【F1 2006】第13戦ハンガリーGP、大波乱のレースでバトン&ホンダが悲願の優勝を飾る!

2006.08.06 自動車ニュース

【F1 2006】第13戦ハンガリーGP、大波乱のレースでバトン&ホンダが悲願の優勝を飾る!

F1世界選手権第13戦ハンガリーGP決勝が、2006年8月6日、ブタペスト近郊のハンガロリンク・サーキット(4.381km)を70周して行われた。

雨がもたらした数々の混乱をくぐり抜け、ホンダのジェンソン・バトンが悲願の初優勝を飾った。
バトンにとっては自身出走113戦目でようやく勝ち取った“P1”。ホンダにとっては、コンストラクターとしては1967年イタリアGP以来の3勝目、エンジンサプライヤー時代を含めると、1992年オーストラリアGP以来の72勝目となる。


フリー走行中に派手なブローを起こしエンジン交換、10グリッド降格が言い渡されたバトン。13番グリッドと後方からスタートしたが、コース上の混乱を尻目に徐々にポジションアップ。トップのアロンソ/ルノーよりも速いペースで追い上げ、ついに1位でチェッカードフラッグを受けた。(写真=Honda)

2位はペドロ・デ・ラ・ロサ(マクラーレン・メルセデス)で自身初表彰台、3位はニック・ハイドフェルド(ザウバーBMW)でチーム最良の成績を手にした。

4位にルーベンス・バリケロが入りホンダは1-4フィニッシュ。以下、5位デイヴィッド・クルタード(レッドブル・フェラーリ)、6位ラルフ・シューマッハー(トヨタ)、7位ロバート・クビサ(ザウバーBMW)、8位フェリッペ・マッサ(フェラーリ)らが入賞した。

タイトルを争う2人、フェルナンド・アロンソ(ルノー)はリタイア。ミハエル・シューマッハー(フェラーリ)は終盤メカニカルトラブルで9位完走扱いとなりポイント獲得はならなかった。

スーパーアグリ・ホンダの2台、佐藤琢磨は最後までしぶとく走り切り最後尾14位完走。山本左近は0周で戦列を去った。


オールホンダでのぞんだ第一期(1964〜1968年)、エンジンサプライヤーとして無敵を誇った第二期(1983〜1992年)、そしてエンジン供給から今年フルワークスに復帰した第三期(2000年〜)と、ホンダの長いF1活動の歴史のなかで、間違いなく区切りの1勝となるだろう。(写真=Honda)

なおレース後、クビサのマシンが規定より2kg軽いことが発覚し、クビサは失格を言い渡された。これにより、9位フィニッシュのミハエル・シューマッハーが繰り上がり入賞、アロンソは無得点のため、両者の点差は1点縮まり10点となった。
初のポーランド人GPドライバー、クビサは、デビューレースでの7位入賞という結果を逃してしまった。

■レース前、シュー&アロンソにペナルティ

11点を挟んでタイトルを争う2人が、いずれもフリー走行中に違反をおかし、予選タイムに2秒加算のペナルティを受けるという、出だしから波乱含みのハンガリーGP。シューマッハー11番グリッド、アロンソ14番グリッドと、両者後方からのスタートをしいられた。

そして決勝日午前中に雨が降り、同GP20年の歴史上初、今シーズン初めてウェットでのレースとなったことが、さらに大きな影響をもたらした。


3連勝の勢いにのってライバル、フェルナンド・アロンソとのポイント差を縮めたかったミハエル・シューマッハーだが、すっかり雨に翻弄されてしまった。序盤はブリヂストンのウェットタイヤが路面にマッチせず、一時は周回遅れに。コースが乾き始めるとペースを速め、2位までのぼりつめた。ズルズルのウェットタイヤでゴールを目指したが、残り数周で3位、4位と順位をダウン。その後、ニック・ハイドフェルドと接触しステアリングに支障をきたし、ピットでコクピットを降りた。(写真=Ferrari)

2戦連続ポールシッターのキミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)を先頭に水飛沫をあげながら各車レインタイヤを装着してスタートを切った。

この際、シューマッハーは4位、アロンソは5位へとジャンプアップし、あっという間にポイント圏内でのチャンピオン争いが展開された……。
とはいかず、ヘビー(エクストリーム)ウェットのブリヂストンタイヤが、フェラーリの足を引っ張った。シューマッハーはミシュランタイヤのライバルより2秒遅いタイムでしか周回できず、ズルズルと後退。
早々にピットインしたライコネンにかわりトップに立ったアロンソは、25周目には8位シューマッハーを周回遅れにするほど、この時点でアロンソ/ルノー/ミシュランの優位性(シューマッハー/フェラーリ/ブリヂストンの劣勢)は明らかなものだった。


