第12回:「大誤算」三菱トレディア/コルディア(1982〜88/87)(その1)

2006.09.13 エッセイ

第12回:「大誤算」三菱トレディア/コルディア(1982〜88/87)(その1)

1982年、「これからのクルマに求められるすべての課題を満たした、世界に通用する新時代の本格的FF車」として登場した三菱トレディア/コルディア。同社の主力車種となる指命を担っていたのだが……。

デビュー当時の三菱「トレディア」。スラントノーズ+角形ヘッドライトの顔つきは、当時の世界的なトレンドだった
デビュー当時の三菱「トレディア」。スラントノーズ+角形ヘッドライトの顔つきは、当時の世界的なトレンドだった
三菱「コルディア」は、販売系列によって顔つきの異なる、XGとXPの2シリーズがあった。写真ギャラン店扱いのXG
三菱「コルディア」は、販売系列によって顔つきの異なる、XGとXPの2シリーズがあった。写真ギャラン店扱いのXG

■姓は三菱、名も三菱

昨年秋に満を持して登場した「コルト」が出足好調の三菱。国内向けとしてはほぼ30年ぶりに復活した名を冠したこの小型車は、三菱が乗用車メーカーとしての存続を賭けたと言っても過言ではない存在といえよう。そこまでは及ばないながら、今から20年ほど前にかなり力を入れて送り出されたにもかかわらず、市場の支持を受けることなく一代限りで消滅してしまったモデルがあった。それが今回取り上げる「トレディア/コルディア」である。

1982年に登場した両車は、プラットフォームおよび横置きFWD (前輪駆動)のパワートレインをはじめとするメカニカルコンポーネンツを共有する兄弟車で、トレディアがオーソドックスな3ボックスセダン、コルディアが 3ドアハッチバッククーペだった。車格的には当時の「トヨタ・カローラ」や「日産サニー」と同じか気持ち上といったところで、同門の「三菱ランサーEX」(2代目ランサー)とオーバーラップしていた。この時点でランサーEXはデビューから3年を経過しており、そもそもの成り立ちが旧世代に属するFRセダンだったから、三菱としてはいずれトレディアにその市場を引き継がせることをもくろんでいたのだろう。

タイヤに深くカブったホイールオープニングのせいもあって、ルノー9(ヌフ)あたりにも通じる雰囲気をもった、トレディアの直線的でクリーンなサイドビュー
タイヤに深くカブったホイールオープニングのせいもあって、ルノー9(ヌフ)あたりにも通じる雰囲気をもった、トレディアの直線的でクリーンなサイドビュー
サイドビューは、XGもXPも共通
サイドビューは、XGもXPも共通

ちなみにトレディア(TREDIA)という車名は、イタリア語で「3つの」という意味の“TRE”とダイヤモンド(DIAMOND)の“DIA”をあわせた造語で、“3つのダイヤ=スリーダイヤ”すなわち“三菱”を意味していた。三菱という名の三菱の新型車……このことからもトレディアには相当の期待がかけられていたことがわかる。それは「ミラージュ/ランサー・フィオーレ」と「ギャランΣ(シグマ)」の間を埋める主力車種となるべく開発されたモデルだったのだ。

いっぽうのコルディア(CORDIA)は、「元気づける」という意味の英語“CORDIAL”と“DIA”の造語で、「活気あふれる三菱車」という意味合いで命名されたという。トレディアとの関係は初代ランサーとセレステのそれと同じ、と言っても通じない人もいるとは思うが、つまりはスペシャルティカー。とはいえそのスタイリングには、たとえばスタリオンやGTOのような三菱のその手の車種にありがちなアグレッシブさはなく、クリーンにまとめられていた。(以下、次号)

(文=田沼 哲/2003年2月6日)

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田沼 哲

田沼 哲

NAVI(エンスー新聞)でもお馴染みの自動車風俗ライター(エッチな風俗ではない)。 クルマのみならず、昭和30~40年代の映画、音楽にも詳しい。