン、超低価格車開発へ

近年、高級路線を進めてきたフォルクスワーゲンが、低価格車の開発に意欲を示した。背景には、先にご紹介したルノー系列の低価格車、「ダチア・ローガン」の大ヒットがあるらしいのだが……現地ドイツからのリポート。

■高級から一転、チープ路線へ

独フォルクスワーゲンのヴィンターコルン社長は、ドイツの業界紙「アウトモビールヴォッヘ」のインタービューで、低価格車の開発を発表した。同社の最廉価モデル、ブラジル生産の「フォックス」より安いという。量産予定は2009年。ドイツ国内価格は、7000ユーロ台になる見通し。邦貨にして約110万円という計算になる。ユーロ高のため高く感じられるかもしれないが、ドイツ新車市場で最も安い価格帯だ。

さらに、チェコに拠点を置く子会社「シュコダ」はインド、ロシアなどの市場に向けて6000ユーロ台(アウトビルト紙によると5000ユーロ台)のモデルを開発している。ベースは最近発売されたファビア。東ヨーロッパで販売する可能性はあるが、ドイツなど西ヨーロッパでの発売予定はないという。

ここ数年間、高級路線を追求してきたフォルクスワーゲン社の明らかな戦略変更。その理由は、フランスのルノー社の低価格ブランド「ダチア」の成功にあると思われる。


フォルクスワーゲン、超低価格車開発へ!?

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■噂の「ダチア・ローガン」とは

共産党時代、ルーマニアの国営企業だったダチア(Dacia)は、1968年に「ルノー8」の組み立て事業で発足。1978年にルノー社とのライセンス契約を解約して以来、当時生産していた「ルノー12」ベースのクルマを作り続け、70年代の技術を、1999年にルノー傘下になった後も2005年まで活かし続けた。

ダチア社はルノーの技術を用い、ルノーの小型車「クリオ」(日本名「ルーテシア」)を参考にして、東欧向けの低価格車を開発。2004年、5000ユーロ程度でルーマニアとその隣国で発売した。これが、「ローガン」(Logan)である。
保守的なデザインのセダンで、大きさはコンパクトクラスだが「クリオ」より大きい。西ヨーロッパにはない価格帯でチョット大きめというキャラクターに、ドイツの消費者は興味津々だった。

当初ルノーは、「ローガンを西ヨーロッパに売るつもりはない」と発表していたが、すぐ西ヨーロッパへの非公式の輸出が始まった。その後、西ヨーロッパ向けの多少アップグレードしたバーションもつくり、ドイツでは約6000ユーロ(税込7200ユーロ)から販売された。
ルーマニア仕様にはないABSなど、西ヨーロッパで欠かせない装備が付けられた。ルノーのディーラーで販売される。「LOGAN by RENAULT」の表記で、そのブランドのつながりを示した。


フォルクスワーゲン、超低価格車開発へ!?
ローガンの運転席まわり。
フォルクスワーゲン、超低価格車開発へ!?

■VW版「ローガン」に期待

「ローガン」のつくりそのものは非常にチープ。特にはじめは、ルーマニアの粗悪なタイヤ品質のせいか、「制動時に危険だ」との評価を受け、販売数は予想通りに伸びなかった。
その後、問題点を改善し、今では徐々に数字も伸びはじめている。ドイツ国内では、2006年の登録台数が前年比207%(!)。さらに、2007年4月までの数字を計算すると、220%の伸びと予想できる。
ワゴン版「ローガンMCV」の発売も追い風だ。ベーシックモデルにはパワステすらないローガンだが、「走れれば良い」というドライバーにはぴったりなクルマといえる。

このローガンの成功を見て、「安価な国民車」がラインアップされていないフォルクスワーゲンも戦略を改めたようだ。
時代遅れのイメージのダチアより断然にウケがいいフォルクスワーゲン。ローガンと同じ価格帯のクルマを出せば、爆発的に売れることが予想される。
期待して、そのデビューを待とうではないか。

(文と写真=廣川あゆみ)

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