【スペック】全長×全幅×全高=3850×1670×1540mm/ホイールベース=2460mm/車両重量=1080kg/駆動方式=FF/1.4リッター直4OHC(75ps/5400rpm、12.5kgm/3300rpm)/車両本体価格=182.0万円

シトロエンC3(4AT)【試乗記】

居心地のいいクルマ 2002.10.04 試乗記 シトロエンC3(4AT)……182.0万円シトロエンが、欧州で4割近くを占める「Bセグメント」でのトップシェアを獲得すべく、開発したコンパクトカー「C3」。2002年10月4日からの販売に先駆けて開催されたプレス向け試乗会で、『webCG』Q&Aコーナーでお馴染みの自動車テクノロジーライター松本英雄氏と、webCGオオサワが乗った印象を、対話形式でお送りします。

トップシェアを獲るために

オオサワ:松本先生は、シトロエンを3台乗り継いだって聞いたんですが。
松本:シトロエン「アミ」と「CX」に、“トラクシオン アヴァン”といわれる「11CV」の3台。アミはまだ乗ってるよ。
オオサワ:シトロエンは濃いファンが多い、とシトロエンジャポン広報部の宮之原さんもおっしゃってましたが、松本先生もその1人ですね。
松本:現在はシトロエンの特殊性も薄れてきたけど、油圧アクティブサスペンションの「ハイドラクティブ」を初め、独特の機構が多いから。好きな人はそういうトコロに惹かれるので、結果的に濃くなるのかもしれない。
オオサワ:そのシトロエンが、欧州で4割近くを占める「B2セグメント」(スーパーミニ)で、トップシェアを獲るべく開発したクルマが「C3」です。
松本:プラットフォームは、PSA(プジョーシトロエングループ)が新開発した「プラットフォーム1」を採用。街乗りからツーリングまでをこなし、広い室内と多彩に使える荷室など、「バーサティリティー」(多様性)を持つクルマというふれこみ。「206」の“次”にも使われるハズ。気合い入ってるんじゃないかな。

癒しの室内

オオサワ:丸みのあるボディが特徴的なデザインは、ファンの1人としていかがですか?
松本:第一印象は、スタイリッシュではない。シトロエンが主に訴求したい、若者にウケるかどうかビミョーだと思った。オジサンの意見だけど。
オオサワ:そうですか? 自動車雑誌『NAVI』編集部員の若い衆、佐藤トシキ&岡田威紀や、私が受けた印象はヨカッタです。
松本:……若者には評判いいのかな。個人的には、ヘッドライトからボンネット、ルーフにかけての丸みが、“カワイらしい”というよりボリューム感ありすぎ。
オオサワ:ヘッドライトやリアコンビネーションランプの形状を鋭くして、丸みのなかにシャープさも演出したそうです。往年の大衆車、2馬力こと「2CV」に似ているという声もありますが……。
松本:そうなんだよ。レトロスペクティブなトコロも、気になった。
オオサワ:シトロエンは、レトロではなく機能を追求した結果だ、と主張してます。インテリアはどうです?
松本:2002年における182.0万円のクルマとしては、質感がチャッちい。プラスチック丸出しのインテリアは、いかがなものか。
オオサワ:いいますね先生、バッサリ斬ってますよ。
松本:甘い! 長らくのシトロエンファンとしていうけど、シトロエンをそんな表面的なトコロで評価してはいけない。座ったときのシートの柔らかい感触、さらにインテリアの質感ではなくて、癒されるような“感覚”が魅力。特にシートは最高! プジョーやルノーが、硬めのシートでドイツ車化する昨今、シトロエンのシートは“フランス車最後の砦”って感じかな。
オオサワ:(シトロエンだと、ことさらよくしゃべるなぁ……)C3のシートに座ると、座面やシートバックがちょっと沈むくらい柔らかい。クッションがお尻に吸い付くような感じがいいですね。
松本:ヘッドレストにアタマをつけたときの感触も素晴らしい。「ああ、シトロエンだ」って思う瞬間だよ。

