【FN 2006】第9戦鈴鹿、雨を味方に、ノンストップ作戦のロッテラー優勝

2006.11.20 自動車ニュース

【FN 2006】第9戦鈴鹿、雨を味方に、ノンストップ作戦のロッテラー優勝

レース中盤に入り、次第に強まる雨脚。それに比例するかのように2位との差を築き上げたアンドレ・ロッテラー。予選4番手から冷静かつ攻めの走りを続けたドライバーは、終盤になると完全にレースをコントロールし、今シーズン2度目の雄叫びを上げることに成功した。

2006年11月19日、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン最終戦の決勝レースが、三重県・鈴鹿サーキットで行われた。
朝から降りだした雨が次第に強くなり、終始レインコンディションの中で51周を戦い抜いたマシンは22台中14台。1位ロッテラーに続いたのは、予選PPの松田次生。3位には2戦連続で片岡龍也が入った。

■松田、“ストップ・ザ・小暮”を果たす

前日の好天からうって変わり、予選日は曇天模様の一日となった。午前の予選1回目は、コースコンディションの状況を様子見しながらコースインするマシンが多く、大半がセッション中盤前後から走行を開始する光景が見られた。

まずは小暮卓史がトップタイムをマーク、今や指定席になりつつあるポールポジションの座についた。セッション終了まで残り5分を切ると、ライバルたちがさらにタイムアップするが、小暮のタイムには届かない。それどころか小暮は再度のアタックで自らタイムを削り取り、1分42秒466をマーク。2番手本山哲に0.384秒もの差をつけて暫定トップに立った。

このまま小暮がトップに君臨すれば5連続PPの偉業となる。だが、すでにチャンピオンが決定したシリーズにおいて、ラストチャンスを狙うライバル達がまず欲しいのは、やはりPPの座だ。午後からの予選2回目は、そんな闘志がかたちとなって表れるセッションとなった。

気温は午前からほとんど変化がなかったが、路面温度は午前よりも3〜5度下がった状態。「フィーリング的にはいつもと変わらない、とドライバーは言ってましたが、タイヤのなかまで熱を入れるには、ゆっくりと周回したほうが良かったようです」とマシンの足もとを支えるブリヂストンタイヤのテクニカルアドバイザーが言うように、アタックのタイミングはもちろんのこと、タイヤマネージメントがポジション争いに少なからずも影響を与えることとなった。

そして、すべての条件を味方にしたのが、松田次生だった。
セッション終了15分前に小暮の暫定トップタイムを僅差で上回り、さらに最後のアタックで再度タイムを削り取って1分42秒133をマーク。文句なしのタイムでPPの座を奪取し、今季2度目の優勝に向けて幸先よいスタートを切ることに成功した。

なお、2番手のタイムをマークしたのは本山だったが、エンジン置換による10グリッド降格により、2番手は小暮に。最後のニュータイヤでのアタックが時間足らずで不発に終わったため、連続PPを逃したものの、今季初優勝を狙う立場としては好位置を確保したといえる。3番手には今季王者のブノワ・トレルイエ。これで今季最後の戦いに向け、最高の舞台が整うこととなった。

■スタートで出遅れた松田

朝のフリー走行を前に降りだした雨。その後、雨はスローペースながら徐々に雨脚を強めていき、完全なレインコンディションのもと、スタートとなった。
ダミーグリッド上で最後まで作業を続けていた松田。気合いが入りすぎたか、スタートで出遅れ、かわって3番手スタートのトレルイエが頭ひとつリード。これに小暮、松田と続いた。

トップ2台に対し、ペースが上がらない松田。しかし前を行く小暮が雨に足元をすくわれ、オーバーラン。松田がラッキーにも2位へと浮上する。

しばし動きの止まったポジション争いだったが、後方では単独スピンやコースアウトが続き、波乱の展開。それに比べ、雨を得意とするトップ・トレルイエは、後続に大差をつけて周回を重ねており、新チャンピオンらしい貫禄ある走りを見せていた。

