本山哲、一年半ぶりに勝利を果たす【FN 07】

2007.04.16 自動車ニュース
久しぶりに日本人ドライバーで表彰台が埋まった。
左から2位のNo.2 松田次生(mobilecast IMPUL)、服部尚貴Arabian Oasis IMPUL監督、優勝したNo.19 本山哲(Arabian Oasis IMPUL)、星野一義IMPUL総監督、3位のNo.32 小暮卓史(PIAA NAKAJIMA)。
本山哲、一年半ぶりの勝利を果たす【FN 07】

【FN 07】本山哲、一年半ぶりに勝利を果たす

今シーズン、本山哲がフォーミュラ・ニッポンで何よりも欲しかったもの。それは久しく手にしていない勝利だった。そして、待ちに待ったその日がようやく訪れた……。

2007年4月15日、三重県・鈴鹿サーキットで行われた全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第2戦の決勝レース。
予選2番手からロケットスタートを見せた本山哲は、チェッカー直前まで粘った松田次生の追随を封じ込め、悲願の勝利を達成。2005年10月、もてぎ戦での勝利から実に1年半かかって手にした美酒に酔いしれた。

2位の松田に続き、3位には小暮卓史。彼もまた2005年7月の第5戦鈴鹿以来となる表彰台に上がった。

■松田、ゆかりの地でポール獲得

三重県桑名市出身の松田。初めてレース観戦したのも、ゴーカートに乗ったのも、この鈴鹿だった。ホームコースであるこの場所でポールポジションを獲って優勝することは、当然ともいえる目標だった。

レースウィーク初日の金曜日。練習走行では本山にトップの座を奪われたが、わずか0.114秒差で2位につけた。

そして迎えた予選。前夜遅くに雨が降り、路面コンディションにも多少の変化が見られたが、快晴のなか行われた午前と午後の両セッションで、最速タイムをマークした。
1分41秒115のタイムでポールポジションを獲得。2006年に自ら樹立したコースレコードを更新するという形で、幸先よいスタートを切った。

予選2番手は本山。開幕戦ではトラブルに見舞われ、出足をくじかれた。その悔しい思いを打ち消すかのようにきちんと照準を定めて順当な位置につけるあたり、さすがはベテラン。「タイム的にも問題ない」と、勝つ手応えがあることを示唆した。

3番手には小暮卓史。松田、本山を追い上げ、本山との差は僅か0.106秒。昨年は予選で一発の速さを存分に見せつけたが、結果を残せず終わった小暮もまた、好結果を渇望していた。

スタートシーン。ポールポジションのNo.2 松田次生(mobilecast IMPUL)がスタートで出遅れ、2番グリッドからスタートしたNo.19 本山哲(Arabian Oasis IMPUL)トップで1コーナーへ。
3番手には、5番グリッドからNo.1 ブノワ.トレルイエ(mobilecast IMPUL)が好スタートを決め、松田の直後に迫る。
スタートシーン。ポールポジションのNo.2 松田次生(mobilecast IMPUL)がスタートで出遅れ、2番グリッドからスタートしたNo.19 本山哲(Arabian Oasis IMPUL)トップで1コーナーへ。
3番手には、5番グリッドからNo.1 ブノワ.トレルイエ(mobilecast IMPUL)が好スタートを決め、松田の直後に迫る。
オープニングラップからNo.2 松田次生とNo.1 ブノワ.トレルイエの、チームメイト同士による2位争いが始まった。しかし、プノワのリタイヤで早々に幕が引かれた。
オープニングラップからNo.2 松田次生とNo.1 ブノワ.トレルイエの、チームメイト同士による2位争いが始まった。しかし、プノワのリタイヤで早々に幕が引かれた。

■波乱のスタートで本山は逃げ切りに

今回の戦いは、250kmのスプリント。順当にいけばピットインを必要としない距離だ。
もし一発逆転を狙ってピットインをする場合、タイヤ交換、給油などの作業をしてコースに復帰するまでに、1分近くのタイムロスが生じる。そのリスクをチャンスに変えるのは、並大抵のことではない。スタートから一気にゴールを目指すのが正攻法なのだが、次第に消耗してくるタイヤをどううまくマネージメントするのか……。いつもとは異なる見どころを含んだ戦いが予想された。

午後2時30分、フォーメーションラップを終えた22台がレッドシグナルの消灯とともに一斉にスタートを切る。

フロントローでは本山が絶妙のタイミングで飛び出し、先陣を切って1コーナーへ。松田はいきなり本山の後塵を拝することとなった。さらに3番手には予選5位に甘んじていたディフェンディングチャンピオンのブノワ・トレルイエが浮上。いきなり松田を追い立てた。
2台の差がなくなった状態でむかえたヘアピン。松田よりイン側に飛び込み、コーナーを曲がろうとした瞬間、2台が接触!

