第267回:スバル・レガシィ・マイナーチェンジ試乗会
つくづくクソマジメだなぁ、スバルって……(小沢コージ)

2006.06.16 エッセイ

第267回:スバル・レガシィ・マイナーチェンジ試乗会つくづくクソマジメだなぁ、スバルって……(小沢コージ)

マイチェンなのにわざわざ福島の高級リゾートホテルで試乗会を開催。力入ってます。
マイチェンなのにわざわざ福島の高級リゾートホテルで試乗会を開催。力入ってます。
スタイリングのリフレッシュも改良のポイントのひとつ。フロントグリル、バンパー、ドアミラー、テールランプデザインなどをリニューアルした。
スタイリングのリフレッシュも改良のポイントのひとつ。フロントグリル、バンパー、ドアミラー、テールランプデザインなどをリニューアルした。

■現行レガシィの行く末

先日、スバル・レガシィの福島試乗会に行って参りました。マイナーチェンジだっつーのに、わざわざ福島の高級リゾートホテル、プルミエール箕輪をベースにしての試乗会。その前は富士スピードウェイでもやってたし、つくづくスバルの力の入りようがわかる。

ま、レガシィコケるとみなコケる!? つうか、スバルはレガシィあってのメーカーだもんね。
フラッグシップと主量販車種、トヨタでいえばセルシオとマークX、あるいはクラウンとカローラが一緒になったような車種だから、それだけリキ入ってんのよ。わっかるかなぁ。

あと俺が気にかけていたのが現行レガシィの行く末。前も言ったけど、レガシィは正直、洗練されすぎたと俺は思っている。スタイルしかり、エンジンしかり、ハンドリングしかり、確かに美しくなって、性能がすべてアップしてるけど、昔の味わいっていうか、個性っていうか、土臭さは減ったような。そこんとこどーなのよ! って思ってたのよ。

インテリアでは、加飾パネル追加やシート形状変更、左右独立エアコンの装備、などが行われた。
インテリアでは、加飾パネル追加やシート形状変更、左右独立エアコンの装備、などが行われた。
これが「SI-DRIVE」のセレクター。左に回して「S(スポーツ)」、右に回して「S♯(スポーツ♯)」、下に押して「I(インテリジェント)」。
これが「SI-DRIVE」のセレクター。左に回して「S(スポーツ)」、右に回して「S♯(スポーツ♯)」、下に押して「I(インテリジェント)」。

■「SI-DRIVE」は“奥様対策”

そしたらね。改良のポイントは大きく3つ、まずはスタイリングの個性化。なんとプレスまで変えてフロント&テールライトのデザイン変更をしてるし、グリルも俺の乗ったツーリングワゴンはスプレッドウィングスをシンプルに強調する方向に変更。個人的には「もっと!」と言いたいとこだけど、それなりにアク強くなってます。

2つめはエンジンっつうか動力性能面で、ターボやバルブタイミングなどの改良もさることながら、なんと言っても燃費面だよね。
話題の「SI-DRIVE」は「指先ひとつで、まったく違うレガシィに」ってのがウリだけど、俺的には燃費対策、もっというと“奥様対策”だと思っている。

センターコンソールにあるダイヤルで「I(インテリジェント)」「S(スポーツ)」「S♯(スポーツ♯)」の3つのモードに切り替えられるわけで、自動車雑誌的にはエンジン、ATのレスポンスなどがよりシャープになる「S♯」に注目しがちだけど、本質は違う。

俺が思うに、SI-DRIVEの白眉は「最高出力が200ps程度に抑えられて全体的に加速が大人しくなる」「I」モードなのだ。
表向き、アクセルをバカっと踏んでもクルマがバビューンって出て行かない、ジェントルな加速特性が自慢だけど、根本は燃費性能。おそらく高速などでは楽勝でリッター10km以上走るはずで、このガソリン高時代になかなかのメリット。「レガシィ・ターボ(3リッター6気筒も)ってムダに速い」って思ってる奥様には朗報でしょう。

富士重工業の渋谷さんと。
富士重工業の渋谷さんと。
第267回:スバル・レガシィ・マイナーチェンジ試乗会つくづくクソマジメだなぁ、スバルって……(小沢コージ)の画像
第267回:スバル・レガシィ・マイナーチェンジ試乗会つくづくクソマジメだなぁ、スバルって……(小沢コージ)の画像

■旧型レガシィ的な味わいが復活

それから足まわりだよね。ここんとこ車両実験の渋谷さんにじっくり聞いたけど、現行モデルの「ステアリングを切り込んだ時、ちょっと遅れてからノーズがインを向く」特性を嫌ったそうで、要するにフロント部分の剛性をネチネチと上げてるのだ。

具体的には、メインフレームとサイドシルの剛体結合や、フロントのストラットタワーバーまわりの剛性アップ。そのほかフロントだけで合わせて4箇所の改良をしてるそうで、つくづくスバルってオタクだなぁって感じ。

でも実際、ハンドリングの変化は明確に体感できるほどで、初期モデルの切り始めで妙に急に横Gが立ち上がる特性がなくなり、よりナチュラルに曲がるようになった。ある意味、旧型レガシィ的な味わいが復活しております。

繰り返すが、俺としてはもっと分かりやすい、大胆なデザイン変更をして欲しかったが、それよりもやはり“マジメ派”? 自動車メーカー、スバルはトコトン中味を熟成させる方向でマイナーチェンジしたのだ。
まさに「三つ子の魂百までも」っていうか、つくづく会社の個性って変わらないよね。このマジメさ、どうか報われて欲しいもんですよ。俺が言うのもなんだけど……。

(文と写真=小沢コージ/2006年6月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』