だが、好事魔多し。降り続く雨がトップにも罠をしかけたかのように、トレルイエのマシンが完全にコントロールを失い、コースアウト。なすすべもなくタイヤバリアへとマシンをヒットさせ、戦列を離れた。

■勝敗をわけたピットイン

中盤すぐにトレルイエが去り、かわって松田がトップを奪還。だがその松田にもピットインが待っていた。タイヤ交換は不要ながら給油を済ませ、コースへ復帰。その直後には2番手の小暮もピットインした。これを見てロッテラーのピットが活気づく。実は、ノーピット作戦を取っていたロッテラー。自動的にトップへと浮上し、残り9周を走り抜けば、優勝が転がり込むこととなった。

ピット作業後に2位へ浮上していた松田も、地元・鈴鹿での初勝利を悲願する立場ゆえ、最後の最後まで攻めの体勢を緩めない。ラップごとにトップとの差を縮めたが、一方のロッテラーは落ち着いたレースマネージメントで磐石の走りを披露。そのままチェッカードフラッグを受け、今シーズン2度目となる美酒に酔った。

■ベテラン、好選手が雨の餌食に

雨を得意とするトレルイエでさえ翻弄された今回のレース。この他にも、本山がリタイヤした。予選タイムは2番手ながらエンジン交換のグリッド降格により、12番手スタート。序盤の走りもピリッとせず、いつものキレがない上、折り返しを前にまさかのコースアウト。濡れた砂場にマシンがスタックし、コースに戻るチャンスは訪れなかった。

また、レースはフィニッシュできたものの、小暮も自身のスピンによって初勝利が夢のままに終わり、今季は最後まで強さを数字で残すことができなかった。

■来シーズンは岡山での開催が決定

新チャンピオンが誕生した今年のフォーミュラ・ニッポン。来シーズンは、今季未勝利に終わった本山の巻き返しはもちろん、不確定要素が多いレースで強さを発揮する外国人ドライバーの活躍にもより一層注目が集まる。

また、新たに岡山での戦いが加わったことで、例年とは異なる展望への期待も膨らむところ。2007年のフォーミュラ・ニッポンは、4月1日、富士スピードウェイで開幕レースを迎える予定だ。

(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)

【FN 2006】第9戦鈴鹿、雨を味方に、ノンストップ作戦のロッテラー優勝の画像

小暮卓史の5戦連続ポールポジションを阻止したのは、松田次生。

小暮卓史の5戦連続ポールポジションを阻止したのは、松田次生。

ノンストップ作戦で今季2勝目をあげたアンドレ・ロッテラー。

ノンストップ作戦で今季2勝目をあげたアンドレ・ロッテラー。

松田は、スタートで出遅れたものの、トレルイエがスピンした後はトップを快走した。しかし、ノーピットインのロッテラーに首位を奪われ、最終的には2位でゴールした。

松田は、スタートで出遅れたものの、トレルイエがスピンした後はトップを快走した。しかし、ノーピットインのロッテラーに首位を奪われ、最終的には2位でゴールした。

10番手スタートから、ロッテラー同様ノービット作戦で3位表彰台を獲得した片岡龍也。

10番手スタートから、ロッテラー同様ノービット作戦で3位表彰台を獲得した片岡龍也。

舘信秀監督とともに勝利を喜ぶロッテラー(中央)。

舘信秀監督とともに勝利を喜ぶロッテラー(中央)。

決勝日のピットウォーク時には、スーパーアグリのF1マシン「SA06」を山本左近がドライブ。フルコースを4周して観客に日本GP以来のF1サウンドを聞かせた。

決勝日のピットウォーク時には、スーパーアグリのF1マシン「SA06」を山本左近がドライブ。フルコースを4周して観客に日本GP以来のF1サウンドを聞かせた。

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