第13回:8月13日「カルディナ工場入り」

2007.05.20 エッセイ

第13回:8月13日「カルディナ工場入り」

『10年10万キロストーリー4』刊行記念!

ウラジオストクから直線距離でも約2260km(!)ある、イルクーツクまで走ったカルディナ。くたびれた旅の伴侶を修理すべく、イルクーツクのトヨタディーラーに赴いた。

ものの5分

イルクーツクで2泊することにした。カルディナをイルクーツク・トヨタの工場で修理することと、イーゴリさんが予定していた用事の準備をするためだ。
午前9時、イルクーツク・トヨタに電話をして、10時過ぎに出発。街の中心地から橋を渡り、アンガラ川対岸の「トヨタ・センター・イルクーツク」へ。

受付で、ベルトの鳴きと燃料メーターの故障を診て欲しい旨を伝える。頑丈なゲートが開き、奥の工場棟にカルディナを運んだ。
フロントマンから修理内容を聞いた、赤いトヨタカラーのフリースジャケットを着たマネージャーとおぼしき男が、カルディナをピットに入れてツナギ姿のメカニックに作業内容を指示。メカニックはボンネットを開けて、ベルトとパワーステアリングポンプとジェネレーターをチェックする。レンチでボルトを緩め、適切な位置に設定し直した。エンジンをかけて鳴きが取れたことを確認し、スッと立ち去るまで、ものの5分とかからなかった。

すると、すぐに別のメカニックが現れた。僕らに、リアドアを開けてリアシート上の荷物などを片付けるようにいう。後席を整理したら、シートをもち上げて、ガソリンタンクをチェックしている。燃料計の修理が始まったようだ。

建物は古いが、内部は整理整頓が行き届いて清潔だ。メカニックもテキパキと作業しており、効率が高そうである。

アナトリー.I.パナツェビッチ社長と愛車のランドクルーザー。ドアミラーには「キャメルトロフィー」とおぼしきステッカーが。
第13回:8月13日「カルディナ工場入り」

モンゴル好きのパバロッティ

一連の作業を見ていたら、ハンチングをかぶったハーフコート姿の、ルチアーノ・パバロッティ(テノール歌手)に似た中年男性が話しかけてきた。
「オレは、向こうに停まっているランドクルーザーで明日からモンゴルのゴビ砂漠を走りに行くんだ」
単なるクルマ好きの地元のオジさんかと思って立ち話を続けていたら、名刺をくれた。肩書きは“General director”……って社長じゃないか!

アナトリー.I.パナツェビッチ社長は、僕たちを社長室に招き入れ、お茶をご馳走してくれた。モンゴル行きは今回が7回目。1997年、初めてモンゴルへ行った時に制作したビデオまで見せてもらう。ビデオは「チンギスハーンの道」というタイトルや音楽も付けられ、ちゃんとした“作品”に仕上がっていた。


第13回:8月13日「カルディナ工場入り」の画像
大都市イルクーツクは夜も明るい。
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携帯電話も売られている。

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第13回:8月13日「カルディナ工場入り」

燃料計は……

さらに、社長は僕らのこれからの旅程についてもアドバイスをくれた。
「ポーランドは避けた方がいい。私は4回も、クルマを壊されたり盗まれそうになった」
この夏はクルマでスペインに行く予定だったが、変更してモンゴル行きになったという。とてもアクティブなカーライフを送るディーラーの社長である。
こちらの事情を察して、もしかしたら整備の順番を優先してくれたかもしれない。とても厚遇されたことに感謝する。社長とは、10月に開催される「東京モーターショー」での再会を約束した。

燃料メーターの故障は、タンク内のレオスタットにゴミが引っかかっており、それを取り除いたので大丈夫だという。しかし、キーを抜くと落ちるはずの針が、問題の“5分の3”で止まったままだ。
「乗ってしばらく走れば、針は戻るから問題ない」
工賃合計868.40ルーブル(約3500円)支払ってホテルに戻ったが、メーターは直っていなかった……。

(文=金子浩久/写真=田丸瑞穂/2003年8月初出)

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金子 浩久

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