【カーナビ/オーディオ】「パイオニア・カーサウンドコンテスト」にカーAVの進化を見た

2006.10.02 自動車ニュース

【カーナビ/オーディオ】「パイオニア・カーサウンドコンテスト」にカーAVの進化を見た

カーAVのワザを競い合うコンテスト「パイオニア・カーサウンドコンテスト」が、静岡県掛川市で開かれた。

■日本最高水準のコンテスト

カーAVの世界ではいくつものメーカーや輸入代理店主導によるサウンドコンテストが行なわれている。そのほとんどが一般公開されていないのは残念だが、参加車両に装着されたカーAVの音や装着技術を競うことでショップの腕を高めるというのが最大の目的となっている。

「パイオニア・カーサウンドコンテスト」も、そんな目的で10年前から続けられてきた。パイオニアという大手メーカーが自ら主催するイベントということもあるだろうが、業界の内外から大いに注目を浴びている最大の理由はやはり、レベルの高さにある。

このコンテストは、システムの形態によって3つのカテゴリーに分けて順位を競うが、基本的には無差別級のようなもの。規定の製品さえ使っていれば、それ以外はどんな製品を使おうとどんな取り付け方をしようと(もちろんクルマとしての機能を妨げるものは論外だが)、極端にいえば予算がいくらかかろうとまったく自由なのだ。その意味では、カーAV界のF1といってもいいかもしれない。

今年もサウンドのクオリティを競い合うクルマたちが148台、静岡県掛川市のヤマハリゾート「つま恋」に集結した。レベルの高い競争を勝ち抜き、入賞したクルマたちを、ご紹介しよう。

■ピュアデジタルシステムクラス

パイオニアの最上級カーオーディオ製品、カロッツェリアXのなかでも、ヘッドユニットからパワーアンプまでをデジタル接続してシステムを構築するのが通称「ピュアデジ」。スピーカーのメーカーや使用個数は自由だが、それ以外の基本部分はカロッツェリアXの同じ製品となるため、個性が発揮しづらく、インストーラーの技術力と取り付けに関するセンスが大いに問われる。
上位入賞者は、どれも素晴らしいサウンドクオリティーを有し、そのうえでいかに音楽を印象的に聴かせるか、という高度な戦いが繰り広げられていた。

<ピュアデジタルシステムクラス優勝>
カーオーディオプロショップ・エモーション
プジョー307
九州・福岡の「エモーション」は、カロッツェリアの最上級スピーカーRSシリーズのトゥイーター、ミッドレンジ、ウーファーという3ウェイ+サブウーファーを、3台のカロッツェリアXパワーアンプでドライブするという超弩級システムを持ちこみ、見事栄冠を獲得した。
スピーカーの取り付け位置と角度には相当にこだわったあとが見え、トゥイーターとミッドはAピラーに並べられ、ウーファーはドアに絶妙な角度で取り付けられていた。大型のパワーアンプ3台とサブウーファーはラゲッジルームに配置、スペース面での犠牲を最小限に抑えていたところも好印象。

<ピュアデジタルシステムクラス2位>
アンティフォン
ポルシェ・カイエン
このイベントの常連、石川県から参加の「アンティフォン」は、フォーカルのベリリウム振動板を採用したトゥイーターとディナウディオのロングセラー16cmウーファー、そしてカロッツェリアXのRSサブウーファーという、異色の組み合わせをカイエンに装着してきた。
個性的なスピーカー群を絶妙なコントロールで活かしきることで、個性の表現しにくいこのカテゴリーであっても一辺倒な音にならない新たな方法論を示してくれた。これもひとえにインストーラーの高い技術レベルあってのことだろう。

■デジタル/アナログシステムクラス

ヘッドユニット(+プロセッサー)がパイオニア製であれば、あとは何を使ってもいいという「何でもあり」のクラス。自由度が高いぶん、インストーラーの豊富な知識と経験、そして音に対するセンスが問われることとなる。
今年は全3クラスのなかでもっとも台数の多い73台がエントリー。システムもシンプルな2ウェイから3ウェイ+サブウーファーのフル搭載まで様々なタイプが姿を見せた。
上位入賞者のヘッドユニットはどれも、今年発売されたばかりのカロッツェリアX、RS-D7xIIIとRS-P90Xという組み合わせだった。

<ピュアデジタルシステムクラス優勝>
ガレージショウエイ
トヨタ・アリスト
四国から参加の「ガレージショウエイ」も常連組。今年はドイツのスピーカーメーカー、ティール&パートナー社のトゥイーター+スコーカーと、スキャンスピーク製ウーファーというホームオーディオ用ユニットを活用した3ウェイに、ベロダイン製のサブウーファーを加えるという個性的なスピーカーアレンジをオーディソンの超高級パワーアンプHV venti3台でドライブするという、贅沢な仕様で参加、勝利を手中にした。
スピーカーの配置もユニークで、スコーカーはダッシュボード下につり下げるかたちを採っている。これによりドアに取り付けられたウーファーに近いレイアウトとなり、まとまりのよい音に仕上がっていた。

