ハイブリッドならではの対策を施して……「レクサスGS450h」、初24時間レースで目標達成!

2006.07.18 自動車ニュース

ハイブリッドならではの対策を施して……「レクサスGS450h」、初24時間レースで目標達成!

2006年7月17日午後3時過ぎ、24時間を闘い抜いたマシンが次々とチェッカードフラッグを受けていく。そのなかには、ハイブリッドシステムを搭載する「レクサスGS450h」の姿もあった……。

今年で13回目を迎えた北海道・十勝24時間レース。スーパー耐久レースの第3戦にもあたるこの闘いに、レクサスGS450hがスポット参戦するとアナウンスがあったのは6月下旬のこと。
スーパーGTで活躍する(株)サードがチーム運営、メンテナンスを担当、LEXUS team SARDとして「デンソー・レクサスGS450h」を走らせることとなった。

■市販車へのフィードバック、ハイブリッドの可能性

トヨタ自動車が発表したリリースによると、参戦目的は、「今後の市販車への技術的なフィードバックを前提に、24時間レースという過酷なモータースポーツの場での挑戦を通じて、ハイブリッドシステムのさらなる小型軽量化や高効率化などを目指す、開発の一環と位置付けて行うものである」。
同時にこの参戦は、ハイブリッドシステムのモータースポーツにおける可能性の調査を行うものでもあった。

スーパー耐久機構(STO)からスーパー耐久シリーズST-1クラス(3501cc以上)の2006年特認車両として認定を受け、レースにはST-1クラスで参戦。前後サスペンション、タイヤ・ホイール、安全ロールケージ、安全燃料タンク(95リッター)、デファレンシャル(機械式LSD)、ブレーキシステムなどはレース専用に改造した。
また、ダウンフォースを得るためのエアロパーツや、車両各部の軽量化も施されたというが、1685kgの車重は規定重量1550kg以上という数字を大きく上回るものだった。

「なにしろ2ヶ月しかなかったんです。やりたいことがあっても時間がないので、今回の第一目標は完走ですね」とサード・大橋孝至監督の言葉は、まさにホンネそのもの。ライバルたちとの闘いではなく、ミッション達成のためのプログラムに沿って、粛々とことが進められた感がある。
実際、レースでは24時間をほぼノントラブルで走り抜き、膨大なデータ蓄積に成功。次世代のモータースポーツに一石を投じる結果を残した。

■ハイブリッドカーならではの対策とは……

チームドライバーとして責任ある仕事をまっとうした平中克幸は、「いつものレーシングカーと乗り方がまったく変わってしまうということはなかったものの、ちょっとおかしな感じがしたし、エンジンブレーキがかかっていないような気がした」と、ファーストインプレッションを語る。
またミッション遂行のため、「ブレーキをあまり使わないようにして丁寧に、スピードも体感的にやや控えめな感じで走ることに徹した」という。

平中同様、アンドレ・クート、嵯峨宏紀のふたりも丁寧なアクセルコントロールを心がけ、24時間先のゴールを意識する走りを続けた。

「レースなので普段とやることは同じです。ただ実績がないだけで、それをうまくコントロールするのが今回のミッションだったんです」と大橋。しかしそのなかには、特筆すべき作業が含まれていた!
それは、1時間30分前後のタイミングで行われるルーティンワークでの“ドライアイス交換作業”だった。

熱対策として準備されたドライアイス。実はリアトランク内のバッテリーを冷やす策であり、ピットインのたびにスタッフがトランク内に収納されたボックスから小さくなったドライアイスを取り出し、新品を入れ直すという作業が何度となく繰り返された。

氷を使用しなかったのは、電気を使用するハイブリッドならではの考慮。加えてドライバーもクールスーツの着用を避けた。だが、大橋監督によると、このドライアイスによる冷却は大事を取って行った作戦であり、必須条件ではなかったという。何しろベースは量産車、エンジンの耐久性・持久力はレーシングエンジンをはるかに超える。完走のための安全策だったのだ。

短期間での実戦投入となった今回、とにかくマイペースを貫き通すことで完走を目指したレクサスGS450h。3人のドライバーとチームスタッフでつないだ完走リレーは無事終了。24時間、865周の軌跡は総合17位、クラス4位の結果を残した。

くしくもおよそ1ヶ月前、仏ルマンの24時間レースではディーゼルエンジンを搭載した「アウディR10」が勝利。そして今回、日本唯一の24時間レースでは、ハイブリッドエンジンがデビューした。モータースポーツは、また新たな挑戦の一歩を踏み出すこととなった。

なおレースでは、目下シリーズ連勝中の#1ARTA DENEG GT2(田中哲也/新田守男/高木真一組)が圧勝した。

(文と写真=島村元子)


ドライブを担当した平中克幸。「エンジンブレーキがかかっていないような気がした」とはハイブリッドマシンの第一印象。


ルーティンのピットイン。給油やドライバーチェンジに加え、マシン後方では……。


なにやら白い固形物がトランクに積まれた。


トランクには、まるでアイス屋のような保冷箱。ハイブリッド用バッテリーの冷却のため、ドライアイスが使われたのだ。

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