【スペック】全長×全幅×全高=4520×1760×1475mm/ホイールベース=2705mm/車重=1350kg/駆動方式=FF/1.8リッター直4DOHC16バルブ(125ps/5600rpm、17.3kgm/3800rpm)/価格=280万円(テスト車=299万9500円/チルトアップ機構付電動パノラマガラスサンルーフ=14万7000円/メタリック塗装=5万2500円)

オペル・アストラワゴン1.8 Sport(FF/4AT)【試乗速報】

実用車、されど地味にあらず 2005.01.26 試乗記 オペル・アストラワゴン1.8 Sport(FF/4AT)……299万9500円オペル・アストラは、Cセグメントの強豪がひしめくヨーロッパで好評を博し、販売も好調らしい。日本でもハッチバックに続きステーションワゴンが導入された。『NAVI』編集委員鈴木真人が「実用車」の実力を速報する。

ワゴンといえばオペル!?

「ワゴンといえば、オペルが業界をリードし、市場でベストセラーを多く送り続けた分野」なんだそうだ。プレス資料にそう書いてあったのだが、不勉強でよく知らなかった。しかし、確かに「レコルト・キャラバン」、「カデット・キャラバン」という名高いモデルがある(「キャラバン」はオペルがワゴンを指す言葉で、carとvanから作られている)。

「アストラワゴン」は、1993年から99年まで、ヨーロッパ全体のワゴンの中で販売台数が第1位だったそうだ。そして、1997年にヨーロッパで販売されたアストラの44.3%がワゴンなのである。アストラといえばハッチバック、というのは思い込みだったみたいだ。

内装外装に共通するデザイン思想

ハッチバックの全長を少し延ばしてユーティリティを向上させた「コンパクトワゴン」が流行りだが、アストラワゴンは本格的なステーションワゴンである。ホイールベースは2705ミリで、5ドアハッチバックの2615ミリから90ミリ延長されている。荷室容量はVDA方式で500リッター、後席を倒せば最大1590リッターとなり、立派な数字である。カッコだけの「ライフスタイルワゴン」ではない、しっかり荷物を積める実用的なクルマなのだ。

とはいえ、ハッチバック版と同じくワゴンも、先代と比べるとグンとスタイリッシュになった。V字を強調して絞り込まれた形状と水平のラインで構成されたフロントマスクは、シンプルで力強いイメージを作っている。大きな平行四辺形のヘッドランプの意匠は、バンパー下のエア取り込み口の形状で反復され、わかりやすく印象的な顔つきだ。かすかに上昇するショルダーラインと緩やかに下降するルーフラインは、スポーティさを演出するための常套手段である。

インテリアのデザインにも、デザイン思想が貫かれている。無彩色のインストゥルメントパネルには、ボンネットから続く「クリースライン」が中央に延びており、シンメトリーな空間を印象づける。無駄な面やラインを排した、ストイックなデザインだ。

ホイールベースは生かされたが……

長いホイールベースを生かして、後席のスペースは広大だ。ただ、前席の高品質感に比して、後席は仕上げの粗い部分もあった。シートバックに設えられたカップホルダー付きのトレイは、どうにも感触が安っぽい。センターに備えられた灰皿は、回転して収納されるしゃれた仕組みだったが、外すためには指に灰が付くことが避けられない構造だ。また、リアシートのダブルフォールディング機構は、ちょっとしたコツと腕力を必要とするものだった。

ラゲッジスペースは、とても使い勝手がいい。590ミリの低い後端からフラットで広大な荷室が広がり、左右に配置されたレールを使って、ネットや仕切りを装着して収納物に応じてアレンジすることが可能だ。トノカバーはハンドルにふれるだけで巻き取られ、容易に開閉できるようになっている。

受け継がれた美点

今回試乗できたのは、1.8 Sportというグレード。1.8リッター直4エンジンと4段ATを組み合わせた仕様である。ハッチバックモデルと同様、IDS(インタラクティブ・ドライビング・システム)を標準装備する。ABSやESPプラスなどのシャシーシステムを統合制御する機構で、走行状況に応じてサスペンション制御を行うCDC(コンティニュアス・ダンピング・コントロール)を採用しているところが「プラス」たる所以である。

試乗コースとなった箱根ターンパイクは、路側に雪が残り日陰では凍結が心配されるコンディションだったが、素直なハンドリングを楽しむことができた。ただ、マニュアルモードのないATは、やはりワインディングロードでは少々興醒めだった。よりスポーティなドライビングを望むなら、6段MTの「Turbo Sport」を選ぶしかない。

アストラワゴンは、よくできた実用車である。それは、先代から受け継がれた美点だ。今回のモデルチェンジで、そこに新しくスタイリッシュというプラスポイントが加わった。「オペルは地味」というのは、もはや思い込みに過ぎない。抑制されたスタイルを好む人にとっては、この実用性は大きなアピール点になるだろう。

(文=NAVI鈴木真人/写真=峰昌宏/2005年1月)



