【スペック】全長×全幅×全高=4810×1910×1780mm/ホイールベース=2855mm/車重=2150kg(7人乗り)/駆動方式=4WD/3.2リッター直6DOHC24バルブ(238ps/6200rpm、32.6kgm/3200rpm)/価格=685.0万円(テスト車=同じ)

ボルボXC90 3.2(4WD/6AT)【短評(前編)】

ボルボに 乗りに 函館に(前編) 2006.11.17 試乗記 ボルボXC90 3.2(4WD/6AT)……685.0万円ボルボXC90が小変更。とはいえ、ボルボとしては久々の新型エンジンを載せて登場したのだ。果たしてクルマの出来はどうなんだ?その魅力は一体ドコに?

新開発のエンジンは直6!

ボルボの大型SUV「XC90」がマイナーチェンジを果たした。その最大のトピックはパワートレインの変更である。従来の2.5リッター直5ターボ、2.9リッター直6ツインターボから、新開発の3.2リッター直6(!)、4.4リッターV8へと変わったのだ。今回の試乗車は、その3.2リッターモデルで、新型直6エンジンをフロントに横置き搭載している。

ここ10年ほどかけて、各メーカーこぞって直列6気筒からV型6気筒への流れを構築してきたが、それはすべてのエンジンが縦置き搭載を前提としていたから。はなからこれをクラッシャブルゾーンを取るために横置きとし、充分なパワーを求めたボルボの考え方は、エポックメイキングというか、今さらどのメーカーも追従できない「コロンブスの卵」のように思えた。ちなみにこの新型直列6気筒は、前タイプの直列5気筒ターボと比べて全長で3ミリの拡大にとどまっているのだという。

 ただし、XC90 3.2の魅力はその新型エンジンのスペックだけではない。流行りのジャーマンSUVたちがパワーウォーズを繰り広げる中、そこに加わらないスタンスこそが最大の特徴である。

穏やかな朝に似合うクルマ

冬になりきる前の朝。快晴に恵まれて繰り出した函館の町は道幅も広く、北海道の玄関口として洗練された雰囲気が感じられる。交通量は、平日の慌ただしさもそこそこに、観光客や個人商店のバンが行き来をする程度。東京とは違って、高いビルが少ない。気温はまだ10度ほどあり、肌寒さよりも少しだけ日差しが勝っている。

こういったすがすがしい朝に、XC90はとても似合っていた。見晴らしのよい着座位置と、明るいベージュの室内。荷物を無造作に放り込める広いリアスペース。それらの特徴すべてを包み込んだかのような、柔和なルックス。寝起きで覚め切らないアタマをまず熱めのコーヒーで起こし、疲れの残ったカラダをふんわりした座り心地のプレミアムソフトレザーシート(オプション)に埋めてみれば、ちょっとだけ自分に贅沢な朝から一日がスタートできる……。もしXC90を手に入れたら、そんな生活が自分を待っているような気がした。



ボルボXC90 3.2(4WD/6AT)【短評(前編)】

必要にして充分

CM撮影スポットとしても有名な、チャーミー坂(正しくは、八幡坂)を登る。傾斜がそこそこきつくて、抜けの良い風景には確かに見覚えがある。思わず「手をつなぎたくなる♪」が相手もいないので、坂の頂上でスタッフを降ろし、撮影用にクルマをゆっくりと走らせた。
ここでまず感心したのは、アクセルを踏んでも急激には立ち上がらないトルク特性だ。

新型エンジンのスペックは、最高出力が238ps/6200rpm、最大トルクは32.6kgm/3200rpm。直列6気筒ゆえに滑らかに回転が上昇してゆくが、それに合わせてパワーがリニアについてくる。だから、2150kg(7人乗り)にもなる巨体でも、坂道をスムーズに走るのだ。

タウンスピードでの6段ギアトロニックATの変速は断続感もなく、後に高速走行をしてもその好印象は変わらなかった。シフトポジションは上から「P」「R」「N」「D」と並んでおり、Dレンジから左へ入れるとティップモード。シフトレバー自体が小ぶりで、インジケーターが段数を誇示しないシンプルさも素敵だ。