シューマッハー上位入賞ならずで、ホッと胸をなでおろしたであろうアロンソ。フリー走行で危険な走行をしたとして予選タイムプラス2秒のペナルティ。スタート前から足枷がついたが、レースではトップを快走するまで復活。バトンの追い上げで優勝には「?」が付いたが、2位は守りたかった。しかし、残り18周、ピットを後にしたルノーはヨロヨロとし始め、やがてホイールナットが外れコース脇にマシンを止めた。(写真=Renault)

■アロンソ、1年以上ぶりのリタイア

この状況に変化が生じるのは27周目。ライコネンがヴィタントニオ・リウッツィ(トロロッソ・コスワース)のリアに乗り上げクラッシュ、セーフティカーが導入されたことで、首位アロンソが築き上げたマージンが一気になくなった。

残り39周でレース再開、1位アロンソ、2位バトン、3位デ・ラ・ロサ、4位バリケロ、5位ハイドフェルド、6位クルタード、7位シューマッハーというオーダーだ。

この時点で、2位バトンのペースのほうがアロンソを上回っていた。ファステストラップで迫るバトンのホンダ。コース上ではさて置き、ピットインを挟んでの首位逆転は大いにあり得た。
ホンダ“第三期”初優勝の可能性が高まるいっぽうで、乾き始めた路面に、ブリヂストンの(セミ)ウェットタイヤが効果を発揮し始めた。


トヨタの2台は、予選6位のラルフ・シューマッハー(写真)、同8位のヤルノ・トゥルーリともにスタートで順位を落とし、12位、14位からレースを開始。なんとか2台揃ってポイント獲得を目指したが、残り5周でトゥルーリにエンジントラブルが発生。結果、ラルフが6位でゴールし、チームは5戦連続ポイント獲得となった。(写真=Toyota)

アロンソ、バトンがノーズ・トゥ・テールで首位攻防を繰り広げている後ろで、順位を徐々に上げるシューマッハー。しかしこの構図は、残り18周でアロンソがリタイアしたことで、あっけなく崩れた。
ピットイン後の挙動がおかしかったアロンソのルノーは、ターン2で右リアタイヤのホイールナットが外れ、今年初、2005年カナダGP以来となるリタイアをきっした。

■113戦目、301戦目の区切り

終盤、リードを広げるバトンの後方では、シューマッハーがなんと2位を走行。タイトルを争う最大のライバル、アロンソがノーポイント、このまま終わったら11点の差は一気に3点に縮まる――シューマッハーは、ウェットタイヤのまま、このポジションを守り切る作戦をとった。


スーパーアグリの佐藤琢磨(写真)は、レース序盤は好調で、最大のライバル、ミッドランドを抑え込んだ。しかしピットストップの後にクラッチにトラブルが発生、完走も危ぶまれたがコクピットからセットアップを変更してその場をしのぎ、苦しいレースを最後尾13位で完走した。
2戦目の山本左近は、スタートのターン1で前の数台を抜こうとしてエンスト。レース続行が不可能となってしまった。(写真=Honda)

残り4周、ズルズルのタイヤで防戦いっぽうのシューマッハーは、ドライタイヤで猛追する3位デ・ラ・ロサにオーバーテイクされ、翌周ハイドフェルドにも抜かれた。そして直後、サスペンション異常によりピットでレースを諦めた。シューマッハーは、最大の好機をいかすことができなかった。

GP100戦を過ぎてもなお優勝がないと後ろ指をさされ続けてきたジェンソン・バトン、26歳。2000年に鳴り物入りでウィリアムズからデビューするも、なかなか勝てるマシンを得られなかった。

そして、なかなか勝てるマシン/エンジンを用意できなかったのがホンダだった。2000年に新興チームBARのエンジンサプライヤーとして第三期F1活動を始めるも、勝機を掴み取るのには長い時間を要した。

バトンは113戦目で手に入れた初勝利、ホンダとしては301戦目、フルワークスチームとしては39年ぶり、エンジン供給時代を含めると14年ぶりとなる歓喜にわいた。

ポディウムでは、バトンに対するイギリス国歌、ホンダに対する君が代が流れた。ひとつの時代に区切りをつける1勝だった。

次戦は8月27日、トルコGP。

(webCG 有吉)

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