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【スペック】S5:全長×全幅×全高=4635×1854×1369mm/ホイールベース=2751mm/車重=1630kg/駆動方式=4WD/4.2リッターV8DOHC32バルブ(354ps/7000rpm、44.8kgm/3500rpm)(欧州仕様車)

アウディA5 3.2FSIクワトロ(4WD/6MT)/S5(4WD/6MT)【海外試乗記】

端正な顔つきのニューモデル 2007.05.26 試乗記 アウディA5 3.2FSIクワトロ(4WD/6MT)/S5(4WD/6MT)

2007年のジュネーブショーで発表された新型「A5」。2ドアボディに4シーターを備えたラクシャリークーペに試乗。イタリアから報告する。

久しぶりの4シータークーペ

アウディ「TTクーペ」や「R8」といった2シーター、もしくはそれに準じたモデルを除けば「このところご無沙汰」だったのがアウディのクーペ。
しかし、自らプレミアムカーメーカーを謳うアウディとしては、それではメルセデスやBMWとの対抗上もウマくない、と思ったのかどうか……。とにかく、この期に及んで久々のリリースとなったフル4シーターを備えるクーペが、「A5」とそのスポーティバージョンである「S5」。

ちなみに、このメーカーから“オリジナル・クワトロ”と称される2ドアクーペが初めて世に送り出されたのは、今を遡ること27年も前の1980年のハナシだ。
そんな最新クーペのデザインを手掛けたのは、同社の日本人デザイナーであるワダサトシ氏。だから「同胞のよしみ」という贔屓目でもないが、例によって“シングルフレーム・グリル”をその顔付きとして備えたそんな最新アウディのたたずまいは、流麗かつ端正でなかなか美しい。

しかし、ルックスの裏には、エンジニアリング上の大きな秘密が隠されている。
フロントアクスルのレイアウトに大きな変更を施し、エンジン本体に対する前輪位置を、「A4」や「A6」に対して100mmレベルで前進させているのだ。ホイールベースは、106mm長い2751mmになった。


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【スペック】
A5 3.2FSIクワトロ:全長×全幅×全高=4625×1854×1372mm/ホイールベース=2751mm/車重=1535kg/駆動方式=4WD/3.2リッターV6DOHC24バルブ(265ps/6500rpm、33.6kgm/3000-5000rpm)(欧州仕様車)
【スペック】A5 3.2FSIクワトロ:全長×全幅×全高=4625×1854×1372mm/ホイールベース=2751mm/車重=1535kg/駆動方式=4WD/3.2リッターV6DOHC24バルブ(265ps/6500rpm、33.6kgm/3000-5000rpm)(欧州仕様車) 拡大

レイアウト変更の「理由」とは

アウディではこうした駆動系の抜本的なレイアウト変更を行った理由として、「前後重量配分を理想的な50:50に近づけるため」と謳っている。
しかし、4WD=クワトロモデルはともかくとして、駆動輪上にタップリとした荷重をかけてトラクションを確保する事が不可欠なFWDモデルでは、そうした配分が“理想的”であるはずもない。

ただ、個人的には、今回のレイアウト刷新は「前輪位置を前出しし、フロントのオーバーハングを大幅に詰める事で、(メルセデスやBMWにヒケを取らない!)美しいプロポーションを実現させるため」という理由が非常に大きな割合を占めていると読む。

そしてそれは、思い起こせばかれこれ20年近くも前に、ホンダがとった手法と極めて似ている。
「インスパイア」や「ビガー」は、「重量配分の改善」を謳いながら、実は“8等身美人”なるデザインテーマを実現させようとした。フロントアクスルをクランクケース下から取り出した、直列5気筒エンジン縦置き搭載の“フロントミッドシップ”を謳ったものだ。

こうして、アウディ車としては例外的なフロント・ショート・オーバーハング化に成功したA5/S5は、同時に後輪位置も後ろ寄りとしたことで、クーペとしては後席居住性に優れている。

さすがにヘッドスペースはミニマムだが、クッションはホイールハウスの張り出しに蹴られる事もない。前席下への足入れ性に優れる事もあってレッグスペースはかなりの余裕だ。
455リッターという数字が示すようにトランクスペースも広大だが、パワーパックのキャビン側への侵入量は大きいので、フロントシートでのタイト感はこの点で定評(?)あるBMW車並みという印象。

さらにフロント席で気になるのは、右側フロアに、センター、つまりトランスミッション側から大きな膨らみが及んでいること。日本では全仕様が2ペダルとなるであろうA5はともかく、S5が3ペダルで右ハン化されるとなるとABCペダル+フットレストが無理なくレイアウトされるかいささか心配になる。


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通常の荷室容量は455リッター。リアシートを倒すことで、最大829リッターの積載スペースが確保される。
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AT(CVT)が似合う?

イタリアはヴェローナで行なわれた試乗会でテストしたのは「A5 3.2FSIクワトロ」「S5」の2モデル。前者は日本導入時には8段シーケンシャルモード付きのCVT仕様となるようだが、テスト車として用意されたのはS5も含め6段MT仕様に限られた。

0〜100km/h加速5.1秒を謳う、4.2リッターV8を積んだS5の動力性能は、その8気筒サウンドの心地良さも含めてさすがに圧巻。が、それ以外の点ではA5/S5の総合的な走りに関して、良い意味でもそうではない意味でも「さほど大きな驚きはなかった」と報告したい。

そうした印象につながった理由は、どちらのモデルのMTも、その操作フィールが今ひとつなこと。高いセンターコンソール位置のせいで、シフト時に脇が開きがちとなるため、特にスポーティな感触は味わえなかったのが大きい。と同時に、やはりいずれのモデルもクラッチのストロークが大きく、またそのミートポイントも掴みづらかったため、思い通りのスムーズなクラッチワークが得難かったという理由もある。

見方を変えれば、すでにアイドリング付近から極めて太いトルクを発し、「これならば3速ギアでオールマイティだ」とさえ思わせてくれたS5も含め、AT(CVT)とのマッチングのほうが似合っているように思えた。
というわけで、日本導入時にはそうした希望が(自動的に?)叶えられるのではないだろうか。

静粛性、快適性に優れたクーペ

255/35というファットな19インチシューズ(テスト車はダンロップSPスポーツMAXX)を履いたS5は、50km/h付近をピークとしたタイヤ空洞共鳴音がやや耳についたが、それでもA5ともども静粛性は大変優秀な部類。
路面凹凸を拾っての振動は、そんなS5も17インチシューズを履くA5と大差なく、こちらの快適性にも「優秀」の評を与える事ができる。

一方、ハンドリングの印象には特に“感激”も“落胆”もなかったというのが実際のところ。それでも、ターンイン後のアクセルONで「後輪が蹴る感じ」が強いように感じられたのは、40:60というリア・バイアスの掛けられた前後トルク配分の成せる業だろうか。

というわけで、たとえオーバー350psのパワーの持ち主たるS5であっても、ワインディング路をギンギン攻めるというよりは“アウトバーンの王者”を気取る方が似合っていそうなのがこれらのニューモデル。それを気に入るか否かは、まずはこの新世代アウディのプロポーションをお気に召すか否かにかかっていると言えそうだ。

(文=河村康彦/写真=アウディジャパン)

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