トレルイエは右フロントにダメージを受けてしまった。これで3周目にはピットインを強いられ、タイヤを交換。だが、その後ふたたびペースダウン。足回りのトラブルによって戦列を離れる結果となった。

波乱の序盤を終え、気がつくと本山は松田を5秒近くリード。逆に松田は小暮からの猛追を受ける始末。だが、ピットインの予定がない場合、ここでの無理は禁物。レースはその後、膠着状態へと変化を見せた。

3位のNo.32 小暮卓史(PIAA NAKAJIMA)。ホンダ・エンジン勢としては最上位。
3位のNo.32 小暮卓史(PIAA NAKAJIMA)。ホンダ・エンジン勢としては最上位。
追い上げを続けたNo.2 松田次生(mobilecast IMPUL)は、最終ラップのシケインでNo.19 本山哲(Arabian Oasis IMPUL)の直後まで迫るが及ばず、2位でフィニッシュ。
追い上げを続けたNo.2 松田次生(mobilecast IMPUL)は、最終ラップのシケインでNo.19 本山哲(Arabian Oasis IMPUL)の直後まで迫るが及ばず、2位でフィニッシュ。
優勝したNo.19 本山哲。昨年は1勝も出来ておらず、05年の第8戦ツインリンクもてぎ以来、約1年半ぶりの勝利に両手を上げて喜びを表した。
優勝したNo.19 本山哲。昨年は1勝も出来ておらず、05年の第8戦ツインリンクもてぎ以来、約1年半ぶりの勝利に両手を上げて喜びを表した。

■タイヤを温存しながらの過酷な攻防

うす曇のなかスタートしたレースは、中盤を過ぎて青空が広がり、気温、路面温度ともに上昇。すでにグリップダウンし始めているタイヤを労わりたいドライバーにとっては、過酷なコンディションとなった。

トップ3、さらにその後方でもポジションこそ変わらないが、互いのタイム差に少しずつ変化が現れた。

なかでも4位以降は、ロイック・デュバル、アンドレ・ロッテラー、ロニー・クィンタレッリらが自己ベストタイムを更新し、プレッシャーをかける。しかしながら逆転へと持ち込むまでには至らず。結果、オーダーどおりにフィニッシュラインを通過した。

一方、トップ2台には見るも明らかな変化が訪れる。一時8秒を超える差をつけられた松田が、ペースを上げ始めたのだ。
中盤、タイヤをセーブする走りに徹したことが功を奏し、終盤でのペースアップが実現。みるみる本山との差は詰まり、残り3周の時点でついに2秒差まで削った。

だが、本山は動じない。焦りからかミスを引き起こすも、松田が同じペースで走っていることがわかると、巧みなコントロールを披露。ファイナルラップではついに1.1秒差まで詰め寄られたが、松田を従えるように僅差でフィニッシュラインを通過し、長らく遠ざかっていた勝利をつかみ取った。

松田は開幕から2戦連続の2位を獲得。ドライバーズポイントではトップに立った。また終盤、前の2台に逃げられ、ひとり旅となった小暮がそのまま3位でレースを終了した。
4位から6位は前述の3ドライバー。以後、7位ミハエル・クルム、8位立川裕路までが入賞ポイントを獲得している。

第3戦は、栃木県・ツインリンクもてぎが舞台。ストップ&ゴーのレイアウトを持ち、抜きどころが少ないサーキットでもある。
新旧の王者、トレルイエと本山がそれぞれ1勝を上げたことによって勢いづいたが、次期王者を狙う松田は、したたかにポイント争いをリード。
シーズン序盤戦のまとめとなるこの一戦、誰が流れを作り上げていくのか、注目したい。

(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)

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