【Movie】無人の「ゴルフ」が全開走行!? 〜「VWヴィークル・ダイナミクス・ワークショップ」体験記

2006.10.17 自動車ニュース

【Movie】無人の「ゴルフ」が全開走行!? 〜「VWヴィークル・ダイナミクス・ワークショップ」体験記

フォルクスワーゲンの最先端技術体験会が開かれ、自動操縦で走る「ゴルフGTI53+1」のデモンストレーションが行われた。“ドライバーいらず”を現実のものとする最新技術がもたらすものとは?

■自分で考えて走るクルマ、あらわる

「自動操縦のゴルフGTIが用意されているらしいんです」
そんな興味深いお誘いをフォルクスワーゲン広報部からいただき、先日独フォルクスワーゲン本社近郊のテストコースにて開催された、シャシー関連の最先端技術を披露する場、その名も“ヴィークル・ダイナミクス・ワークショップ”なるイベントに参加してきた。

自動操縦のゴルフGTI、正式には「ゴルフGTI53+1」は、このイベントの目玉。何と待っていたのは、パイロンを並べて作ったコースでの、我々参加者とのタイムアタック真剣勝負であった。

このゴルフGTI53+1、ベースはいうまでもなく最新のゴルフGTIである。自動操縦を可能にするため追加されたのは、アクティブブレーキブースター、電子コンパス、バッテリー、電源ユニットに、それらすべてを司るコントロールユニットなど。もともと現行ゴルフの操作系は、ステアリングにしろスロットルにしろ、そしてDSGにしろすべて電気じかけで、CANバスと呼ばれる高速通信ネットワークで結ばれているから、それだけで十分なのだ。

自動操縦とはいっても、さすがに知らないコースにいきなり出ていって最速ラップを刻んで帰ってくる……とまではいかない。
まずはゴルフGTI53+1、コース学習のためにゆっくり1ラップする。車体前部のレーザースキャナーと、ルーフに設けられたセンチメートル単位で車両位置を把握できるD-GPSユニットで、パイロンの位置を読み取りコースを記憶。それをもとに、まさに無人のままクルマだけでコースに出る。

今回はパイロンを並べて作ったコースをそのまま走ったのだが、鈴鹿やホッケンハイムのようなサーキットコースでも、一回同じようにしてコースに習熟すれば、あとはパイロンをどけても、やはり無人で全開アタックが可能という。

■疲れず、ミスらず、操作を繰り返す

実際のアタックを僕は後席から観察したのだが、その走りっぷりは本当に凄まじかった。

発進はいきなり全開! 軽いホイールスピンをともないながら猛然と加速していくのだ。
そしてコーナーが近づくと、ABSがギリギリ顔を出すくらいの急ブレーキ。そして次の瞬間にはステアリングが勝手にグルッと回って、スキール音をあげながらコーナリングしていくのだ。

結果、タイムは58秒0を記録。続いて僕もアタックしたのだが、結果からいえば、タイムは57秒4で、かろうじて人間の尊厳を守ることができたのだった。
しかし、それはコーナーの先の先まで見越して直線的に抜けるラインを見つけ出すという人間の“ずる賢さ”のおかげで、そうした知能まで身に付けたなら、アッサリ逆転されてしまうはずだ。

何しろゴルフGTI53+1には恐怖心なんてない。ギリギリの場面で右足が戻ってしまったり……なんてことはないのだから。
あるいは耐久レースだったら、現時点でも負けてしまうかもしれない。人間は長時間走れば必ず疲れ、ミスを起こす。しかしゴルフGTI53+1は、絶対へこたれない。ガソリンがなくなるまで、ひたすら同じ操作を繰り返すはずだ。

そう、実はそれこそがゴルフGTI53+1の真の目的。僕らとタイムを競って遊ぶために、彼(彼女?)は生まれてきたわけではない。
ゴルフGTI53+1なら、人間には不可能な何百回も同じ操作を繰り返すということを、容易にこなすことができる。仮に体力があっても、人間はその時のタイヤや路面の状況に走りを自然に合わせてしまうものだが、ゴルフGTI53+1は、完璧に同じ操作を繰り返してくれる。ヘヴィウェットの路面など、危険で過酷な状況下でのテストにも役立つことは請け合いだ。

■安全とファン・トゥ・ドライブを両立させる技術

実は、さすがにこのゴルフGTI53+1そのものではないが、そこに使われている自動運転技術の大半は、すでに個別に開発テストに使われている。

なるほど、ESP(エレクトロニックスタビリゼーションプログラム )にしても、DSR(ドライバーステアリングリコメンデーション)付きの電動パワーステアリングにしても、最近のフォルクスワーゲンのシャシー制御技術は、確かに効きが絶妙。ドライバーの走りの歓びを阻害することなく、確実に安全方向に導く完成度の高さを見せているが、その開発の裏側には、きっとこの最新テクノロジーが大きく貢献しているに違いない。

ちなみにゴルフGTI53+1の車名の由来は、自らの意思を持って走る最初のフォルクスワーゲンである、あの映画『ハービー』の主役、クラシックビートルのハービーがつけていたゼッケン53番に「+1」を付け足したものだという。

そこに込められているのは、自動運転といっても、それは人間からクルマを走らせる歓びを奪うものではなく、むしろ人間のために役立って、大いに楽しませてくれるものだということなのである。


(文=島下泰久/写真=フォルクスワーゲングループジャパン/2006年10月)

【Movie】無人の「ゴルフ」が全開走行!? 〜「VWヴィークル・ダイナミクス・ワークショップ」体験記の画像

トランクルームに収まる、「ゴルフGTI」を自動操縦化する装備の数々。

トランクルームに収まる、「ゴルフGTI」を自動操縦化する装備の数々。

グリル部には、車体前方130度の障害物を感知する、「レーザースキャナー」が備わる。

グリル部には、車体前方130度の障害物を感知する、「レーザースキャナー」が備わる。


【Movie】ステアリングが勝手に回って…… 
自らコースを読み取り、全力で周回を重ねる“ロボットカー”「ゴルフGTI53+1」。その鬼気迫る走りを、動画でごらんください。


【Movie】ステアリングが勝手に回って…… 自らコースを読み取り、全力で周回を重ねる“ロボットカー”「ゴルフGTI53+1」。その鬼気迫る走りを、動画でごらんください。



【Movie】無人の「ゴルフ」が全開走行!? 〜「VWヴィークル・ダイナミクス・ワークショップ」体験記の画像



【Movie】無人の「ゴルフ」が全開走行!? 〜「VWヴィークル・ダイナミクス・ワークショップ」体験記の画像

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

ゴルフの他の画像を見るためには、写真一覧をご覧ください。

関連記事 ホームへ戻る