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【スペック】 全長×全幅×全高=4900×1875×1870mm/ホイールベース=2780mm/車重=2210kg/駆動方式=4WD/3.8リッターV6 SOHC24バルブ(249ps/6000rpm、34.5mkg/2750rpm)/価格=436万8000円(テスト車=456万9500円)

三菱パジェロロング スーパーエクシード(4WD/5AT)【ブリーフテスト】

三菱パジェロロング スーパーエクシード(4WD/5AT) 2007.01.12 試乗記 ……456万9500円
総合評価……★★★★

三菱の本格派SUV「パジェロ」がフルモデルチェンジ。かつて一世を風靡した人気モデルは、スタイルこそ大幅な変化はなかったものの、シャシー性能の進化には目覚ましいものがあった。

“地球基準”まで、近くて遠いあと一歩

かつて無骨で汗臭いだけだった“クロカン4WD”にサラリとした乗用車風味を加え、このジャンルを一気に身近な存在にしたのは初代「パジェロ」の大きな功績だった。

その最新型となる4代目は、「プレミアム感の高い地球基準のオールラウンドSUV」を謳うが、そうなるとオーナーを満足させるだけの「pride & joy」も欲しいところである。

中身は格段の進歩を遂げたのに、保守的なスタイルがいかにも惜しい。

【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
オフロード4WD由来の本格的なSUVながら、セパレートタイプでなく、ビルトインフレーム付きのモノコックであるのは先代からの踏襲。であれば、ついつい“ビッグマイナー”の安直さを思い浮かべがちだが、実際にはそれを基本にしつつも、よりグレードの高い高張力鋼板への変更や溶接部位の拡大、構造用接着剤の採用などで、結果としてボディ剛性を高めたというのが、2006年秋に4代目へと進化した「パジェロ」の自慢だ。

ボンネットはアルミ製で重量配分を改善、今回のテスト車の場合は空車時で前49:後51となる理想的な値を得た。一見、弟分の「パジェロ・イオ」にも似た直線基調のデザインを持つ新しいボディは「ロング」の場合、全長4900×全幅1875×全高1870mmと130mm長く、20mm幅が狭くなった。

ラインナップが、ホイールベース2780mmで5ドア/7人乗りの「ロング」と、同2545mm、3ドア/5人乗りの「ショート」で構成されるのは従来どおり。エンジンはいずれもV6ガソリンの3リッターと3.8リッターの2種類。このうち、可変バルブタイミング/リフト機構の「MIVEC」を新たに備えるようになった3.8の改善代が大きい。パワーが219ps/5500rpmから252ps/6000rpmに大幅アップしただけでなく、トルクが34.4kgm/3800rpmから34.5kgm/2750rpmへと、低回転域からモリモリと力強くなった。
ギアボックスは5MT、4AT、5ATの3種用意されるが、マニュアルは比較的下位のグレードでしか選べず、オートマチックの段数は排気量によって自動的に組み合わせが決まり、いうまでもなく最上位の「スーパーエクシード」には5ATが付く。

駆動システムはパジェロ得意の「スーパーセレクト4WD」がそっくり継承された。遊星ギアとビスカスカップリングで構成され、前後トルク配分33:67を基本としつつも最大50:50までの範囲で可変となるセンターデフを用いたフルタイム4WDを常態として、状況によりフリーホイールハブ併用で3%の燃費向上を主張する2H(もちろんリア駆動)や4HLc(センターデフ・ロック状態の4WD)、2HLc(同上かつトランスファーで1:1.9に減速)を使い分けることができる。
さらに、テスト車にはオプションでリアデフ・ロックも付いていた。

(グレード概要)
ロングのバリエーションは、上から「スーパーエクシード」「エクシード-X」「エクシード」「ZR-S」「ZR」の5種類。上位2グレードは、3.8リッターV6搭載車だ。
テスト車「スーパーエクシード」は、上級グレードだけに装備は充実。本革シート、アルミペダル、助手席パワーシート、7インチワイドディスプレイ、HDDナビゲーション、サイド&カーテンSRSエアバッグなどが標準装備される。車両安定性を高める「ATCS」(アクティブ・スタビリティ&トラクション・コントロール)が装備されるのは、スーパーエクシードとエクシード-Xのみ。

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★
ターゲットユーザーは40代後半〜50代の既婚男性(つまりは懐が暖かい?)だそうで、テスト車にはオールパワーの革シートやツインエアコンをはじめとする快適装備のほかにもSUVならではのアクセサリーが完備している。
日本車ではまだ少数派のシートヒーターやダッシュボードに組み込まれたデジタル表示の方位計、高度計、気圧計、ボードコンピューターなどがそれ。人気ブランドの“ロックフォード・アコースティックデザイン・プレミアムサウンドシステム”も誇らしげに装着され、文字どおりの豪華さだ。
ただし、12スピーカー/860Wを誇示する割にはイコライザーや音場設定などを駆使しても音の分離がいまひとつクリアでないオーディオやキャリブレーション(補正)が必要とみえる高度計(借り出した時はなんと都内で−150mを示していた)、表示が小さくて判別しづらい燃費グラフなどはせっかく付くには付いていてもありがみが薄かった。