<ピュアデジタルシステムクラス2位>
BASIS
三菱 アウトランダー
名古屋の老舗「ベイシス」は、カロッツェリアXのヘッドユニットにラックスマンのパワーアンプ3台を組み合わせ、ソニックデザインの3ウェイスピーカーをドライブするという組み合わせを選択してきた。
ヘッドユニットもスピーカーも今年登場した新製品。その実力は気になるところであったが、明らかに既存のものよりも大きな進化がうかがえた。クオリティーの向上ももちろんだが、音楽の躍動感がさらに高まった印象だった。

■カーシアタークラス

センタースピーカーの位置やサラウンド感の演出など、狭い車室内空間では難問が山積するのがカーシアター。そういった面ではもっともハードルの高いクラスといってもいいだろう。エントリーしているクルマはスペースに余裕のあるミニバンやSUVが多いが、なかにはセダンであっても素晴らしいサラウンド感を演出していたものもあった。これこそインストーラーの実力がシビアに問われるカテゴリーといえよう。
ヘッドユニットは、ほぼすべてのクルマが今年発売されたインダッシュモニター付きDVDヘッド、カロッツェリアAVH-P90DVAを装着していた。

<カーシアタークラス優勝>
クァンタム
トヨタ・アルファード
昨年同クラス2位に甘んじた茨城県のクァンタムは、今年はアルファードで挑戦、見事優勝に輝いた。フロント/リアスピーカー、センタースピーカーはディナウディオで統一。しかもすべてを2ウェイにするという、こだわったシステム構成。それでいながら室内は、スピーカーがやたらと並んでいる印象はなく、ごく自然な雰囲気を持つ。パワーアンプはラックスマンの4チャンネルアンプを2台搭載。サブウーファーはベロダインを使用していた。

<カーシアタークラス2位>
ラック岐阜モデリスタレインボーモール
トヨタ・エスティマ
挑戦3年目の「ラック岐阜」は、オール・カロッツェリアXでシアターシステムを構築して参加。フロントはRSシリーズのマルチ3ウェイ、リアはパッシブネットワークを使った2ウェイ、センターはミッドレンジを3つ使用するという具合に、スピーカーの役割によって構成を上手に使い分けていた。
ダッシュボードからフロントドアにかけて、合計9個のスピーカーが鎮座する「シアターカー」然とした迫力あるレイアウトだが、その甲斐あって音の囲まれ感は極上だった。

■総論:鳥肌が立つほどの感動をあなたもぜひ

会場で何台かのクルマを聴いているうちに気が付いたことがあった。それが気になって、次々とクルマに乗り込み試聴をしていくうちに、それは確信となった。

どのクルマ、どのショップも、明らかに昨年よりクオリティレベルが上がっている。大きく音が進化しているのだ。昨年もサウンドクオリティの向上には驚いたが、今年はそれ以上。これまででいえば数年に値するくらいの、技術的な向上がこの1年でなされていたのだ。しかもこれは、上位入賞車よりも入賞しなかったクルマで強く感じたのだった。

このコンテストに僕が初めてお邪魔したのは6年前。第4回のことだったと思う。そのとき会場にいたクルマたちは、その多くが素晴らしい音を聴かせてくれたが、一方でなんでこんな、まとまりも面白みもない音のクルマがいるんだ、と不思議に思ったものだ。しかし今年は、聴いたかぎりそのようなクルマは皆無。そればかりか、当時の上位入賞車を遙かに凌ぐクルマが、何十台と揃っていたのだ。

これはどういうことだろう。もちろんパイオニアをはじめとするカーAV製品のクオリティ向上が大いに貢献しているのは確かだ。しかし一番大きな影響は、この「パイオニア・サウンドコンテスト」が毎年続いていたことだと僕は考える。10年という長い歳月をかけ、自社製品のPRばかりでなく、まだまだ発展途上にあったカーAV業界全体を考えて技術レベルの向上に腐心し続けたきたパイオニアの高い志がそこにはある。その結実が、今年の出展車たちの急激なまでに高まったクオリティレベルなのだろう。

ひと昔前まで、カーAVは一部のホームオーディオファンから「しょせんクルマのオーディオでしょ?」と揶揄される存在だった。しかし今日のカーAVは、「クルマという動く乗り物のなかで音楽や映像を存分に楽しむ」という、ひとつの世界を確立しつつある。パイオニア・サウンドコンテストの会場で、その素晴らしい世界を確信することができた。断言しよう。カーAVの世界には、明るく楽しい未来が待っている。

(文と写真=野村憲司)


ピュアデジタルシステムクラス優勝のカーオーディオプロショップ・エモーション(プジョー307)


307のリアには……


ピュアデジタルシステムクラス2位のアンティフォン(ポルシェ・カイエン)


カイエンのコックピット


ピュアデジタルシステムクラス優勝のガレージショウエイ(トヨタ・アリスト)


アリスト


ピュアデジタルシステムクラス2位のBASIS(三菱 アウトランダー)


カーシアタークラス優勝のクァンタム(トヨタ・アルファード)


アルファード


カーシアタークラス2位のラック岐阜モデリスタレインボーモール(トヨタ・エスティマ)


エスティマ




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