混戦必至! フォーミュラ・ニッポン今週末開幕【FN 07】

2007.03.26 自動車ニュース

混戦必至! フォーミュラ・ニッポンが今週末開幕【FN 07】

【FN 07】混戦必至! フォーミュラ・ニッポン今週末開幕

先日、国内最高峰のハコ車レース、SUPER GTが開幕戦を迎えたばかりだが、いよいよ今週末はフォーミュラカーのトップカテゴリーである全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)が、静岡県は富士スピードウェイで幕を開ける。

ニューマシンの投入やトヨタとホンダによるエンジンデリバリー開始など、ハード面での変革が目立った昨シーズンに対し、今シーズンは、ドライバーのラインナップに変化があらわれただけでなく、レギュレーションの一部見直しなどが進められている。
より見どころ多いシーズンとなるか?


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テスト走行中の佐々木孝太
(写真=TEAM RECKLESS)
テスト走行中の佐々木孝太
(写真=TEAM RECKLESS)

■GTチャンピオン、遅咲きのトップフォーミュラデビュー

今季のエントリーを行ったのは、11チーム22台。その中でスポット参戦を除き、正式なデビューイヤーを迎えたのは5人で、うち2人が日本人、残る3人は全日本F3選手権でキャリアを積んだ外国人ドライバーだ。

“待ちに待った”という言葉が当てはまるのは、佐々木孝太。
もともと2輪の選手だった佐々木は、19歳で4輪レースにデビュー、23歳から本格的なレース活動を開始した遅咲きの選手だ。
その後、ステップアップカテゴリーでキャリアを積むも、F3ではスポット参戦どまり。しかしながらSUPER GTでは2005年にGT300クラスのシリーズチャンピオンを獲得した実力派でもある。

「2年前から参戦する予定でいろいろ動いていたんですが……」と佐々木。
実はGTでチャンピオンを獲得したチームとともにステップアップを計画していたのだという。だが紆余曲折あって、結局時間が足りずに断念。今季ようやく満を持してのデビューを迎える。

ハコ車レースで戦いながら、いつも心の中で灯し続けたフォーミュラレースへの思い。そこには消化不良のままの気持ちが混在しているという。

「もしF3でフル参戦して結果を残せなかったのなら、夢はそのまま終わったかもしれません。当時は金銭的理由で断念したので、自分の中では『まだやれる』という気持ちが残っていました。その後、SUPER GTでチャンピオンを獲得するまで本当に多くのことを学び、自信につながりました。だから、改めてフォーミュラに挑戦しようと思えたんです」

昨年12月、鈴鹿サーキットで行われたルーキーテスト。ここでようやく初めてフォーミュラ・ニッポンのマシンをドライブし、長いあいだ“通せんぼ状態”だった扉を押し開けた。コクピットに身体を沈め、右手を上げてエンジン始動の合図を送る……。
今までイメージし続けた世界がリアルな出来事に変わった瞬間、「マジで感動しました」。僅かな走行時間でチームが想定していたタイムをはるかに上まわり、あとはトントン拍子で参戦が決定した。

■親子二代の夢

マシンデリバリーの問題から、このオフシーズンでのテストでは自分のマシンをドライブするチャンスは佐々木に訪れていない。開幕戦が文字どおり、ぶっつけ本番となる。
「正直、何年も(フォーミュラ・ニッポン参戦を)待ち続けた時間より、ここ数ヶ月のほうがずっとしんどい」と少し不安も残る。だが、「夢が叶った、と安堵しても意味がない。若いなら『1〜2年はしっかり勉強します』なんて言えても、僕の場合はすぐに結果を求められるはず。でも、そういうシビアな環境に順応できるくらい、しっかりと心臓に毛が生えてますから」とプラス思考で気持ちを切り替える。

父はかつて“蝮の秀六”と呼ばれたドライバー。子供の頃からサーキットが遊び場だった佐々木には、大きな目標でもあった。
「親父も当時のトップカテゴリーでフル参戦していないんです。だから、自分がフル参戦し、なおかつ結果を残すことができた時点で親父を超えることができるのかな、と思いますね」。
親子二代にわたる夢が、間もなく形になる。

■SUPER GTとダブルエントリーも

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ。

彼も足止めを喰らったひとりだろう。2004年に全日本F3デビュー、足かけ2年でチャンピオンの座を獲得した。が、翌年トップカテゴリーでのシートは手に入らず、SUPER GTに専念。昨季の最終戦でFNスポット参戦が実現し、それを機に道が開けた。