一番気になるであろう4.4リッターV8ユニット(315ps/44.9kgm)に対する落差は、直接比較しない限りは問題ではない。必要にして充分なパワーにこれで満足、と感ずる人は少なくないはずだ。 (後編につづく)

(文=山田弘樹/写真=高橋信宏/2006年11月)

・ボルボXC90 3.2(4WD/6AT)(後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018827.html

関連記事
  • ボルボXC90 T6 AWD インスクリプション(4WD/8AT)【試乗記】 2016.6.24 試乗記 2016年1月の国内導入以来、販売好調が伝えられる新型「ボルボXC90」。なかでも一番人気という「T6 AWD インスクリプション」に試乗し、ボルボの新たなフラッグシップSUVの魅力を探った。
  • プジョー308SW GT BlueHDi(FF/6AT)【試乗記】 2017.4.25 試乗記 ディーゼルの本場フランスのプジョーが日本に導入したクリーンディーゼルモデル「308SW GT BlueHDi」で、東京から名古屋までのロングツーリングを実施。往復735kmの道のりで見えてきた、このクルマの魅力と欠点とは?
  • ボルボV90 T6 AWD R-Design(4WD/8AT)【試乗記】 2017.4.20 試乗記 “スポーツドライビングを愛するあなたのための”とカタログでアピールされる、「ボルボV90」のスポーティーグレード「T6 AWD R-Design」に試乗。引き締められた専用サスペンションシステムがもたらす、その運動性能やいかに? デザインや使い勝手も含めてつぶさにチェックした。
  • ボルボXC90 T6 AWD R-DESIGN(4WD/8AT)【試乗記】 2016.5.6 試乗記 フルモデルチェンジを受けて2代目となった「ボルボXC90」に試乗。スポーティーな装いが特徴の「T6 AWD R-DESIGN」を借り出し、走りやデザイン、機能性など、さまざまな角度からボルボ次世代製品群の第1弾となるモデルの出来栄えを確かめた。
  • 「ベントレー・ベンテイガ」にカジュアルな新グレードが登場 2017.5.1 自動車ニュース ベントレー モーターズ ジャパンは2017年5月1日、装備内容を見直してよりカジュアルに仕立てた「ベンテイガ」の新グレード「ベンテイガ オニキス エディション」を発表した。車両価格は2399万円。
  • レクサスLC500“Lパッケージ”/LC500h“Lパッケージ”【試乗記】 2017.5.4 試乗記 “製品化を前提としない”はずだったコンセプトカーの発表から5年。ほとんどそのままの姿で登場し、世間を驚かせた「レクサスLC」がいよいよ日本の公道を走る。新開発のFRプラットフォームや10段AT、マルチステージハイブリッドなどの技術を満載した、新世代のラグジュアリークーペの出来栄えは?
  • ボルボXC90 T6 AWD インスクリプション(4WD/8AT)【試乗記】 2016.2.29 試乗記 フルモデルチェンジで2代目となった、ボルボのフラッグシップSUV「XC90」に試乗。新プラットフォームが採用された“新世代ボルボ”の走り、乗り心地、そして使い勝手を報告する。
  • ポルシェ・カイエンGTS(4WD/8AT)【試乗記】 2017.5.16 試乗記 発表から7年、その後のマイナーチェンジからもはや2年半が経過した2代目「ポルシェ・カイエン」。もはや円熟の域に達した感のある同車は今、われわれにどんな走りを見せてくれるのだろうか。スポーティーな「GTS」グレードのステアリングを握った。
  • 新型「ランドローバー・ディスカバリー」の受注がスタート
    2017.5.8 自動車ニュース ジャガー・ランドローバー・ジャパンは2017年5月8日、新型「ランドローバー・ディスカバリー」の受注を開始した。第5世代にあたる新型ディスカバリーは、2016年9月のパリモーターショーで世界初公開されていた。
  • フォルクスワーゲンが「up!」をマイナーチェンジ 2017.4.27 自動車ニュース フォルクスワーゲンがコンパクトカー「up!」をマイナーチェンジ。注目は新設定の純正インフォテインメントシステム「Composition Phone」で、スマートフォンとの連携により、ルート案内や音楽再生などの機能を簡単に使うことができるという。
ホームへ戻る