自動車メディアが見た、フランス大統領選挙

2007.05.12 自動車ニュース
フランスのサルコジ新大統領御用達、「ルノー・ヴェルサティス」。
自動車メディアが見た、フランス大統領選挙

自動車メディアが見た、フランス大統領選挙

政治への関心が高いといわれるフランス。自動車メディアは、投票者のクルマや候補者の運転を分析するなど、独自の視点から大統領選を取り上げた。

■左のルノーと右のフォード

2007年5月6日、フランスの新大統領にニコラ・サルコジが選出された。最終決戦の投票率が85%以上になるなど、日本に比べて政治への関心が高いといわれるフランス。自動車専門誌も独自の視点から、大統領選を取り上げていた。

第1次投票が行われた4月22日。自動車週刊誌「アルギュス」が、調査会社CSAに依頼して、投票会場での出口調査を5009名に対して行った。

その結果、ルノーに乗っている人の29%は決戦投票で敗れた社会党のセゴレーヌ・ロワイヤルに投票したことがわかった。右派の国民運動連合のニコラ・サルコジには25%。決戦投票へ進出できなかった(第1回選挙で3位)、中道の仏民主連合のフランソワ・バイルは20%、極右のジャン=マリー・ルペンは10%という配分だった。

一方、プジョーのユーザーは、32%がサルコジ、28%がロワイヤル、バイルとルペンは共に14%。
シトロエンは、30%がサルコジ、24%がロワイヤル、17%がバイルだった。

新大統領の座を射止めたサルコジを最も支持したのはフォードのオーナーで、実に42%の人が彼に投票したらしい。39%のトヨタ・オーナーもサルコジ派だ。

氏は、パリ生まれ。国籍はフランス。ただ、ハンガリー人の父と、ギリシャ系ユダヤ人を母に持つ“2世”なのだ。生粋のフランス人ではなく、しかも、経済政策もアメリカ式に近いだけに、輸入車好きに好まれるのは納得か?

ルノー・オーナーが社会保障に力を入れると主張していた社会党のロワイヤルを最も支持していた結果を受けて、調査会社CSAは、元国営企業だったルノーに「未だブランド効果がある」と分析。

一見、無意味に思えるアンケートだが、多少なりとも国民の意識を反映できているのかもしれない。

ちなみに、クルマを所有しない人は、31%がロワイヤル、25%がサルコジ、24%がバイル、7%がルペンに投票したという。

「プジョー607」には、中道仏民主連合のフランソワ・バイル氏と極右のジャン=マリー・ルペン氏が乗る。
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■公道激走「大統領選レース」!?

これに先立ち、選挙運動真っ只中にあった4月、モータースポーツ専門誌「オート・エブド」では、“大統領選レース”なる記事が掲載された。

これは12名の大統領選候補者の人気アンケートではなく、公道を走行する彼らのクルマを追跡、スピード計測した洒落っ気たっぷりの企画だった。

参戦した(させられた?)のは、「ルノー・ヴェルサティス」1台、「ルノー・ラグナ」2台、「プジョー607」2台、そして、ハンディがありそうなコンパクトカー「フォルクスワーゲン・ポロ」が1台。計6台だ。

道路の環境や制限速度など状況を判断して、走行中の写真と共にリザルトが発表された。

■速度違反のチャンピオンは……

トップに躍り出たのは、ここでもサルコジ新大統領。

やはり強かった。2リッターディーゼルのヴェルサティスで、時速70km/h制限の道を130km/h(60km/hオーバー)で走行していたのだ。

同誌は、「夜のウェットコンディションで、遅いクルマが多々ある中、奇跡的なスピードを出した。(F1ルノーのドライバーである)コバライネン式に、素晴らしいルノー・シャシーのおかげだ」

2位は、3リッターV6のプジョー607に乗り込んだルペン。130km/h制限の高速道路を、なんと185km/h(55km/h超過)でかっ飛んでいた。「外国人は国外追放」「ユーロを廃止して、通過をフランに戻す!」など、過激な発言が多いルペンらしい豪快な走りで、最高速はダントツだった。

3位は、第1回投票と同じバイルがゲット。クルマは2.2リッターの607だ。トンネルを利用したクリアなコースに入った途端、70km/h制限のところを120km/h(50km/h超過)まで加速したらしい。

4位は、2リッターのラグナDCiに乗車したロワイヤル。110km/h制限を158km/h(45km/h超過)で走行。やはり、女性というハンデが出たのだろうか。

トップ4はいずれもお馴染みのメンバーだが、実際に運転していたのは付き人で、あくまでも彼ら自身ではないとのことだ。

ところで、以前、新システムの自動レーダー(仏のオービス)でスピード違反の取締りが強化されていることを紹介した。その設置者こそ、内相時代のサルコジ新大統領だ。
たとえ後部座席に乗っていたとしても、この記事を読んで「こいつぅ〜!」と、眉をひそめたフランス人は多いハズ。しかし、一部のメディアで取り上げられただけで、大きな問題には発展しなかった。この件で本人のコメントが聞こえてこないのは実に残念だ。

(文=野口友莉/YUYU/写真=ルノー/プジョー)

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