クライスラー、いよいよピンチか!?

2007.04.23 自動車ニュース
ドイツ国内に新築された、クライスラーのショールーム。
(文と写真=廣川あゆみ)

クライスラー、いよいよピンチか!?

イースター(キリスト教復活祭)を迎えた4月上旬。例年であれば、この時期は一般ニュースが激減する。しかし、今年は、各誌の経済面でドイツ大企業のダイムラークライスラー社に関する報道が続いた。

■郷土料理×ハンバーガー

2007年4月4日、ベルリンの国際コングレスセンターでダイムラークライスラーの株主総会が開催された。
参加人数約8000人。13時間にもおよぶ今回の株主総会のテーマはただひとつ。今年2月から話題にのぼっていた、米国部門クライスラーグループの売却に関する内容だ。

1998年、ダイムラー・ベンツ社が米国のクライスラー社と合併。ダイムラークライスラーの元筆頭株主ドイチェバンク(ドイツ銀行)はここ数年でシェアを4.4%にまで削減。クウェート国が7.1%のシェアで株主のトップの座についた。さらに全体の約3分の2が、数多くの投資ファンドによって所有されている。

これら多くの株主はダイムラークライスラーのディター・ツェッチェ社長(通称“ドクターZ”)などによる幹部会を強く批判し、クライスラーの売却を求めた。

なかでもマスコミで大きく報道されたのは、「ドイツDWSファンド」の代表者の発言だ。直訳すると、
「シュペッツレにバーガー。これは我々にとっては美味しいとは言えなかった。」

「シュペッツレ」は、ダイムラークライスラーの本拠地シュトゥットガルトの郷土料理でもある。確かにアメリカのバーガーには合わない。

「フィッシュ アンド チップスに白ソーセージ。これも過去に実を成さなかった。」

白ソーセージはミュンヘンの伝統料理。この表現は2000年、失敗に終わったBMW社(本社、ミュンヘン)の英国MGローバー社の買収(1994年実施)を示している。

実際の問題はもちろん料理ではなく、クライスラーグループの経営不振だ。ハンデルスブラット経済新聞によれば2006年の赤字は11億ユーロ(約1760億円)にのぼる。

■おたがいの商品力に開き

“ドクターZ” 社長は、今年2月14日にリストラ計画を発表した際、「クライスラー立て直しのためにあらゆる選択肢を検討する」(日本経済新聞による日本語訳)と述べた。
この表現の中の「選択肢」には「売却」も含まれると解釈され、クライスラー売却の話題に火をつけた。ダイムラークライスラーは今回の株主総会で、売却に関していくつかの候補先と話し始めていることを認めた。

すでにこの『webCG』でも紹介された、ダイムラークライスラーの「メルセデス」ブランドの新型Cクラス。ドイツでは2007年3月29日の発売以降、各自動車雑誌で良い評価を受けている。
ここ数年間続けてきたライナップ拡大の効果もあり、メルセデスの売れ行きは順調だ。

一方、クライスラーグループのブランド「クライスラー」「ダッジ」「ジープ」はアメリカ市場で不振。狙っていた輸出増の期待に応えていない。
メルセデス・ベンツの本市場であるドイツでは、「PTクルーザー」など注目度の高いモデルを次々と発売。ディーラーネットワークも拡大した。(写真:クライスラーの新築ショールーム)
しかしながらクライスラーのシェアは0.5%程度と伸び悩んでいる。

ドイツのマスコミはクライスラーの売却先としていくつかの候補を推測している。しかし自動車メーカーの名はリストアップされていない。
実際にインベスターに売却された場合、クライスラーが立直れるかどうか大きな疑問が残る。

もし、そのインベスターがバーガー好きであれば救われるかもしれないが。

(文と写真=廣川あゆみ)

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