トランスミッションが……

オオサワ:走りの印象はいかがでしょう?
松本:大人4人と撮影機材を載せて試乗したけど、1.4リッターエンジンでパワー不足は感じなかった。2500rpmあたりから、トルク感も十分ある。
オオサワ:75ps/5400rpmの最高出力と12.5kgm/3300rpmの最大トルクを発する、1.4リッター直4SOHCエンジンは、プジョー「206 XT リミテッド」に搭載されるモノと同じです。
松本:ただし、エンジンをブンまわして走るクルマじゃない。街中を、普通に走るクルマかな。
オオサワ:それはなぜです?
松本:ATのシフトスケジュールが影響してる。ある程度速度が乗って(60km/hくらい)、信号で停まろうとすると、シフトダウンの際にクルマがギクシャクする。再加速すると、今度は必要以上にキックダウンしちゃう。できるだけギアを変えないよう、そっと走らないと……。
オオサワ:PSAグループやルノーでも使われる、学習機能付き4段AT「AL4」は、C3になって進化したそうですが……。
松本:まだまだ発展段階だと思うよ。都心はストップ&ゴーが多くて、ATにはツラい環境だから、欠点が出やすい。
オオサワ:C3はシーケンシャルモードを備え、任意にギアを選ぶコトもできます。
松本:欧州では、C3はマニュアルで乗るクルマ。でも、主に日本向けにAT仕様を用意するわけだから、使う環境に合ったモノをちゃんとつくって送り出して欲しい。
オオサワ:キビシィーっスね! シトロエンジャポン広報部の宮之原氏に伺うと、ユーザーからもATへの不満はあるみたいです。
松本:速度感応式の電動パワステも、個人的にはタウンスピードで軽すぎると思った。とはいえ、女性にはありがたいだろうね。しかも速度が高まるにつれて、ステアリングホイールの感触がしっかりしてきて頼もしい。
オオサワ:乗り心地はどうです?
松本:突き上げでバタついたりせず、安定感がある。ボディの剛性が高いんだろう。PSAグループがつくった、次世代シャシーがイイんだと思うよ。

“シトロエンならでは”がある

オオサワ:総じて、C3はどうですか?
松本:デザインのせいで、乗る前はあまり期待してなかった。でも乗ってみたら、見た目の印象とはまったく別物だった。
オオサワ:プラットフォームがしっかりしていて、大人4人+荷物を乗せてもちゃんと走るコンパクトカー、ですか。
松本:クルマとしてはその通り。特筆すべきは、自分を癒してくれるような室内の居心地のよさと快適性。そういうクルマは、今のクルマには珍しいんじゃないかな。
オオサワ:“シトロエンならでは”を持っていると?
松本:人間工学なんていいたくないけど、少なくともスタティック(静的)な面では、「乗るのは人間」という基本がしっかり押さえられていると思う。昔からシトロエンは居心地のいいクルマで、それが現代にも継承されていることがわかってウレシイ。
オオサワ:価格設定はどうでしょう。シトロエンジャポンは、なるべく多くの人に選んでもらいたいということで、競争力の高い値付けをしたと主張してます。
松本:ベーシックグレードで182.0万円は、ルノー「ルーテシア1.4RXE」(185.0万円)や、プジョー「206 XT リミテッド」(4MT)の182.0万円と拮抗する。でも、もうちょっと安くてもいいんじゃないかなあ。
オオサワ:厳しいですね。
松本:日本ではまだ、シトロエンに対するブランドイメージも定着してない。マスを拡げるのにコンパクトカーはうってつけだから、もっと思い切った値付けをして欲しかった。
オオサワ:これ以上の安値は、他メーカーを見ても難しいんじゃないかと思いますが……。(シトロエンのコトになると、ムチャいうなぁ……)

(文=松本秀雄&webCGオオサワ/写真=岡田茂/2002年10月)

高めの全高と大きなフロントスクリーンによる、ルーミーで開放感あるインテリアもジマン。

高めの全高と大きなフロントスクリーンによる、ルーミーで開放感あるインテリアもジマン。
リアシート中央にも、当然ヘッドレストと3点式シートベルトが標準装備。ヘッドレストに頭をつけたときのホワンとした感触を、「素晴らしい! これぞシトロエン」と、松本英雄は絶賛する。

リアシート中央にも、当然ヘッドレストと3点式シートベルトが標準装備。ヘッドレストに頭をつけたときのホワンとした感触を、「素晴らしい! これぞシトロエン」と、松本英雄は絶賛する。
クラス最大級を謳う、容量305リッター(VDA方式)の荷室。荷室を上下に仕切ったり、分割して効率よく利用するための「モジュボード」が標準で備わる。リアシートは、6:4の分割可倒式だ。

クラス最大級を謳う、容量305リッター(VDA方式)の荷室。荷室を上下に仕切ったり、分割して効率よく利用するための「モジュボード」が標準で備わる。リアシートは、6:4の分割可倒式だ。


シトロエンC3(4AT)【試乗記】の画像


シトロエンC3(4AT)【試乗記】の画像
オプションで、リアシートの上までカバーする大きな電動サンルーフも用意されるが、日本に導入されるのは2003年の春になるという。(写真=シトロエンジャポン)

オプションで、リアシートの上までカバーする大きな電動サンルーフも用意されるが、日本に導入されるのは2003年の春になるという。(写真=シトロエンジャポン)
ボディーカラーは全12色。かわいらしいボディ形状には、カラフルな色もよく合う。(写真=シトロエンジャポン)

ボディーカラーは全12色。かわいらしいボディ形状には、カラフルな色もよく合う。(写真=シトロエンジャポン)


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