「Z」、波乱のレースをワンツーで制す!【SUPER GT 07】

2007.05.07 自動車ニュース
GT500クラス表彰式。右から、2位MOTUL AUTECH Z(松田次生/ミハエル・クルム)、優勝のZANAVI NISMO Z(リチャード・ライアン/本山哲)、3位Forum Eng.SC430(片岡龍也/ビヨン・ビルドハイム)。
「Z」、波乱のレースをワンツーで制す!【SUPER GT 07】

【SUPER GT 07】「Z」、波乱のレースをワンツーで制す!

開幕戦は、SC430が劇的逆転勝利。第2戦は速さに強さが加わったNSXが待望の一勝。そして迎えた第3戦。序盤から波乱含みとなったレースは、気がつけばZの勝利で幕を引くことになった……。

ゴールデンウィークのさなか、2007年5月4日に決勝レースを迎えたSUPER GT第3戦。舞台となった静岡県の富士スピードウェイにはおよそ5万5000人が訪れ、500kmにおよぶ長く熱い戦いを見守った。

途中、赤旗中断をはさんで飛躍的なポジションアップを果たしたのは、No.23 ZANAVI NISMO Z(本山哲/リチャード・ライアン組)。終盤は同じく手堅い走りで追随したNo.22 MOTUL AUTECH Z(ミハエル・クルム/松田次生組)と隊列を組んで周回し、NISMOワークスの2台が1−2フィニッシュを果たした。3位にはNo.6 Forum Eng.SC430(片岡龍也/ビヨン・ビルドハイム組)が入り、フェアレディZによる表彰台の独占を阻止した。

GT300クラスでは、No.43 ARTAガライヤ(新田守男/高木真一組)が秀でた総合力を武器に圧勝。2位はNo.88アクティオ ムルシエRG-1(マルコ・アピチェラ/山西康司組)、3位にNo.101 TOY STORY apr MR-S(大嶋和也/石浦宏明組)が続いた。

■NSX、3戦連続ポールポジション

これまでストレートが長い富士スピードウェイで際立つ速さを披露していたのは、“直線番長”トヨタSC430だった。だが、今シーズンは、ホンダNSXが総合的な速さで予選を制した。

予選日前日の公式練習では、No.18 TAKATA 童夢 NSX(道上龍/小暮卓史組)がトップタイムをマークしたものの、ディフェンディングチャンピオンのNo.1 宝山TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー組)が0.02秒差で2番手。拮抗するかに思われた予選では、事態が変わった。No.18のNSXに続き、前回優勝のNo.8 ARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組)が浮上したのだ。

快晴に恵まれた予選日。午前10時40分の予選開始時点で気温は20℃ながら路面温度は32℃、終盤には35℃まで上昇し、絶好のアタックコンディションとなった。

その中でアタック序盤こそNSX、SC430とがポジションを入れ替えながらタイムを削っていたが、予選終了まで残り3分ともなるとNSXが一層の速さを披露。結果、No.18、No.8のNSXに続き、No.1のSC430というオーダーで予選1回目を終了した。

午後に入り、予選2回目のあとで行われたスーパーラップでもNSX勢の速さは揺るぎない。ひと足先にアタックを終えたNo.1 SCのロッテラーが暫定トップタイムをマークしたが、その後コースインしたNo.8 NSXの伊藤がこれを0.34秒上回り、さらに最終アタッカー、No.18 NSXの小暮は伊藤のタイムを約0.6秒を削る1'33.066のコースレコードをマーク! 文句なしのパフォーマンスでポールポジションを獲得した。
トヨタのお膝元、富士でホンダが先制攻撃を見せた。

GT300クラスでは、No.88 ムルシェRG-1が予選1回目、スーパーラップともにクラストップタイムをマーク。アタッカーのアピチェラにとっては、昨年の第5戦に続くポールポジションとなった。また2番手にはNo.33 HANKOOK NSC PORCHE(木下みつひろ/坂本祐也組)、3番手はNo.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(高橋一穂/加藤寛規組)がつけた。

GT500クラスがスタート。各車、コカコーラ・コーナーに進入する。
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■波乱のフォーメーションラップ