(前席)……★★★
ドライバーにとってのスペースは充分で、これといった不満はない。電動シートの調整幅も広く、チルトがあるだけで、いくぶん遠目に感じられるステアリングを除けばポジションも思いどおりだ。パジェロに限らないが、象の耳のように大きなこの種のクルマのドアミラーはカバーする範囲が広く、できることならセダンにも欲しいと思わせる。
これに反して、助手席は意外な狭さ。座ってみるとグラブボックスが手前に迫り出しているぶん、膝周りが窮屈なのである。また、席の前後を問わず、乗り降りに関してはあまり誉められたものではない。ロードクリアランスが大きいから当たり前と思うかもしれないが、必ずしもそうではない。
SUVらしくステップが標準だが、その位置(高さ)と張り出し量が中途半端(辛うじて爪先か踵が載る程度)なため、せっかくあっても迷った挙げ句に使わないことが多く、結局、一気に脚を持ち上げることになるからだ。

(2列目シート)……★★★★
プラドなど、ライバルも同様だが、後輪駆動用のプロペラシャフトが「下の階」を通っているためフロアトンネルが不要で、しかも室内高がセダンの比でないこの種のクルマではほぼ例外なく後席(またはセカンドシート)が特等席だ。床は完全にフラットで障害物がなく、足元のスペースそのものも充分である。
ただし、クッションに設えられた窪みを以て定位置とすると幅はさほどでもなく、横のガラスが迫っている。その座面とバックレストはサードシートへのアクセスのためもあって、左40:右60の分割可倒式(タンブル式)だが、幸いそれによって生じる不都合は認められない。
革張りでセンターアームレストが付き、リア専用のエアコンも備わるここにはオプションで専用モニター付きのDVD再生装置が奢られていたため、前席とは無関係に赤外線式のワイヤレスヘッドフォンで映画を愉しむことも可能だった。

(3列目シート)★★
文字どおり「ロング」なキャビンを利用して、セカンドシートまでの5名のほかに+2シートが用意されている。通例と同じく、もともとスペースの点でも乗り心地の点でも(なにしろ、リアアクスルの後ろにオーバーハングしているのだから)、多くを期待するには無理があり、特にこの場合はクッションだけでなくバックレストもろともそっくり床下に収納できる巧妙な機構が仕組まれているせいか、平板なベンチシートのサイズそのものが極小。しかも、脚を抱え込んだ姿勢で座らなければならない。
背もたれは腰までしかなく、そのため、それをカバーすべく異様に縦長なヘッドレストを差したままだと後方視界の大半が奪われるほどだ。あくまで短時間の応急用と考えたほうがよさそうだ。

(荷室)……★★★
ということで、「平時」はむしろ積極的にサードシートを畳んでおくことをお勧めする。でないと、全長5m近くにして小型のスーツケース1個も収まらないようなラゲッジスペースは不名誉というしかないからだ。その際、「カラクリ」そのものは卓抜なアイデアというべきだが、それを実現するためにバックレストを倒す過程でちょっとしたコツと力が必要なのも事実。
そうして得られた本来の(?)荷室は突起がなく、容量も充分。強いていえば目隠しのためのカバーかシェルフが欲しいところだが、床の高さに起因するアクセスの悪さと並んで、構造的制約からはやむを得ないところだろう。

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【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★
さすがは大排気量ガソリンユニット、この巨体をセダン感覚で走らせるだけのスムーズさと瞬発力を備えている。重い車重に対してもトルクは充分で、発進や低速からの加速でもパートスロットルで事足りる。静粛性もほぼ乗用車並みといえ、メーター読みの100km/hがD(5速)で2200rpmに相当するハイギアードな高速巡航ではこの種のボディとしては小さめの風切り音にも助けられ、リラックスした時間を過ごせた。
ただし、隔壁のない2列目ではそれゆえにロードノイズがやや耳に付いた。平均で5.4km/リッターに終わった燃費は決して誉められたものではないが、このクラスのSUVとなればそんなところ。むしろこの際、新しいディーゼル、たとえば直噴コモンレール・ターボあたりの登場を待ちたい。
中・低回転域の豊富なトルクこそ、それが最も得意とするところだからである。ATのセレクターにはシーケンシャルモードが設けられ、特にエンジンブレーキの活用に重宝する。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
新型で一番の改善がシャシー/ボディの大幅な剛性アップを前提に、バネレートを乗用車並みに落とした乗り心地である。ひとことで言えば、当たりが柔らかでしかも余計な動きがチェックされており、時折路面の不整を拾って音だけがカンカンと一種金属的な響きを伝えるところなど、初代レンジローバーを彷彿させるといったら誉めすぎか。ドライバーにとってはロールも過大に感じない。ホイールベースの長さも手伝って直進性も良好。高速道路でも終始安心していられた。
ただし、ロック・トゥ・ロック3.6回転のステアリングはパーキングスピードであまりにもスローだ。一旦走り始めてしまえば問題なく、コーナリングも通常のペースならさしてアンダーステアを感じないで済むのだが、駐車の際や狭い路地を曲がる時などは手の動きが追い付かないで寄り切れないほど。この種のクルマだからこそ、ラック・アンド・ピニオンの正確さは残したままアクティブステアリングなどの最新デバイスが付けられないものかと思う。

不整地での性能は本格的に試したわけではないものの、河原でちょっと遊んだ限りでは駆動力、踏破性の点でもなかなかのポテンシャルを感じさせた。

(写真=峰 昌宏)

【テストデータ】

報告者:道田宣和(別冊CG編集室)
テスト日:2006年11月1〜6日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2006年型
テスト車の走行距離:5544km
タイヤ:(前)265/60R18 110H(後)同じ(Dunlop AT20 Grandtreck)
オプション装備:DVD内蔵後席9インチワイド液晶ディスプレイ(13万8500円)/リアデフロック(6万3000円)
形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(4):高速道路(5):山岳路(1)
テスト距離:465.7km
使用燃料:86.58リッター
参考燃費:5.4km/リッター

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