オペル・アストラワゴン1.8 Sport(FF/4AT)【試乗速報】の画像


オペル・アストラワゴン1.8 Sport(FF/4AT)【試乗速報】の画像


オペル・アストラワゴン1.8 Sport(FF/4AT)【試乗速報】の画像
写真をクリックするとシートアレンジが見られます。

写真をクリックするとシートアレンジが見られます。


オペル・アストラワゴン1.8 Sport(FF/4AT)【試乗速報】の画像


オペル・アストラワゴン1.8 Sport(FF/4AT)【試乗速報】の画像


オペル・アストラワゴン1.8 Sport(FF/4AT)【試乗速報】の画像
関連記事
  • オペル・アストラワゴン1.8 Sport(4AT)/2.0 Turbo Sport(6MT)【試乗記】 2005.2.16 試乗記 オペル・アストラワゴン1.8 Sport(4AT)/2.0 Turbo Sport(6MT)
    ……299万9500円 /349万9500円

    新型ゴルフがハッチバックのみにとどまっているうちに、オペル・アストラのワゴンが登場した。ホイールベースを延長し、実用性とスタイリングを両立させようという意欲作に、自動車ジャーナリストの島下泰久が試乗した。


  • オペル・アストラワゴン1.8 Sport(FF/4AT)【試乗速報】 2005.1.26 試乗記 オペル・アストラワゴン1.8 Sport(FF/4AT)
    ……299万9500円

    オペル・アストラは、Cセグメントの強豪がひしめくヨーロッパで好評を博し、販売も好調らしい。日本でもハッチバックに続きステーションワゴンが導入された。『NAVI』編集委員鈴木真人が「実用車」の実力を速報する。


  • ケータハム・セブン スプリント(FR/5MT)【試乗記】 2017.5.1 試乗記 「ロータス・セブン」の魅力を今日に伝える「ケータハム・セブン」に、“オリジナル・セブン”の誕生60周年を祝う限定モデル「セブン スプリント」が登場。クラシカルなデザインとプリミティブな走りがかなえる唯一無二の魅力に触れた。
  • チュリニ峠を行く新型「アルピーヌA110」 2017.4.3 画像・写真 ジュネーブショー2017で世界初公開された新型「アルピーヌA110」。オリジナルのA110がRRだったのに対し、新生A110はMRのレイアウトを採る。モンテカルロラリーの名所、チュリニ峠を行く姿を写真で紹介する。
  • ケータハム・セブン160(FR/5MT)【試乗記】 2014.6.24 試乗記 スズキ製のパワートレインを搭載した“黄色ナンバー”の「ケータハム・セブン160」に試乗。車両重量490kg(!)というスーパーライトな最新モデルに、ライトウェイトスポーツの本分を見た。
  • オペル・シグナム3.2(5AT)【ブリーフテスト】 2004.3.20 試乗記 ……433.5万円
    総合評価……★★★★

    「オペル・ベクトラセダン」のホイールベースを130mm延長して後席の居住スペースにあてた、ベクトラシリーズのトップグレード「シグナム」。ハッチバックのユニークなラクシャリーカーに、自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。


  • オペル・アストラ 1.8 Sport(4AT)/アストラ 2.0 Turbo Sport(6MT)【試乗記】 2004.11.1 試乗記 オペル・アストラ 1.8 Sport(4AT)/アストラ 2.0 Turbo Sport(6MT)
    ……291万2500円/334万9500円

    可変ダンパー「CDC」、2リッターターボ+6MTを武器に、オペルが強豪ひしめくセグメントに送り込むニューモデル「アストラ」。スポーティさでイメージ転換を図るブリッツマークのニューモデルに、『webCG』記者が試乗した。


  • オペル・シグナム2.2(5AT)/シグナム3.2(5AT)【試乗記】 2003.12.10 試乗記 オペル・シグナム2.2(5AT)/シグナム3.2(5AT)
    ……355.0/422.0万円

    「ベクトラ」のホイールベースを130mm延ばし、ゆとりある後席がジマンの「オペル/シグナム」。自動車ジャーナリストの生方聡が、千葉県で開かれたプレス向け試乗会で乗った。オペルの新しいフラッグシップはどうなのか?


  • オペルベクトラGTS2.2(5AT)/ベクトラGTS3.2(5AT)【試乗記】 2003.3.25 試乗記 オペルベクトラGTS2.2(5AT)/ベクトラGTS3.2(5AT)
    ……361.0万円/458.0万円

    2003年3月24日、オペルの中核モデル「ベクトラ」に、5ドアハッチバックの「GTS」が加わった。スポーティイメージを訴求し、「ベクトラの本命」と謳われる新型に、webCG記者が箱根で乗った。


  • トヨタが新型「カムリ」日本仕様の内外装を初公開 2017.5.19 自動車ニュース トヨタ自動車は、新型「カムリ」の日本仕様の内外装を、オフィシャルウェブサイト上で公開した。2017年1月の北米国際自動車ショーで、米国仕様が世界初公開されており、日本市場には同年夏ごろの投入が予定されている。
ホームへ戻る