通常、長丁場のレースは荒れる展開になるというのが大方の予想だが、今回は見事にそれが当てはまった。

まずフォーメーションラップでフロントローのNo.1 SC430が駆動系トラブルにより、まさかの戦列離脱。ディフェンディングチャンピオン不在のまま、もう1周フォーメーションを行い、109周での戦いが始まった。

逃げる上位2台のNSXを猛追したのがNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/高木虎之介組)。まずNo.8 NSXを逆転。だが、トップNo.18 NSXとの差は縮まらない。逆に13位から3位まで浮上したNo.22 Zにプッシュされ、逆転を許してしまった。

2戦連続ポール・ポジション獲得、スタートから独走状態だったNo.18 TAKATA 童夢 NSX(道上 龍/小暮卓史組)。開幕戦、第2戦につづき、またしてもトラブルに見舞われてしまった。
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■NSX炎上でレースはガチンコ勝負へ

レース中盤の53周目。4番手にいたNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル/ファビオ・カルボーン組)は、NSX勢の2番手として快走を続けていたが、スピンターンしていたGT300クラスの車輌と痛恨の接触。衝撃でNo.32に火の手が上がり、レースは赤旗中断となる。

この赤旗で、各車が築いてきた後続車とのマージンはチャラ。結果的に“貯金ゼロ”のガチンコ勝負でのレース再開となった。

だが、中には貯金ゼロでは終わらない車輌も現れた。No.38 SC430だ。レース再開直後の1コーナーで2番手を狙ったが、十分温まっていないタイヤでスピン、コースアウト。大きくポジションを下げた。

トップを快走していたNo.18のNSXにも不運が訪れる。ミッショントラブルでペースが大幅にダウン、完全に勝利の機会を失った。とはいえ、その後、チームはクルマをピットインさせてミッション交換。結果的に入賞こそ逃したが、序盤マークしたファステストラップを死守しての完走となり、ポイント加算につなげた。

NISMOが1-2フィニッシュ。優勝したNo.23 XANAVI NISMO Z(本山哲/リチャード・ライアン組)と2位のNo.22 MOTUL AUTECH Z(ミハエル・クルム/松田次生組)
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GT300クラスで優勝したNo.43 ARTAガライヤ(新田守男/高木真一組)。
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■Z、念願の今季初優勝

ほぼ全車が2度目のピット作業を終えた70周過ぎ。トップ2台には、No.23とNo.22のZがつけ、その後方にはNo.6 SC430。この3台は付かず離れずの距離で周回を重ねていたのだが、なかでもZの2台はまさに磐石の戦いを実践。大荒れ模様のレース展開とは極めて対照的な戦い方を披露した。

いっぽう、3番手のNo.6 SCは、チェッカーを目前にピットが慌しくなる。なんと4本のタイヤを準備し始めたのだ。タイヤカスを拾い、バイブレーションがひどくなっていたビルドハイムは、無線を通じて走行続行を伝えたというのだが……。
結果的にチームの心配は徒労に終わり、3位でフィニッシュ。今季初表彰台の獲得に成功した。

NSX勢にとっては、アンラッキーなレース展開だった今回、最上位は5位のNo.100 RAYBRIG NSX(ドミニク・シュワガー/細川慎弥組)だった。途中、スピンやピットイン時のホワイトラインカットによるペナルティを受けはしたが、最後まで攻めの姿勢を崩さなかったことが、功を奏したといえる。

なお、GT300クラスの覇者、No.43 ガライヤは、1ピットストップを実践。データに裏付けされた作戦を見事成功させ、久々の美酒を味わうこととなった。

■NSXのリベンジなるか!? 戦いの舞台はマレーシアへ

今回、速さと披露しながら、結果的には表彰台を逃したNSX勢。次回マレーシア・セパンサーキットは得意とするサーキットのひとつであり、リベンジ戦となるのは言うまでもない。
だが、それは不本意な展開に甘んじたSC勢とて同じこと。メーカー三つ巴の戦いは、今後さらにヒートアップしそうだ。

(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)

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