第4戦、今季初のグラベル戦は「ローブ+シトロエン」が制覇! 【WRC 07】
2007.03.12 自動車ニュース
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【WRC 07】第4戦、今季初のグラベル戦は「ローブ+シトロエン」が制覇!
世界ラリー選手権(WRC)第4戦「ラリー・メキシコ」が2007年3月9〜11日、メキシコ中央部のレオンで開催された。今季初のグラベル戦で、ステージも中低速コーナーと高速コーナーを合わせ持つことから、今後の展開を占う1戦として注目を集めた。そんななか、開幕戦のウイナー、セバスチャン・ローブが安定した走りを披露。シトロエンのエースがC4WRCで今季2勝目を獲得した。
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■ニューマシン「インプレッサWRC2007」、苦戦の初陣
今大会で最も注目を集めたのが、スバルのニューマシン「インプレッサWRC2007」だ。
同モデルのコンセプトはトラクション性能とタイヤの摩耗性を向上させること。それを実現するためにフロントセクションの軽量化と重量バランスの最適化を追求。サスペンションのジオメトリーの変更、新開発のBOS製ダンパーを採用するなど足まわりを一新したほか、エアフローを向上させるべく、ラジエータとインタークーラーのレイアウトを変更した。
2006年型モデルとの外観上の違いはフロントバンパーとボンネットの両サイドにエアアウトレットが設けられたことぐらいだが、スバルの技術責任者、菅谷重雄氏は「原点回帰、ではないんですけど、スバルが輝いていた時のように誰が乗っても運転しやすいクルマをイメージして開発しました」と話す。事実、エースのペター・ソルベルグ、セカンドドライバーのクリス・アトキンソンともシェイクダウンから好感触で、ソルベルグによれば「まだまだパーフェクトではないけれど、ステアリングフィーリングが格段に向上したよ」。
それを証明するように9日のレグ1ではソルベルグがSS1、SS2、SS3を連取し、午前中のループをトップで通過。さらにアトキンソンも3番手に付けた。しかし、SS5で予想外の不運がソルベルグ+インプレッサWRC2007を襲う。なんとステージの中盤でオイルクーラーのトラブルが発生。なんとか5番手タイムでフィニッシュはしたものの、その後の走行を断念し、リタイアすることになったのである。
代わってトップに浮上したのがシトロエンのエース、ローブだ。開幕戦のモンテカルロでは圧倒的な勝利を飾りながらも、第2戦のスウェディッシュは2位、第3戦のノルウェーにおいては14位と低迷。そのため、初のグラベル戦となるメキシコではC4WRCの真価が問われていた。ローブの駆るシトロエンは、クラストップのハイパワーを武器にコンスタントな走りを披露し、レグ1をトップでフィニッシュした。
2番手はスバルのアトキンソンで、フォードのセカンドドライバー、ミッコ・ヒルボネンが3番手、シトロエンのセカンドドライバー、ダニエル・ソルドが4番手でフィニッシュ。
一方、フォードのエース、マーカス・グロンホルムはタイヤの選択ミス、そして油圧センサーのトラブルによるエンジンパワーの低下に苦戦し、5番手でレグ1を終えることとなった。
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■グロンホルムが2位入賞。クリスは5位でフィニッシュ
明けた翌10日のレグ2で注目を集めたのが、レグ1で5番手に出遅れていたグロンホルムで、「セッティングを変更することでマシンのフィーリングが向上した」と語るように猛追を開始。SS11でトップタイムを叩き出し、一気に2番手へジャンプアップする。対してアトキンソンは「ステージの中盤でエンジンパワーが落ちて、20秒をロスしてしまった」と語るようにSS12で6番手タイムに低迷し、5番手へ後退。さらに、ヒルボネンはSS13でスピンを喫し、ソルドに交わされて4番手に後退することとなった。
このように激しいポジション争いが展開するなか、トップのセバスチャン・ローブは悠々とポジションをキープする。さらに翌11日のレグ3でも余裕のクルージングを披露。
結局、「序盤はペター(ソルベルグ)、レグ2以降はマーカス(グロンホルム)とミッコ(ヒルボネン)が速かったけど、マシンのフィーリングが良かったし、トラブルもなかった」と語るローブが今季2勝目を獲得。グロンホルムが2位に入賞した。そしてレグ3で注目を集めたソルドvsヒルボネンvsアトキンソンの3番手争いは、SS17でトップタイムを叩き出したヒルボネンが3位で表彰台を獲得。ソルドが4位でフィニッシュし、アトキンソンが5位でインプレッサWRC2007の初入賞を果たしている。
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■PWRCはヒギンズが初優勝! 新井は2位、奴田原は7位入賞
同時開催のプロダクションカー世界ラリー選手権(PWRC)第2戦で幸先の良いスタートを切ったのが、イギリス選手権で3度のタイトルを獲得したマーク・ヒギンズ(三菱)だ。8本中3本のSSでベストタイムを叩き出し、レグ1をトップでフィニッシュ。2本のSSを制した参戦2年目のミルコ・バルダッチ(スバル)が2番手で続いた。
一方、注目を集める新井敏弘(スバル)、奴田原文雄(三菱)ら日本人ドライバーたちもコンスタントな走りを披露する。しかし、新井は2度のパンク、奴田原はSS5で前走者のダストでペースダウン強いられ、それぞれ3番手、4番手でフィニッシュすることとなった。
明けた翌日のレグ2でもヒギンズvsバルダッチの熱いバトルが展開する。
SS14でバルダッチがパンクを喫し、4番手まで後退。代わって新井が2番手に、開幕戦のスウェディッシュで3位入賞を果たしたクリスチャン・ショーベリが3番手に浮上する。
対して4番手に付けていた奴田原はセカンドループでフロントデフにトラブルが発生し6番手まで後退。さらに「レグ2でフロントデフとトランスファーが固着し、修理に時間がかかることから再出走を選びました」と語るように、奴田原は最終サービスで10分のペナルティを受け、7番手まで後退することとなった。
結局、レグ3でもポジションは代わらず、ヒギンズがPWRCで初優勝を獲得し、「ピレリからミシュランにタイヤをスイッチしたんだけど、タイヤの特性が掴みきれなかった」と語る新井が2位に入賞。3位はショーベリ。「10分のペナルティを受けて、7位に入れたのでいいほうですね」と語る奴田原は、再出走を果たし7位でフィニッシュした。
(文と写真=廣本泉)
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