第13回:「大誤算」三菱トレディア/コルディア(1982〜88/87)(その2)

2006.09.13 エッセイ

第13回:「大誤算」三菱トレディア/コルディア(1982〜88/87)(その2)

タイヤに深くカブったリアホイールオープニングのせいもあって、ルノー9(ヌフ)あたりにも通じる雰囲気を持った、トレディアの直線的でクリーンなサイドビュー。
タイヤに深くカブったリアホイールオープニングのせいもあって、ルノー9(ヌフ)あたりにも通じる雰囲気を持った、トレディアの直線的でクリーンなサイドビュー。
カープラザ店扱いのXPはシトロエンBXのようなマスクを持つ。
カープラザ店扱いのXPはシトロエンBXのようなマスクを持つ。

■フランス車風のたたずまい

一見したところはごくまっとうというか、地味な印象を与える「トレディア/コルディア」だが、内容的には当時の国産小型車としてはなかなか進歩的といえた。とくに“先進の空力フォルム”と謳ったボディは、前後のボディサイドを絞りこんだり、トランクリッド/テールゲート後端をわずかに持ち上げてダックテールとしたり、またドアおよびウインドまわりにフラッシュサーフェス化を果たすなどの空力処理が施されていた。直線的な見た目とは裏腹に、発表されたCd値はトレディアが0.39、コルディアが0.34と、当時としてはかなり優れていたのである。

“コンシールドホイールカット”と名付けられた、サイドビューを特徴づける深いリアホイールオープニングも空力処理のひとつで、リアホイールによる風の巻き込みを防ぐ効果があると謳っていた。この「カブった」リアフェンダーのせいもあって、トレディア/コルディアはヨーロッパ車、それも国産車には珍しくフランス車的な雰囲気を漂わせていたのだった。

シャシーレイアウトは弟分にあたる「ミラージュ」と同様で、サスペンションは前がストラット、後ろがU字型のトレーリングアームによる4輪独立懸架。ブレーキはサーボ付きのディスク(ターボ車はベンチレーテッド)/ドラムで、ステアリングはラック・ピニオンだが、最小排気量の1400ccモデルにもパワーステアリングが用意されたのが目新しかった。

パワーとエコノミーの2つのモードに切り替えられる副変速機を持ち、4×2=8段となる“スーパーシフト”。オーバートップを備えた通常の5速のほうが使いやすいような気もするのだが……84年以降は4WDモデルのみに設定された。
パワーとエコノミーの2つのモードに切り替えられる副変速機を持ち、4×2=8段となる“スーパーシフト”。オーバートップを備えた通常の5速のほうが使いやすいような気もするのだが……84年以降は4WDモデルのみに設定された。
コルディアの最上級車種である1600GSR-Sターボに標準装備されていた、世界初という液晶式デジタルメーター。
コルディアの最上級車種である1600GSR-Sターボに標準装備されていた、世界初という液晶式デジタルメーター。

パワーユニットは「サターン」「シリウス」といった既存の直4SOHCユニットを流用あるいは小変更を加えたもので、1400(トレディアのみ)、1600、1600ターボ、1800の4種をラインナップ。組みあわされるギアボックスは、マニュアルが4段+副変速機で8段とした初代ミラージュ以来の“スーパーシフト”を採用。1600以上のオートマチックには、電子制御で車速17km以上になるとロックアップするという、世界初のELC(エレクトロニックコントロール)3段ATが用意されていた。

デビュー直後の『Car Graphic』1982年5月号に掲載されていたトレディア1800スーパーサルーンELCのロードインプレッションとコルディアXG1600GSRのテストによると、トレディアはクラス随一の広い室内とトランクルームを備えたサルーンで、静粛性や燃費も優秀と評されていた。いっぽうのコルディアは動力性能と燃費を高水準で両立させてはいるものの、足まわりはひどく硬く、ハンドリング、乗り心地ともに洗練さを欠くと記されていた。しかし、テスト車両のコンディションが相当に荒れていたという但し書き付きだったので、残念ながら真価のほどは不明である。(以下、次号)

(文=田沼 哲/2003年2月8日)

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田沼 哲

田沼 哲

NAVI(エンスー新聞)でもお馴染みの自動車風俗ライター(エッチな風俗ではない)。 クルマのみならず、昭和30~40年代の映画、音楽にも詳しい。