フィアット復活物語 第17章「フェラーリがトヨタ化!マラネッロにKAIZENの文字」(大矢アキオ)

2006.12.16 エッセイ

第17章:「フェラーリがトヨタ化!マラネッロにKAIZENの文字」

F430の艤装。8気筒系と12気筒系は一応ラインを分けているが、実際にはもう少しフレキシブルに流しているようだ。

■強まるフィアットのフェラーリ支配

本連載ではフィアットのめざましい復活をレポートしているが、ご存知のとおりフェラーリは1969年以来フィアットの傘下にある。

フィアットの業績回復は、フェラーリにも影響を及ぼした。今年夏フィアットは、取引銀行の手に渡っていたフェラーリ株を買い戻し、同社の持ち株比率を56%から一気に85%にまで引き上げたのだ。

なお、エンツォの子息で副会長を務めるピエロ・フェラーリは、現在もフェラーリ株の10%を所有している。

また、フィアットは近いうちフェラーリの上場も考えている。販売が今イチのマセラーティをフェラーリから切り離し、本体のフィアット傘下に組み入れたのも、上場を前にした対策といわれている。

往年のグランプリカーのイラストを飾ったり、ライトをレッドにするなど、さりげないイメージづくりがニクい。
往年のグランプリカーのイラストを飾ったり、ライトをレッドにするなど、さりげないイメージづくりがニクい。
こちらはKAIZEN表やグラフが貼られた、マジメな一角。
こちらはKAIZEN表やグラフが貼られた、マジメな一角。
ダッシュボードの革張り担当チームでは、女性スタッフたちが活躍している。
ダッシュボードの革張り担当チームでは、女性スタッフたちが活躍している。

■マラネッロでもKAIZENしてます

フェラーリのマラネッロ本社工場を訪れる機会があった。案内役のマリア嬢によれば、他の自動車メーカーと違い「見学できるのは、各国の正規インポーター経由で申し込んだオーナー、もしくはスクデリア・フェラーリのスポンサー様関係のみです」という。

この敷居の高さに、人々はフェラーリに駆り立てられてしまうのだろう。少々マゾヒスティックな感じさえする。

ただし、今回は日頃ジャーナリストでもご法度の写真撮影が特別にOKという。見せてもらわない手はない。

生産ラインは1日3交替制である。ボクは片隅に「KAIZEN」の文字と会議用のテーブルそしてボードを見つけたので、さっそくマリアさんに聞いてみると、「フェラーリでも導入している」のだという。

今年ボローニャのドゥカティ工場を見学したときも、「トヨタ式KAIZENシステムをドイツのポルシェ経由で導入済み」と自慢していた。
KAIZENは、フェラーリ&ドゥカティという、イタリア濃度100%の二大巨頭の間でもムーブメントとなっているのである。

さらにフェラーリの場合、良い提案をしたスタッフには携帯電話など、賞品も贈っているという。
改善王?の家の奥さんは、「お父さん、もうケータイ要らないわヨ」なんていう嬉しい悲鳴を上げているのだろうか。

■フェラーリのトリビア

ところで、フェラーリといえば、マラネッロというイメージがあるが、登記上の本社は、現在の本社工場があるマラネッロではない。

1929年にスクデリア・フェラーリが結成された約束の地・モデナ市である。

実はマラネッロもモデナ県の一部なのだが、モデナ市とは20km近く離れている。
もし自動車エンスー界の「トリビア」があったら、それなりの「へえー」を稼げるだろう。

(文と写真=大矢アキオ-Akio Lorenzo OYA/2006年12月)

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大矢 アキオ

大矢 アキオ

イタリアコラムニスト。1966年東京生まれ。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒。 二玄社『SUPER CG』編集部員を経て、1996年独立と同時にイタリア在住。 著書に「イタリア式クルマ生活術」光人社刊 ほか著書多数。