今季はSUPER GTとの二束のわらじを履くこととなるが、トップドライバーの仲間入りを果たした本人は、「どっちも同じチーム(KONDO RACING)だから、コミュニケーションも取りやすい。忙しくなるのはもちろんだけど、充実したシーズンが送れると思っている」と、いたってポジティブ。
ブラジル人らしいアグレッシブな走りでF3時代のライバルたちと再び勝負に挑む。

彼らに加え、ファビオ・カルボーンもSUPER GTとのダブルエントリーが決定。
さらに日本で3シーズン目を迎えるジョニー・リードや、GP2で戦ってきた吉本大樹が4年ぶりに国内レースにカムバック。欧州で切磋琢磨してきたその実力を、初挑戦となるフォーミュラ・ニッポンで開花させようと意気込んでいる。

写真左から、IMPULの星野一義総監督、本山哲、ミハエル・クルム、服部尚貴監督。
(写真=アラビアンオアシス)
写真左から、IMPULの星野一義総監督、本山哲、ミハエル・クルム、服部尚貴監督。(写真=アラビアンオアシス)

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■ベテラン本山、元祖「日本一速い男」のもとへ

一方で、ベテラン・中堅選手の中には、チーム移籍を含め体制を見直すものが出てきた。

その筆頭となるのが本山哲。
過去4度シリーズタイトルを獲得する「日本一速い男」も、昨年はまさかの未勝利。不本意なシーズンを過ごした男が下した選択は、元祖「日本一速い男」星野一義を総監督に、そして新たに本山本人が「一番心強い存在」という服部尚貴を監督として招へいすることだった。
2005年までフォーミュラ・ニッポンに参戦し、今もなお現役のGTドライバーである服部のチーム加入は、本山にとって戦いに専念できることを意味する。

所属するIMPULとしては、2チーム4台体制という大所帯であり、ディフェンディングチャンピオンのブノワ・トレルイエも在籍する。
レースを制するには、まずチームでトップを取ること。それが勝利への早道になりそうだ。
なお、本山のパートナーには5年ぶりのフォーミュラ復帰となるミハエル・クルムが決まっている。

■井出の再出発

昨季、志半ばにしてF1から再び全日本へと活躍の場を求めた井出有治。
テストもままならない状態での復帰レースは何もかもが噛み合わず、空回りで終わってしまった。
今季は古巣、「ARTA」からの参戦が決定。リベンジ戦の一年となりそうだ。

その井出と入れ替わりでチームを離れ、これまた古巣「PIAA NAKAJIMA」から参戦するのが小暮卓史。
2003年に同チームでデビュー、昨季は最多ポールポジション獲得で話題を提供するも、未勝利のままシーズン終了。記録を作り、記憶にも残ったが、本人が待ちわびた勝利には手が届かなかった。
今季はドライバーとして成長期を過ごしたチームでリセットなるか!?

■スプリントとロングラン、両方で勝負

ここでイベントとしての変更点にも軽くふれておきたい。

5サーキットで全9戦を開催するシリーズに、今季はレース距離の調整が組み込まれた。
鈴鹿、富士、もてぎの3サーキットは2戦ないし3戦を戦うため、その都度レース距離を変えようというのだ。最短230km、最長300kmの範囲でスプリント或いはロングランのレースが行われる。

早くも第2戦の鈴鹿では、去年の51周(約300km)から43周(約250km)に変更予定。計算上はピットストップをしなくても完走できる距離のため、ガチンコ勝負の決勝になる可能性が高くなるのはいうまでもない。

予選から一貫してスピードを追求するか、決勝に焦点を合わせたセッティングを行うのか……。その都度変化する戦略を見比べるのも楽しいだろう。

また、決勝結果に与えられるポイントも見直しが行われた。昨季は6位入賞までがポイント圏内だったが、今季は8位までにポイントが発生。1点を巡るランキング争いにも拍車がかかるものと思われる。

ハード面では、トヨタ、ホンダがニューエンジンをリリース。昨季2レース1エンジン制だったのが、今季は3レースごとと条件はタイトになっている。が、2シーズン目を迎えるにあたり、両メーカーともノウハウが整ってくる頃。ウィークポイントを克服したパワフルなエンジンに仕上がってくるはずだ。

今季の最速男を目指し、幕を開けるフォーミュラ・ニッポン。初戦の決勝は4月1日だ。

(文=島村元子/写真=TEAM RECKLESS、アラビアンオアシス)

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