【SUPER GT 2006】GT「インプレッサ」が4WD化、「トランスアクスル方式シンメトリカルAWD」採用

2006.07.24 自動車ニュース

【SUPER GT 2006】GT「インプレッサ」が4WD化、「トランスアクスル方式シンメトリカルAWD」採用

2006年7月21〜23日に宮城県・スポーツランドSUGOで行われたスーパーGT第5戦。全9戦で闘われるシリーズ半ばにデビューを迎えた1台があった。

クスコ・レーシングが開発・製作し、SUGOに持ち込んだ「クスコスバルADVANインプレッサ」。トランスアクスル方式を採用したシンメトリカルAWD(AWD:オールホイールドライブ=つまり4WD)搭載のGT300クラスマシンだ。

4WD車によるGT選手権参戦は、スーパーGTの前身であるJGTC(全日本GT選手権)時代の1996年に、「スカイラインGT-R」がエントリーして以来のこととなる。

■ターボ+FRではだめ

開発を担当したエンジニア・荻久保寛氏は、今回の「クスコスバルADVANインプレッサ」誕生の経緯をこう語る。
「昨シーズンまで、(スーパーGTでインプレッサが)成績を出せなかったのは、ターボにFRという組み合わせがあまりよくなかったからだと。それでトラクションを得るにはAWD(4WD)しかないということになりました」。
これを受け、従来のトランスアクスルにセンターデフ、センターデフからフロントにシャフトを伸ばした構造とした。

「開発にあたり、フロントデフをどこに置くかが困りました。通常ですとエンジンの下側に置くのでしょうが、スペースが取れないので、いろいろエンジン(の位置)を動かしたりしながら、エンジンの上にデフを置くという結論に至りました」。

こんな斬新なアイディアを取り入れることが可能になったのは、エンジン高が低い水平対向ユニットだったから。複雑な機構となってしまったが、車両の前後重量バランスを、ほぼ50:50にできたという。

■ボディ各所で軽量化

トラクション不足の解消を狙って取り組んだ4WD車では、同時にボディ自体の軽量化、ロールケージの軽量化も行われた。

「AWD化にあたり、他の部分で軽量化が必要でした。簡単に言うとビス1本、ネジ1本まで材質や重量など、過去のデータを分析しながら新たに作りました」というのは、チーム監督の大溝敏夫氏。
オリジナルボディとエンジンはスバル、STI(スバルテクニカインターナショナル)からのサポートであるが、残るAWD用ギアボックス、サスペンションなどはコンストラクターとしてクスコが自社設計・製作を担当した。
「自分たちの夢をかたちにできるという部分があるので、可能性にかけました」とのことだが、残念ながらシェイクダウンやテストでは雨に泣くことが多く、まだ十分なデータ取りができていないという。

■「AWD車になって踏めるようになった」

ステアリングを握るのは、小林且雄・谷川達也両選手。1999年から同チームに所属し、旧マシンからのフィードバックや比較はもちろん、チームとのコミュニケーション面での不安はない。

小林選手はまだ走り込みができていないとしながらも、「FR車両ではアクセルが踏めなかった部分が、AWD車になって踏めるようになったのは非常に大きなメリットです。安定感が増して、従来まではアクセル踏んでもリアの流れをコントロールしなければいけなかったのが、新型では結構ドカンと踏んでも何も起こらない。安心感と立ち上がりのトラクションが高いのでタイムが速くなると期待しています」と満足気だ。

谷川選手も「一人で走っているぶんには気持ちいいですね。マシンが安定しているので、自分が上手くなったような“勘違い”をしてしまいます。雨のなかでも(アクセルの)全開率が上がっているんで、自分がうまくなったと錯覚してしまいますね。それが速さにつながっているかどうかはまだわかりませんが、早くそうなればいいなと思います」と期待をかける。

ところで、気になるデビュー戦の結果であるが、予選1回目でスーパーラップ(SL)出場枠のGT300クラス10番手タイムをマークしたが、駆動系にトラブルが発生しSLアタックならず。決勝でもギア関係の問題で完走できなかった。

(文と写真=島村元子)


ガレージ内のインプレッサ。よく見るとマシン左にマフラーらしきものが……。


実はエグゾーストパイプは左フロントタイヤ前に配置されている。いろいろ考えた結果こうなった、というのだが……。なお写真は作業用の追加マフラー(?)のようなもので、走行時には取り払われている。

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